後日談 ルイスとローザとのデート②
「おねーさま」
「ねぇさま!」
執務室に駆けつけた二人はどちらも騎士服の格好だった。前に王都に乗り込んだ際に、ローザは男装にはまったらしく常に騎士服姿でいる。ルイスはリリスから遠ざけるため女装をして貰っていたが、今後はしないと言っていた。
二人とも姿は十歳ぐらいに戻っている。
まあどっちでもルイスもローザも可愛いから、ありだわ。
今日の騎士服は紺色と黄金の刺繍と中々豪華な仕様だ。でもデートでは目立つんじゃ?
「二人ともデートに出かけるけれど、その格好でいいの?」
「着替える時間がもったいないので、ルイスを相談してこのままにしようってことにしました。ねー、ルイス」
「うん。ねぇさまと一緒の時間がいっぱいあるほうがいい!」
「まあ」
超かわいすぎる。着替えないでいくのなら、途中で店によって着替えをしても良いわね。うん、そうしましょう。
「おねーさま。その小さな使い魔は新しい眷族ですか?」
「ああ、この子は……私の騎士様よ」
「「あーーー」」
ルイスとローザはそれで色々察したのか、言及することはなかった。もふもふで小さなナイト様は開き直って私の肩に置物のようにいる。本当に真面目なんだから。
あくまでも護衛として付いてくるつもりなのね。
二人をひとしきり撫でると、早速馬車に乗って商店街に向かうことにした。
***
まず最初に服屋の前で馬車から下りて服選びをしようとしたが、ルイスとローザは私の手を繋いでそのまま露店に引っ張られる。これは私の負けね。
二人とも策士なのだから。
露店では様々な物が売っていた。以前、ウィルフリードとデートをした時とはまたラインアップが違っている。
ランタンなどの魔導具専門店や、異国のスパイス、古本、宝石やアクセサリーなどがあった。
「ねえさま。記念にお揃いの物を買いたいです」
「私も!」
「まあ、とっても素敵で天才的な発想だわ」
それから三人で手を繋いで見て回る。異国のお守りという露店があり、クリスタルの中に加護の紋様が入っていてとても綺麗だ。ストラップから、ネックレス、耳飾りと色々ある。
「おねーさま、色を一緒にしますか?」
「それともアクセサリーを合わせてお揃いにしますか?」
「どっちも魅力的だから両方買ってしまおうかしら?」
お守りということはいざという時に砕けてしまう。ならば観賞用としてもっていても良いのではないか──と考えに至ったのだ。それぞれ気になる色を選び、私は透明で、ルイスは青紫、ローザは赤紫を選んでそれぞれ肌身離さず持っていられるようにネックレスを選ぶ。
「お揃い……!」
「ふふっ、これから少しずつそういうのを増やしていきましょうね」
「「はい!」」
それからクレープやパニーニなど軽食をとりつつ、領地を巡り歩いた。私の肩にいるウィルフリードは常にキョロキョロしながら周囲に気を配っている。
たまにクレープを食べさせたりすると、照れているのがちょっと可愛かった。やっぱり私はこの小さなコウモリのフォルムに弱いらしい。
ナイトロード領は国の中心となった今、新たな首都となった。それゆえ、貿易が以前よりも盛んになり、商人の出入りも激しい。賑やかだ。種族も様々で、魔族も普通に買い物に来ている。
魔王が画材屋に入っていったのが見えたけれど、見なかったことにしよう。そう思い歩いていると、今度は新しくできた小動物カフェにエーレンとクロードが入ってくのが見えた。シアは見なかったのだが、あの家族は大丈夫かちょっと不安になる。
またシアが暴走しなければ良いのだけれど……。そう思いつつ、ルイスとローザの両方に手を引かれて通り過ぎた。
なんとも平和だ。そう思うと口元が自然と緩んだ。
楽しんでいただけたのなら幸いです。
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