傀儡師バレる
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「傀儡師なんですか!!」
「そうですね~、一応傀儡師やらせてもらってます」
「すごい!!どうやってチュートリアルクリアしたんですか!!」
声がデカいぞ少年、そんな音量で叫んだら気が付いていない人まで気が付いてしまうではないか。
ざわつきが波及していく、ファーストペンギンが出てしまえばそのあとに続けるものは少なくない、となれば何が起こるのか容易に想像できるだろう。
「世界初の傀儡師だぞ~!!!!!」
おいマジでやめろそんな大々的に発表するなこちとらどこにでもいる普通の大学生だぞ、一般ピーポーだぞ。
そんなすぎなの心情は図られるはずもなく騒ぎは収まる気配がない、見かねたGMが対応しようとしたその時、やっとヘルプが到着した。
「俺の連れをよってたかっていじめないで上げてくれよ~」
一ミリも急ぐ様子もなく悠然と歩いてくる日本トップレベルの影響力を持つ二人の人物、ゲームの中でさえ顔を刺されるほどの知名度を持つ人なんてそうそういないだろう。
「あれコーキじゃないか?」
「本当だ!!コーキだ!!」
「ってことは横にいるのはツバメさんじゃないか、配信で一緒にやるって言ってだぞ!!」
「ってことはこの傀儡師、筑紫さんじゃね!!」
収まるどころか騒ぎはどんどん大きくなっていく、騒ぎを収めるために呼んだはずなの更に騒ぎを大きくする猴希を見てもはや呆れてくる、助けてくれ~GMさ~んもう俺の手には負えないよ~。
この事件が全RoLサーバーにおいてGMが出動する初の事例であった。
「マジでお前の所為だろ」
「傀儡師ってバレたお前が悪いだろ」
騒ぎの渦中にいた三人はGMの計らいで町はずれの森の中に飛ばされていた。
「二人ともいい加減その生産性のない痴話げんかをやめなさい」
「「だって~」」
「だってもくそもない。それと、筑紫はこのローブを上げるから早く着替えなさい、明日には顔で傀儡師ってバレるようになると思うから顔を隠せる装備は買っておきなさいよ」
「ありがとう、そうさせてもらうよ」
取り合えず燕から受け取ったローブを装備し今後の方針を考える。
「俺転送されてすぐGMに飛ばされたからこの世界のチュートリアル受けてないんだけど、ダンジョンとかある感じなの?」
「そうだな、基本ザMMOって感じ、モンスター倒して素材取って装備作ってレベル上げて、ミッションやったりダンジョンやったりストーリー追ったり、ただ他と違うとすればこの世界は大陸で区切られている、たとえば今俺たちがいるここは始まりの大陸エーゲルの上陸条件はチュートリアルをクリアしているかどうかっていうのがあるが似たような感じでほかの大陸にも条件がある、特定のダンジョンをクリアするとか特定のミッションをクリアするとか、新たな大陸に行くことで新たな装備を作成出来たり新たな職業に就けたりするらしい、聞くところによるとユニークミッションとかユニーク職業もあるらしいぞ」
ユニークミッション・職業とは全RoLプレイヤー内でただ一つ・一人のみに与えられる名誉であり称号である。
「ユニーク職業ほし~」
「あと、ギルドも初期から作れるみたいだから三人で作ってしまいましょう」
「ギルマス誰にする?」
すぎなと猴希がアイコンタクトで納得する。
「ツバメだろ」
「まあ、ツバメだな」
「なんで私なのよ」
「「社長だし」」
「はぁ~わかっわよ、どうせなに言ってもやらないんでしょやるわよやればいいんでしょ」
「「お手数おかけします」」
「ほんとに、もう」
「「ありがとうございます」」
「それで、次の展開はどうするの配信者」
「取れ高は十分だからな、個人的に行きたいところでいいか?」
「いいよ~」
「いいわよ」
「じゃあダンジョンに行こう、ダンジョン内は個別のサーバーが立つ仕組みらしいからほかのユーザーに遭遇する心配もないだろうからな」
「いいじゃん、俺も早く実践したいし」
「私は何でもいいわよ」
「ここの近くにあるってGMの人が言ってたからそこに行こう」
森林の中にひと際大きい木の麓に存在するワープゲートここを通るとダンジョンまどろいの森に入ることが出来る、シンプルな構造でトラップも少なく癖のあるモンスターもいない、まさに初心者御用達の優良ダンジョンである。
チュートリアルで貰った人型を右手に無型を左手に装備してダンジョンの準備を進める。
「おおすげぇ!!映像で見たやつと同じだ!!」
「一つを操作するだけでも相当大変でしょ、いきなり二つ同時に操作するなんてできるの?
「やったことないけど10分もすれば慣れると思うから、まぁ見ててよ。てか、結局二人は職業何にしたの?」
「俺は言っていた通り拳闘士だな、パワーとスピードは高いが防御力も低いし賢さも低いって感じだ」
「私はテイマーと召喚士最後まで迷ったけど転職後のことを考えたときに面白そうな召喚士にしたわ、ステータスは大体平均より少なくて賢さだけ尖っているって感じね、聞くまでもないかもしれないけど筑紫はどうなの」
「そうだなコーキの視聴者のために改めて説明しよう。俺の職業は傀儡師、ステータスに関して他を知らないから正確には分からないが概ね平均だな全部、ただ火力に関しては他のどの職業よりも出るから期待してろよ」
猴希を先頭にワープゲートに入る、いよいよ初ダンジョン攻略開始である。
『ダンジョン:まどろいの森』
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