チュートリアルがムズ過ぎる3
良ければ評価・ブックマーク登録をお願いします。
~ロードオックス社 side~
「調子はどうだ?」
「びっくりした!!!、なんだプロデューサですか」
一見お調子者に見えるこの男こそロードオックス社の取締役でありRoLのプロデュサーでもある吉川直輝その人である。
「何だってなんだよ」
「そんな登場の仕方するからでしょ」
「手厳しいね、それで一時間経って問題は起きてるか?」
この気だるそうに吉川の対応をしている男、名を室内俊英と言い圧倒的な能力を持ちながらトップになることを極端に嫌う性格から肩身の狭い思いをしていたが、吉川という付き従うべき対象を見つけたことで才能が開花し今ではロードオックス社の№2の座を確固たるものにしている。
「今のところ問題はありません、サーバーもこの調子なら落ちる心配はなさそうです」
「今同接どのくらいなの?」
「約10億ぐらいですね」
「分かっていたとはいえエグイ数字だな」
「本当ですよ」
「それで、面白そうなプレイヤー見つけた?」
吉川はRoLの顔になりうるプレイヤーを探すために目ぼしいプレイヤーの選別を各所に頼んでいた。
「まだ一時間ですからねもともと地位のあるプレイヤーぐらいしかいませんね」
「そりゃそうか」
「ただ、個人的に興味を引いたプレイヤーはいますよ」
「辛口のお前がそこまで言うなんて珍しいな」
吉川の右腕としてこれまで出世街道を邁進してきた室内のことを誰よりも信頼している吉川にとって室内がここまではっきりと興味があると言うなんて相当なことだろうと思った。
「このプレイヤーです」
「筑紫、なん聞いたことある名前だな」
「DarkWalkerのTA世界記録保持者です」
「すげーな」
「VRゲームの腕が相当立つようですが、どうやら我々に想像をはるかに超えるレベルみたいです」
「えっ!!!傀儡師やってんじゃん!!」
「驚くのはまだ早いですよ、彼すでに人型傀儡をマスターしそうですよ」
「嘘だろ!!!!うちの社員誰もできなかったのに」
「一時間で歩行まで出来るようになったみたいでもう一・二時間すれば人型のチュートリアルはクリアするでしょうね」
「マジかよ、これ一日で傀儡師のチュートリアル終わるんじゃない」
「恐らく」
「すっげー」
「どうします、まだ誰にも個人の担当スタッフは付けていませんが…」
「今すぐ付けろ、ただ本人には知らせなくていい最初の公式放送かなんかで発表しよう」
「分かりました。そのように手配しておきます」
「末恐ろしい人材を見つけてしまったな」
この日土筆すぎながRoLの顔になることが決定した。
開始から一時間半安定して走ることが出来るようになったためミッションをある程度まで進めることにした。
「ミッション1・2は通常攻撃とスキルか」
人型傀儡に剣を持たせ素振りをしてみる、何度振っても自分の思い描いている通りの太刀筋を描いてくれない、振り方も剣に振り回されているような形になっている。
これが傀儡の性能の所為なのか、自分の不出来から来るものなのかも分からないため一瞬迷ったが取り合えずチュートリアルを終わらせることが先決であるためそのままミッションを続ける。
すぎなの操作する傀儡が上段に構えた剣をダミー人形へ振り下ろす、そのまま切り落とすことは無かったがダミー人形の肩を確実に捉えていた。
『ミッション1達成』
「傀儡師のスキルってなんだろ、攻撃スキルとかあるのかな」
武器指南表を見た限りどうやら1レベの今の状態では直接的な攻撃スキルは無いらしい。
「最初は対傀儡用のバッファーって感じか、力・速さ・硬さぐらいかな」
試しにバフをかけてみる「パワーインク」
すると、人型傀儡がぼんやりと赤い光を体に宿し始める。見た目は相当地味だがこれは地味にお世話になりそうなスキルである。
さっきと同様に剣を上段に構えてダミー人形へと振り下ろす、さっきと同様にとまではいかないが鎖骨あたりにヒットする、肩に当たったのと比べると二倍ほど傷が深くなっている。
『ミッション2達成』
単純計算だと2倍だと思いたいが、当たり所なども考慮すると1.75倍ほどだろう。数値としては十分に異常な数字ではあるが、この職業の難易度から考えると2倍にしてほしいとも思ってしまう。
「たしか、次の3・4はカウンターだよな、これに関しては俺の得意分野だからなさっさと終わらせてやる」
さっきとは違い一定のリズムで剣を振るうダミー人形、上段切りから水平切りそして再び上段切り、ただし次は水平に行くのではなく下から上へと切り上げる、ここで一番大きな隙が出来てまた最初の上段切りに戻る。
「一番カッコいいのは最後の切り上げを半身でかわしてカウンターをぶち込むのだろ」
一回目の挑戦、最初の上段切りをサイドステップでかわし次の水平切りを屈んで避ける、すぐさま上体を起こして次の上段切りをさっきの要領で避けながら剣を上段に構える、切り返しの切り上げを重心をずらして半身分上体を横へ反らすことで避ける、がら空きになった横っ腹へ剣を一直線に振り下ろす、通常攻撃以上に手ごたえを感じる、恐らくこのゲームにはカウンターの概念がシステムとして組み込まれているのだろう。
『ミッション3達成』
「ふぅ、動かすことさえ出来ればカウンターは簡単だな」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
良ければ評価・ブックマーク登録をお願いします。