チュートリアルがムズ過ぎる2
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開始から一時間人型を歩かせることに成功した。
普通の人間からすれば驚異的なスピードであるが、難ゲーのTAという人間離れしたことを日常的にやっていたすぎなにとっては屈辱であった。
大抵のことをそつなくこなしてきたためチュートリアルという物は飛ばすことすらザラにある不必要なものであるという認識であったからである。
「マジでやばいぞこれ!!!!、チュートリアルを一時間やってまだミッション1に挑戦すらできていないなんて!!」
今現状歩くことしか出来ないが戦闘をするうえでは何が必要なのか、走る・ジャンプするはもちろんの事回避するためのサイドステップ・バックステップも必要だし万が一の緊急回避のような行動もできなければならない、人型の場合は装備を持ったうえでの重心の感覚も身につけなければならない、どうやら道のりは長そうだ。
そうやって休憩しながら作戦を練っていたら誰かから連絡が来た通知の音が鳴った、何かと思い確認したところでやっと自分の今の状況を客観視することができた。
通話のミュートを解除して待たせてしまっている二人に弁明を試みる。
「え~、こんなにも長い時間待たせてしまって大変申し訳無いです」
「本当だよ、何してたんだ今まで流石に心配になるぞ」
「何かあったの?」
純粋に俺のことを心配してくれる二人に申し訳ない気持ちが込み上げてくる。
二人がとっくにチュートリアルを終わらせているという事実を知り、今しがた考えていた希望もついえたところで、自分が今やらかしているんだという事実だけが残った。
「チュートリアルが終わりません、そして終わるめども立ってません」
「「え!!?!!?!!」」
「もしかしてお前」
「お察しの通りかと」
「こんなに情弱だとは思わなかったわ」
「本当に恥ずかしい限りです」
二人の口ぶりを聞くに傀儡師は相当な位置づけをされているということが容易に理解できた。
ここで初めて情報の共有を試みる。
「お二人の見解では俺はどの位でチュートリアルを完遂できると思います?」
「え~、ガチな話俺の知っている情報とお前の能力を鑑みると、希望も含めて一週間」
「一週間!!!!!!!!」
「広報の人からの情報なんだが開発担当チームでテストプレイを試みた結果、立つのに三日掛かって心が折れてAIでのテストに変わったって笑いながら言ってたから」
「な~に笑ってんだ!!!!、そんなもん採用すんな!!!!!」
「私も、上振れして一週間が妥当だと思うわ」
「ツバメまで同意したらガチねーか」
ここにきて現実を突きつけられながらも猴希の情報から一筋の希望を掴んだことにより諦めの考えが消滅する、もう後戻りはできない気づくと同時にここで辞めたら自分のゲーマーとしてのプライドが邪魔をしてRoLを心ゆくまで楽しめないということにも気づいてしまった、もう後戻りはできない、傀儡師を選択した時点でこうなることは決定していたのだ。
しかし、二人と約束を交わしていた手前いつまでも待たせるわけにはいかない、漢としてここで高らかに宣言をするのが筋だろう。
「三日待ってくれ」
この数字がすぎなにとっての限界の数字であった。
「分かった、約束だ」
「私はいつまででも待つぞ、こいつと違って絵変わりや展開を気にするわけではないからな」
「ずるいぞ、お前だって早くやりたくてうずうずしてるくせに」
「乙女に向かってお前と言うな!!!」
いつもの二人のプロレスを聞きながらチュートリアルに再び集中する。
「久しぶりだなこの感覚は、初見でDarkWalkerをやって以来じゃないか」
すぎなは興奮していた、また困難を乗り越えることができる現状に。
「本気出すか」
~猴希・燕 side~
「一番恐れていた事態が起きたな」
「そうね、あそこまで話題になった傀儡師を知らなかったなんて、流石としか言いようがないわ」
「本当に、見てるみんなも驚いたでしょあれがゲームに全ステータスを注ぎ込んだ人間だよ、俺の一週間って発言に嘘だとか妄言だとか言ってる人いたけど、あいつの三日でマスターするって本気だからな、君たちはまだ筑紫という人間の本気を理解できていない」
「みんな筑紫のことを過小評価し過ぎよ。私もVRゲームのプロを何人も見てきたけど筑紫以上のプレイヤーを見たことないわ」
「それに関してはおれも激しく同意するよ、みんなあいつの本気見たことないでしょ元プロの俺ですら引くレベルだからな」
「勿体ないわよね筑紫が配信しないの」
「俺はRoLを利用してあいつに配信やらせようと思っているけどな」
「あら奇遇ね、それ私も考えてたわ」
「あいつの事になると気が合うな」
「そうね、筑紫の時だけ」
「そんな言い方ないだろ」
「はいはいそうですね、それより筑紫が合流した後にスムーズに攻略組に合流できるように準備っしておかなくちゃでしょ」
「そうだな、みんなこれから三日あんまり最前線で攻略って訳にはいかないと思うがそれ以上に傀儡師とかいうネタ職の本域を見れることの方が面白いと思うから我慢してね」
こうして猴希と燕の二人も本格的に動き出した。
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