伝説への道が開かれる
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「暑すぎるだろぉ」
往復してもカップラーメン1つ作れないほどの近さにあるコンビニまで歩いただけで汗を垂らしているこの男こそこの物語の主人公土筆すぎなである。
「ふぃ~、生き返るぅ」
冷房の効いた部屋に入ればすぐに灼熱の外気を忘れさせてくれる。
ソファにどっかりと座りテレビをつけながら買ってきたカップラーメンを作り始める。
『今年の夏は例年以上の猛暑日になるでしょう』
「これ以上暑くなったら溶けちまうよ」
『次のニュースです、ロードオックス社から発売される話題の新作VRMMO、RoadtoLegendsのサービス開始まで8時間を切りました、プレイされる方はくれぐれも体調の管理を欠かさぬよう注意してください』
技術の進歩も目覚ましいが人間の対応能力も中々だな、まるで熱中症対策を呼び掛けるがごとくゲームの体調管理に関する注意喚起がされるようになるなんて数十年前から考えたら考えもしなかっただろう。
発売すらしていないにも関わらず世界中の話題を搔っ攫ったロードオックス社の約束された神ゲー、まず間違いなく覇権を握るであろうこのゲームは予約開始日に予約数1億ダウンロードを突破サービス開始が数時間に迫った今総ダウンロード数はゆうに10億を超えている。
「いよいよ今日サービス開始かぁ、王道ゲーやるなんて久々だな面白いことが確約されているなんてどれだけ幸せなんだよ、あほみたいに奇げーと難ゲーしかしない俺がおかしいんだろうけどな」
こんなにもわくわくするなんていつぶりだろうか、誘ってくれた二人には感謝しなければ。
食事を終えたすぎなは、サービス開始に万全の状態で始められるように仮眠をとる。
刻一刻と迫るサービス開始に世界中がゲーマーが準備を始めていた。
ジリリリリリーと鳴る目覚まし時計に起こされ怠い体を持ち上げる、窓を見れば夕日の優しい光が瞳孔を開いてくれる。
時刻は19時を少し過ぎたころ、夏至の近い今の時期は思った以上に日が長いものである。
いよいよRoLのサービス開始まで一時間を切った今現在SNSを見ればトレンドのほとんどがRoL関連で埋まっていた、前情報を全く調べていないすぎなにとってすべての情報が真新しく見えたが余りの情報の多さに絶望して見るのをやめてしまう、真偽も分からないものに時間をかけてしょうがない。
「まあ、わからなかったら二人に聞けばいいだろ」
この甘い考えが今後の人生を大きく左右する判断だと知るのは少し先の話である。
「そういえば、最初から通話つなげるのかな」
取り合えず、連日ログインし続けるための環境整備を始める、感覚を目覚めさせるために難ゲーのTAを一つぐらいやっておきたいのでそそくさと準備をする。
「流石にDarkWalkerにしておくか、ここで熱くなってサービス開始に間に合わなくなったら本末転倒だからな」
DarkWalkerとはすぎなのゲーマー人生において最もやりこんだであろうタイトル、ボスを倒していくタイプの難ゲーである本作はあまりの難しさからバグではないのかとクレームが入ったほどの難易度を誇る。
難ゲーの中でも頭一つ抜けて難しい本作は通常10時間を切ることができればばVRゲーム上級者と言われるこのゲームの現世界記録保持者であるすぎなは平均30分ほどでラスボスまで駆け抜けることができる。
「25分か悪くないな」
ノーミスでラスボスまで駆け抜ける、初見であれば感動さえ覚える仰々しい大門も今更何の感情の起伏も起きない。
「RoLでも高難易度職業やりたいな」
なんて考え事をしながら一度もミスをすることなくラスボスを完封していく、ラスボスでさえすぎなにとっては準備運動程度にしかならない。
ノーミスで29分36秒、準備運動にしては悪くないタイム、感覚も冴えてきたのでホームに戻りサービス開始まで待機する。
円形のソファーに高性能プロジェクター、寝室にバスルーム、高級ホテルのスイートルームをもとにして作られたカーボ社のホームはこれだけのために購入する価値があるとまで言われるほど完成されている。
ホームで寛ぎながら二人に連絡してみる。
「もう集まってるから早く来いよ~」とのお達しが来たので通話に参加する。燕は配信していないと思うけど、猴希は配信付けてるだろうな。
「おつかれ~」
「お疲れ様」
「おつ~」
「配信はつけてるの?」
「あぁ、もうつけてるぞ」
「オッケ~」
「ツバメは配信してるの?」
「今日は初見だし取るつもりはないわ」
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来栖燕 22歳 女 社長・インフルエンサー、来栖グループの一人娘17歳でストリーマー事務所を開設20歳で上場しネットニュースを騒然とさせた。あまりの美貌に一ファンである秘書がSNSアカウントを開設することを懇願し開設、今では総フォロワー数5000万人を超えている。
水沐猴希 31歳 男 元プロゲーマー、FPSを中心に活動していたが世界大会を優勝したのちにプロゲーマーとしての自分に限界を感じストリーマーに転向、持ち前のゲームスキルと豪運で瞬く間にトップストリーマーへの道を駆け上げっていった、今では平均同接10万人以上のトップストリーマーである。
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