小公爵、子爵令嬢を救う
ー小公爵Siteー
「ガレント子爵夫妻が事故死だと!?」
執務中にトマスが急いでやってきてハルトへ伝える。
「はい…。先程、報告がありました。急いで報告に参りましたので、詳細については殆ど不明です。それと…」
「まさか、エリーゼ嬢に何か!?」
「エリーゼ嬢に関わることにございます。
夫妻が事故に遭った当日に、失踪中だったエリーゼ嬢の兄君が姿を現したそうです。」
「!!」
「そして、エリーゼ嬢の兄君であるオリバー様が親戚と共に子爵家へきて、ガレント商会を継ぐのは自分だと、仰ったそうです。
タイミング的に事故はもしかしたら…」
「まさか、エリーゼ嬢の兄上が…」
「事故の調査には間諜を忍ばせてあります。報告があるまでは待つしか…」
「わかった。エリーゼ嬢は今どうしている?」
「遠縁である、ウォルト侯爵夫人が彼女を傍で支えているとのことです。」
「ウォルト侯爵夫人!?サイクスの婿入り先だったな?」
「はい。」
「今すぐに、ウォルト侯爵と会うことはできるか?」
「可能と思われます。」
「では…これを…」
彼は便箋に今から来てほしいと侯爵へ伝えることにした。トマスはそれをウォルト侯爵家へ届け、数時間に公爵家に来てもらえることになった。
ー数時間後ー
「ウォルト侯爵、ご無沙汰しています。本日は急な呼び出しにも関わらずお越しいただき、感謝します。」
シールズ公爵家にやってきた侯爵を迎え入れたハルトは、応接間で侯爵に伝える。
「侯爵夫人の遠縁であったガレント子爵夫妻が亡くなりましたね?そこの娘である、エリーゼ嬢をウォルト侯爵家で保護してもらいたいのです。」
「随分と、単刀直入ですね?エリーゼとは知り合いで?」
「知り合い…ではない。
だが以前に伯爵家の茶会で彼女が虐めに遭っていたのを私は見て見ぬ振りをしたんだ…」
「ああ。その虐めの件に関しては私も子爵から聞いていました。
それで、小公爵はエリーゼの保護を私どもに依頼した後はどうするおつもりかな?」
「…」
「まだまだのようですな。表情に出ていますよ?」
「私は彼女のことが気になっています。恐らくはそういう意味で。」
「なるほど。それで?」
「彼女とは縁があったとしても公爵家と家格が釣り合わないと外野が煩いだろうと考えました。
もちろん、万が一にも彼女に想いを告げて
了承を得られたら、守り抜くかこの家を捨てる覚悟もありました。」
「ほう。」
「だが、子爵夫妻が亡くなり、失踪中であった、兄君が帰ってきて、商会を継ぐのは自分だと言ったそうで。そして、彼女の兄君は彼女を金持ちに
嫁がせる算段をしていると調査結果にあがってきたのです。」
「なるほど。それでウォルト家に保護を?」
「はい。」
「亡き子爵夫人は元々は伯爵令嬢。妻とは遠縁で年も同じで仲がよく、商会が忙しくなる前は、我が家へも来ておりましたからね。」
「ウォルト家でエリーゼ嬢を一時的に保護してもらえるのであれば、私の母上の実家と養子縁組をして…」
「小公爵に言われずともエリーゼを侯爵家で保護し、養子縁組をしようとしておりました。」