小公爵、子爵令嬢を調べる
ー小公爵Siteー
時は、エリーゼがまだ子爵令嬢だった頃。
「茶会で見かけたエリーゼ嬢…彼女は子爵令嬢と言っていたな…」
彼は茶会で偶然見かけた少女エリーゼのことが
気になって仕方がなかった。
「トマス、いるか?」
執事であるトマスを呼ぶ。
「坊っちゃん。どうなさいましたか?」
「調べてもらいたい令嬢がいる。」
「坊っちゃん!!とうとう…」
「勘違いするな!この前の伯爵家の茶会で他家の令嬢から虐めに遭っていた少女だ。他意は…」
(他意はないと言い切れるのか…?)
「私は、とうとう坊っちゃんが腹をくくったのかと…この刹那に旦那様へ報告して、坊っちゃんがその御方と結婚式を挙げるまで想像しましたのに…」
「飛躍しすぎだろう?まあ、お前が引退するまでにはいい報せをしてやる。それで、調べてくれるか?」
「畏まりました。どなたでしょうか?」
「家名までは分からなかったんだが、子爵家の令嬢でエリーゼという名なのだが…」
「それならば、ガレント子爵家のエリーゼ嬢のことだと思われます。」
「知っているのか!?」
「ええ。商会を営んでいる家です。平民、貴族関係なく商いをしている割と大きな商会でございます。この公爵家の分家の中にもガレント商会と
懇意にしている貴族も多いと思います。
エリーゼ様の情報でしたら、時間がかからずに御用意できますよ。」
「そうなのか!?」
「はい。ガレント子爵本人も、夫人もとても人柄がいいと聞きます。さらには、近々伯爵位へ昇爵するとの噂もあるほどで以前から旦那様のご指示で調べておりました。子爵家自体の調査報告書ならば直ぐにお持ちできますが?」
「ああ、頼む。」
「畏まりました。」
(エリーゼ=ガレントか…)
彼は執事からの報告書を受け取り、驚いた。
彼女は商会にも自ら立ち、接客をしていて客から人気もあり、貴族だけでなく、平民の金持ちからの縁談を持ちかけられていた。だだ、彼女の両親は跡取り娘でもある彼女を嫁がせる気は全くないので、縁談が結ばれることはなかったらしい。
さらに報告書を読み進めていると、家族構成の所に兄(失踪)と書かれていた。
「兄がいたのか…兄の失踪で跡取りとならざるを得なかった…まあ、貴族では男女関係なく、
優秀な者が爵位を継ぐこともあるからな…彼女が優秀だった可能性もあるだろう。」
「左様にございますね。」
「また会えるだろうか…」
「坊っちゃん、やはりエリーゼ嬢のこと…」
「トマスに隠しても仕方ないな。
おかしいだろ…?一度しか見たことない令嬢に想いを寄せているなんて…こんな気持ちは初めてだ…。」
「いいえ。ちっともおかしくありません。坊っちゃんにとっては初恋…ですね。」
「そのようだな。ただ、彼女は子爵令嬢で跡取り娘だ。俺が想いを告げることはない。
もしもこの気持ちが叶ったら、俺はこの家を…」
「そうでございますか…。
そこまで、坊っちゃんのお気持ちが…。」
「いっそ、兄とやらが…」
「エリーゼ嬢は跡取りとして頑張っておられます。陰ながら商会を支えるのが宜しいかと…」
「そうだな。変なことを言ったな。すまない。」
執事トマスと会話をしてから、
ハルトは最近始めた執務へ戻ることにした。