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小公爵の告白

「私()()()ではないよ。君は自分を卑下してはいけない。君を大切に思ってくれている人たちがいるのだからね。

あれ以来、()は、エリーゼを護れるようになんでもすると決めたんだ…。」

「わ、私を護る…?」


驚きハルトを見つめるエリーゼ。


「ああ。小公爵として、誰からも一目置かれ、父上でさえもいつ俺に公爵を継がせてもいいと思ってもらえるようになれば、この国で俺に喧嘩を売る奴はいないから。そうすればエリーゼを護れるのではと思ったんだ。」


隣に座っていたはずのハルトが彼女の足元に跪く。


「エリーゼ、初めて君を見たときから君のことが大好きだ。」

「!!」


エリーゼの開いた口が塞がらない。

マリアとサイクスも驚きを隠せないでいる。


「ちょ、ハルト!急きすぎていないか?」

「ハルト様、本日言うなんて、聞いてませんわ!」


マリアとサイクスは彼の気持ちを知っていて、ふたりを引き合わせたのだ。


「これを逃すと、またエリーゼと会えなくなってしまう気がしたんだ。でも、この気持ちは本物だよ?

エリーゼの率直な気持ちを聞かせて…?」


彼女はどうしていいのかわからなくなった。


(お茶会の時に少し会話をしただけで楽しくて仕方がなかった。でも、好きかどうかは…。

ううん…分かってる…好きかどうか考えている

時点で気持ちは寄っているんだわ…

でも、ほぼ初対面だった訳だから…)


「あの…ハルト様と少し話ただけでしたが、

時間を忘れてしまうとはこのことなのだと思った程にとても楽しかったです。ですが、まだ会ったばかりで…」

「そうだよね。」


ハルトが肩を落とす。


「ハルト様、提案なのですが?」


マリアが助け船を出してくれる。


「急きすぎては事を仕損じてしまいます。ですから、友人として始めてはいかがです?

エリーゼはまだまだ高位貴族になりたて。私たちとお茶をしたり、お出かけしたり嗜みを共にしながら、親睦を深めていくのですわ。」

「それはいいかもしれないね。エリーゼ、マリアの提案はどうだろうか?私やマリアも君を近くで見守れる。」

「お姉様、サイクスお義兄様…。」

「エリーゼ、どうだろうか?マリア嬢の提案、俺はいいと思ってる。

今日は流石に急きすぎて反省している。申し訳ない…挽回の機会をくれないかい?」

「はい。ハルト様。今は、友人として宜しくお願いしますわ。」

「ありがとう。エリーゼ。」


エリーゼとハルトは微笑み合う。


「ハルト様、先程から気になったのですが、エリーゼと呼び捨てにするのは公の場では如何なものかと…」

「私もそれは気になっていた。

私は義理の兄だから、構わないだろうけど、ハルト、君はただの友人だ。婚約者でもない令嬢を呼び捨てにしてはエリーゼの将来にも関わる。

私たちの前では構わないと思うけど。」


サイクスはエリーゼに視線を向ける。


「公の場では気をつけるよ。ありがとう。エリーゼも、ごめんね?」

「いいえ。」

「ウォルト様方、迎えの馬車が到着しました。」


シールズ家の家令が呼びにきた。


「では、リゼお暇しましょう。歩ける…?」

「はい。もうすっかり。ハルト様、サイクスお義兄様、これで失礼します。」


エリーゼとマリアは礼をして屋敷への帰路へ就いた。

因みに、シールズ公爵家は

この国唯一の公爵家であり、

現公爵は国王陛下の異母弟です。


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