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ガレント商会の最期…

ーエリーゼの兄オリバーSiteー


オリバーは両親が営んでいた小さい商会を継ぎたくなくて、家を出た。

しかし、彼は容姿だけは良かったので生活には困っていなかった。


「オリバー!こんな所にいたのね!」


彼に声をかけたのは近所に住んでいた女だった。


「久しぶりだな。どうしたんだよ?また俺と遊びたく…」

「それはない!そんなことより!あんたの実家が!」

「潰れたか!?」

「違うわ!大きくなってるの!今ではかなりの数の貴族とも取引しているんですって!」

「はっ!?嘘だろ!?」

「本当よ!しかも、伯爵になるかもって噂があるって、貴族の買い物客が!」

「ありえない…あんな親父が…だと…」

「ねえ、今帰れば、あんたも伯爵の息子に

なれるんじゃないの!?もともとは子爵位の貴族でしょ?」

「お前、名案だな!」


彼は実家へ戻り楽して生活する道を選んだのだった。


「オリー、生きていたんだな。」


そんな彼は叔父宅に着いた。叔父は出来のいい弟であるオリバーの父を毛嫌いしている。そんな叔父から冷めた目で見られてもお構いなしに、いい話しがある。と言って商会の乗っ取りを持ちかけた。


「あいつが伯爵だと!?」

「叔父さん、俺はあの家の息子だ。乗っ取って、エリーゼをどっか金持ちの家に嫁にやってしまって、暮らせるように手を貸してくれないか?」

「そうだな…こういうのはどうだ?


お前の両親には馬車で事故に遭ってもらいそのまま…」

「事故死に見せかけるのか?そんなことできるのか?」

「ああ。その手の知り合いはいる。値は張るがな。どうする?あの商会での売上の一部を俺に寄こすっていうんだったら、協力するぞ?」

「ああ!叔父さん、頼むよ!」


彼は自分が楽をするためには両親の死さえも、厭わなかった…。

そして、その計画が実行された。エリーゼが悲しみに暮れているのに彼は何食わぬ顔をして実家へ戻り、少し経った頃に当初の予定とは違った形でエリーゼを商会から追い出した。


そして、商会の金を湯水のように使った。もちろん、叔父にも大金を渡す。


(これで俺の人生楽勝だな!)


「オリバー=ガレントだな?」


ある日、貴族の男がやってきた。


「そうだが、お前は?」

「はあ…貴様も貴族の端くれだろう…

まあ、いい。私は、とある商会を営んでいる

ノーブルと言う。実はこの場所に支店を出したくてね。お金を渡すから、立ち退いてくれないか?」

「な、何を!?立ち退けっ!?金が稼げなくなるだろう!?」

「お金を望みならば、場所を借りるということにして、毎月一定額を貴様に渡すってのはどうだ?」

「くっ…!!具体的にはいくら…」

「そうだな…」


男は悩んでいるらしい。


「1000コールなんてどうだ?」

「そ、そんなにか!?その話し乗った!」

「では、早急に書類を作ろう。ここの商会の書類を用意してほしい。数日後にまたこの時間に来よう。」

「ああ。それと前金で半分でもいいから欲しいんだが?」

「ああ。用意しておこう。では…。」


男が去ったあと、オリバーは嬉しさを噛み締めていた。


「働かないで、月に1000コールもあれば叔父さんに渡しても余裕だな。売上が落ちているっぽいし、こんな小汚い所でなくて、いい家でも買って…」 


彼は薔薇色の生活を夢みて、商会の書類を用意したのだった。

※補足

1000コールは平民の年収くらいです。

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