SはSらしく断るもんだ
最近、頻繁に一緒にいるからか、僕は北野と付き合っているのか、と聞かれることが増えた。
中には、勢いで僕に告白してくる子もいて、僕としては少々困る。
僕は別に男女交際に興味はないのだけれど、北野の側で彼女を見ていたいとは思うから。それは、恋という言葉に似ているし、全く違い、彼女をからかったりするのは至極楽しいと言う、僕に最近芽生えたS的な感情でもあった。
「北野は聞かれない?」
「な、何それ! はじめて聞いたわ!」
北野は顔を真っ赤にしている。僕は本当に何と言われようが、何も感じないんだけど、北野はやっぱり女の子だから違ったみたいだ。
「……迷惑なら弁当とか止めるけど」
北野にそれができないとわかっていながら聞いてみる。
「いや……お弁当はいる」
「大丈夫?」
「ま、アンタならいいわ」
アンタならいいわって意味深だな。よくわからないのでスルーすると、少し不満げな北野の表情が見れたので、得したなと思った。
そう言う話をしていた矢先、僕はクラスの女の子に話しかけられた。
「あの……淀橋君はさ、その、北野さんと……」
「それ、違うから」
またか、と溜め息をつくと、訪ねてきた女の子をビックリさせてしまった。
「ご、ごめんね!」
「え? ああいや、こっちこそごめん」
取り敢えず、笑顔笑顔。女の子は機嫌を直してくれたみたいで、ニコニコ笑ってくれた。
「淀橋君……私、淀橋君が、好き」
で、このパターンだ。なんかあのバレーボールを叩き落とした日から、告白される機会が増えたと思う。
「ありがとう……でもぼ……」
「な、ななな何よそれー!」
でもこの日はそのパターンが崩された。今まで北野本人が出会すことはなかったんだ。
「北野さん!?」
「よう北野」
「……」
北野はあまりの衝撃に、言葉が出ないのか、口をパクパクしている。ちょっとカワイイ。
「よ、ようじゃないわよ淀橋、アンタ何告白されてるのよ!」
「はじめてじゃないけど」
「なっ……」
挙動不審な北野は置いて、僕と女の子は話を進める。取り敢えず説明とかは、その後だ。
「あの……淀橋君、返事は……」
女の子は北野と言う邪魔が入ったものの、めげずに詰め寄る。健気でカワイイ。でも、僕には北野がいるからなぁ。彼女とか作ったら、また北野が一人になっちゃうしな。
「あー……僕今はそう言うの興味なくて。ごめん」
「そっかー……」
振られると落ち込むのは当然で、女の子は泣きそうな笑顔 だった。この瞬間がいつも、苦手だ。
でも、大抵女の子って強くて、そのまま笑顔で去っていくんだ。ある先輩に何でだろって聞いたら、自分で考えろイケメンって言われた。先輩も最近イケメンになったのに。それは良いとして……
「さて」
さっきから固まっているちっこいのを見てみた。
「きたのー。おーい、帰ってこいよ」
口を金魚みたいにパクパクしてる。うーん、北野には今のは刺激が強かったかな?
「取り敢えず、ワック行かない?」
僕は未だに固まって動かない北野の石みたいな体を引きずってワックに向かった。
更新遅れてます。スランプになっております。まことに申し訳ない。次もいつ投稿できるかわかりませんが、出来るだけ早く、そして必ず完結させますので、お気を長くしてお待ち下さいませ。本当に申し訳ない。




