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Sな彼女はお嬢さん

 北野は、普段は普通の女子だ。女子と戯れる北野は、明るく元気で、人気者のようだった。

「北野って人気だよな」

「そりゃ当たり前だろ」

 僕と朝山君はベランダで語り合っていた。

「……何で」

「だって北野ってほら、アパレル会社の社長令嬢であのトップブランドの設立者だろ」

 そう言って、朝山君は北野の蝶の髪飾りを指した。北野の髪飾りは、その美しい髪の両サイドに付けられている。

「あ……何かあのマーク知ってるぞ」

「そ。女の子のブランドになんて疎い俺等でさえ見たことがあるブランドなんだよ」

 すげー! 北野何者だよ。僕はファッションのことは良くわからないな。

「あ……でもさ、淀橋はオシャレだよな。そのベルトとかさ」

 朝山君につられて制服のズボンにはめられたベルトを見る。

「あぁー。これは北野がくれたんだ。アンタ、私の隣を歩くならちゃんとしたベルトをつけなさいよ! ってね」

「ふぅん。ところで、淀橋って北野と付き合ってんの?」

「ちがうよそれは」

 僕達がそんな他愛のない会話を楽しんでいたときだった。

「よ、淀橋君危ない!」

 僕達の下から、緊迫した声が……

「甘いわー!」

 もの凄い勢いで僕の顎5センチ手前まで迫っていたバレーボール(固いやつ)を、僕は渾身の力で叩き落とした。

 その下にはやはり、北野吹雪。

「千宗のくせにやるじゃない」

 その態度は、酷く刺々しい。僕は北野をベランダと言う高さから思いっきり見下ろした。

「……あ?」

 そう、勿論ドS丸出しのあの眼(皆さん、これはマナコと読むのだよ)で。

 周りの空気が凍りつくのを感じた。北野は一度目を逸らすと、小さな声で誤って来る。

「聞こえないな」

「ち、ちひろったら!」

 北野は決心したように上を向いた。あ、ちょっとやりすぎたかな……

「かぁっこいいんだから!」

 えぇー!? こ、こんなので喜んでくれるのかよ!

「あ、ありがとう」

 そしてとりあえずニッコリ笑っておいた、んだけど。

「きゃあっ」

「淀橋君ってかぁっこいい!」

「ステキ!」

 何故か、その場で北野とバレーをしていた女子達が黄色い声を上げだしたのだ。

「えっ、な、何で?」

「淀橋よ……」

 朝山君が僕の左肩に手を置いた。

「お前、キレてるときが一番かっこいいぞ」

 あぁ。僕のSキャラは、意志に反して早くも定着しつつあるようです。


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