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淀橋千宗、ドS発動

今回から、ドS発言満載です。従って下品な言葉や少し卑猥な表現が有りますので、閲覧にはご注意下さい。

「ちーひーろっ!」

「はぁう!」

 あぁ……またこのパターンだ。僕が家を出る→背後に殺気を感じる→背中に衝撃が走り、僕は踏みつけられる。

「や、やぁ北野。おはよう」

「……おはよう」

 北野はその顔を満足気に綻ばせ、僕を見下ろしている。これが、3日前から続く僕達の朝の光景であり、最早定番化しそうであるからそろそろヤバ目だと思う。

「くっはー☆やっぱりアンタをコンタクトにさせといて良かったわ! その顔が歪むのって最高の味ね」

「そうですか……」

 僕は北野が楽しかったらそれでいいんです、はい。

「さっ。学校行くわよ。遅刻したら、また踏みつけるから」

 そう言うと北野は地面に倒れ込む僕をそのままに、ツカツカと歩き出した。

 あれ、皆さんもしかしたら、僕が酷く哀れな奴か、ドMな奴だと思ってないですよね。それは違いますよ……え? どう見てもその2つ以外有り得ないじゃないかって? 僕も昨日の朝まではそう思ってたんだ。でも、僕は僕の中に居座る本物のドSを知ってしまった。それこそ、北野なんてめじゃないくらい。

 確かあれは、3限が終わって、北野達と昼食を取っている時だった。

「うわっ! 淀橋の弁当旨そうだな!」

「ありがとう」

「……」

「本当だあ!」

 メンバーは僕、朝山君、北野、北野の唯一の友達の真鍋さん。北野の今日の昼食はコンビニ弁当だった。

「えぇー。そうかな。これ僕が作ったんだ」

「尚すげー!」

「……フン」

「わぁあ! 凄いねっ」

 次の瞬間、北野が僕から弁当を奪い取り、一瞬にして全てを食べてしまう。

「……」

「あれ、北野さん?」

「美味しい……」

「ち、ちょっと吹雪、それはやり過ぎ!」

 北野はニヤリと笑いこちらを見ていたと思う。その時、僕の中で何かが切れる音がしたんだ。

「……ぞ」

 最初は小さな声だったらしい。でもそのオーラの強さに、教室中が気付かずにはいれなかった、と後に朝山君から聞いている。

「な、何よ。言いたいことがあるなら言いなさい」

 これには流石の北野もビビったらしく、いつもよりは大人し目だった。

「着いて来いよ、北野」

「やだ、ちょっと、離しなさいよ!」

 朝山君達はその場面までしか知らないらしく、その後の事は嬉しそうに顔を綻ばせる北野自身から聞いた。

 あの後僕達は屋上へ向かったらしい。

「……何よ。千宗の癖に生意気梛のよ」

 無理矢理屋上に連れて来られた北野は少し不機嫌だったけど、先程の僕の顔付きにSを感じ、少し期待の籠もった眼差しで見た。

「あ? 犯すぞテメー」

「……!」

 振り向いた僕が放ったのは、まさにSのセリフそのもので、僕の目付きは更に鋭く、Sっ気に満ち溢れていたそうだ。

「あぁー! もうあの時の千宗ってば、格好良かったんだから!」

 しかも北野は何故かそのドSが発動した僕に惚れたらしい。

「……そうですか」

「ほらほら、アンタ、今日から私の弁当も作って来てくれたんでしょうね?」

「うん」

「……は、早く行くわよ!」

 僕と北野は遅刻しないように、早足で学校に向かった。最も、僕の方が背が幾分高いので、少しばかり北野に歩幅を合わせてやらなければならないのは、北野には内緒の話だ。


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