異世界の戦士1
男が一人小高き丘に立つ
前方には幾多の兵士が銃火器を持って迫り来る
男の体は既にぼろ雑巾の様であり、血を止めどなく流していた
「ここで…終わり…かもな…」
途切れ途切れに一言呟くと前に進み出す
最早進んでいるかもわからないがそんなものは関係ない
何故かって?だってこれは只の意地だから
どうせ死ぬのならば戦う事しか出来なくなった哀れな者達の目を少しでも覚まして上げよう
そんなたった一つの意地
だがそれすらもこの体では叶わない兵士の持つ銃の射程距離に入る
こちらには打つ手は無く、只黙ってポケットに手を入れお守りに触れる
幼少期によく遊んでくれた叔父さんからもらった鍵の形をした碧色の宝石
「これはね一度だけ別の世界に行ける魔法の鍵なんだよ」
死の間際だからだろうこんな事を思い出すのは
今でもハッキリ覚えている
「別の世界に行くには鍵を持ってこう言うんだ…」
「open tha future(未来よ開け)」
男の体を淡い碧色の光が包み込む
兵士達により銃弾を打ち込まれるが光に触れると消え去る
「本当…だったのか」
男の体から傷が消えてゆく
手に持っていた鍵が崩れ、一際大きな光が男を包む
「あっ!」それが男の声だったのか兵士の声だったのかはわからない
只一つ言える事は、この世界から男の存在が消え去った事だけである
今回の登場魔法
open tha future(未来よ開け)
一度だけ別世界へと続く道を作り上げる
込められた魔力によって主人公の傷は治った
タイプは移動系である