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HERO!!!  作者: 冴あき
第1章 覚醒
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第7話ヒーロー

 バババギャーン!


 この惨状に、現れた5人の勇敢な爆裂戦士!皆が大歓声を挙げて、周りを囲み始めた。この惨劇の中でも、ヒーローが現れれば、人は直ぐさまそちらに目を向ける。悲鳴と歓声に包まれる一帯。

 スマホでぱしゃぱしゃと写真を撮るもの、体をベタベタと触りに行くもの、握手を求めるもの。それぞれいたが、爆裂戦士達は、落ち着きながら、大声を張り上げた。


「俺たちも救出に参加させて下さい!」主演の木崎真也が、救出中の硝煙立ち籠める場所に現れて一言。その答えはyesだ!間近にこんなスターを見る機会、しかも人間味、いやヒーローとしての登場は皆待ちわびた感情の様で笑顔になって行く…。ただ一人を残して。


「あん?どこぞの人気者かしらねーが!被災現場にテレビの戦隊物なんていらねーんだよ!ここは、あんたらみたいなのが来る場所じゃねーぞぉ!邪魔だ!帰れ!」


 えっ?さっき俺に指示を出した刑事の一言で、周りは緊迫したムード一色になった。

それでも尚、俳優陣達は、頭を下げる。


「分かってます。場違いな事ぐらい。でも私も、他のメンバー含め、以前消防で働いた経験と看護士の経験がある連中ばかりです。そう仰るあなたは、多分救助などのプロかとお見受けするのですが、違いますか?」


「フンッ!俺は救助はプロではないが、こう言う現場には慣れている!全くの素人ではないと言うが、何が出来るんだ!?時間の無駄だ。人気稼ぎは別でやってくれ!おーい君!消化はもういい!こっちを手伝ってくれ!」


 5人の戦士に強い口調でご機嫌斜めな刑事。俺は5人を斜めに見ながら、刑事の指示に従った。消防隊が長いホースを手に傍に近づきやって来る。


「こういう時は、一人でも救助が多い方が迅速な活動が出来ますよ!気にしないで、我々に従ってください」


消防士が一人5人の戦士に声をかけた。


「よぉーし!やるかぁ!みんな!」

「えぇ!」

「おうよぉ!」

「はい!」

「うん!」


 それぞれ、レッド、ブルー、グリーン、ピンク、イエローが声を挙げる。それを見てか、さっきの刑事が、嫌みに鼻を鳴らした。近寄りがたい雰囲気だったが、俺はその刑事の側に駆け寄り手を貸す。

 瓦礫が散乱している撤去だ。

 消防士から手を怪我をすると、手袋を渡されての作業。流石に、結構な大変な作業だった。倒れた電車の破片が飛び散った惨状。


ん?そう言えば、さっきから重要な人物が一人…いない。


あれ?時田さんは?辺りを見渡すが、彼女の姿が無い。


「時田さーん!どこだぁ?」


声を張り上げるが返事は無い。


「どうした?彼女がいないのか?」

「えぇ、そうなんですよ」

「ったく、手伝うって言っときながら…怖くなったか?」

「いえ、そう言う子ではないと思いますけど…。時田さーん!?」


倒れた電車の方に物音が聞こえた。そう思い、足を進めようとすると刑事が呼び止めた。


「君は、ここにいて、俺が探して来る!電車の中とかだと危険だ!」

「あっはい…」


瓦礫の撤去に掛かろうとした時に、頭の中で大きな音がした。


パララパッパラーーン!!


 へ?自分の頭の中の音に自分自身びっくりして、その場に尻餅を付いた。

なんだ?この音!いや、電車も!


 刑事が側面から倒れた上部の窓付近によじ登る。

その時だった。倒れた車内から、突然爆発の光りのようなものが上空に伸びた。しかし、爆発ではない事がすぐに分かった。


「えっ?」


刑事が窓から入った後、また光りが上空に伸びた。

そして、さっきの刑事の叫び声!


「うっうっうわぁー!!」


 皆が電車内に目を向ける。危険を察知したのか、爆裂戦士達が、急に電車側に集まりポーズを決めた。


「やつらか?」

「えぇ多分…」

「ピンク、救助は後だ!」

「皆準備はいいな!」

「おうよぉ!」


 テレビシリーズで見た事ある悪と戦う前の台詞と同じ。その言い放つ爆裂戦士を見て、面食らった。


「えっ?」


 ココは、そう言う場所じゃねーし。第一あんたら、今人間じゃんかよぉーーーーーー!!

まっまさか?変身でもする気か?する気なのか?出来る分けねーだろうが!タイツ着るのか?こんなところでぇ!


そんな思いとは裏腹に、勝手に戦闘モードの爆裂戦士バババギャーン。


「へーん!しん!トォ!」


 それぞれが、言葉を発し、ボーズを決める。いきなり、腰付近に回るベルトが現れた。

そこから、光りに包まれて行く5人の戦士達。


 まっマジか!?

特撮でも何でも無い。現実世界での変身。服を着替える訳でもなく、魔法の様に光りに覆われた後、それぞれの戦闘スーツに形を変えて行く。


ヒーロー!


 これは、テレビでも何でも無いんだ!ホントに目の前で起こっている事なんだ。

ほんの数秒で、5人それぞれの色の戦闘スーツに身を変えた。そして、腕には、ショットガンとソード、ナックルなどの武器が装着されている。それぞれの得意な武器だ。何処からあんなもの!


 数秒の出来事、唖然と見詰める俺と乗客たちは、呆気に撮られて、空いた口が地面にまで届きそうだった。


 変身した5人の戦士達は、ジャンプして電車内に飛び込んで行った。

その時、また電車から、光りが上空に伸びた!いや、光りじゃない!これは爆発だ!

 今度は轟音が発せられて、俺たち乗客が投げ出された場所まで爆風が届き、髪が靡く。俺は顔を背けながら、手で顔を守った。爆風で髪が大きく靡く…。


 そして、もう一度爆発音!


バギューーーーーーーーーン!ボガーーーーーーーーーァァン!!!!!


鉄の車輪が、空中に待っていた。


バババギャーーーーーン!

愛美ーーーーーーーーーーー!


俺は、爆風立ち籠める光りに叫んだ。

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