第29話秦ぜよ side大王
「ワシの呼びかけにも応じず今まで何をしていた?」
「・・・・何も・・・・」
ワシに心の奥底まで見せられんとは、コヤツ中々やりおるわい。フフフフッ!
「まぁ良いわ。戯言はさて置き、今、水島市周辺にパトカー始め、国の存亡をかけてか、自衛隊まで進出しつつある。まずはこれを殲滅。そして英雄達を確保して来い!それがお前の使命だ!わかったな?爆裂戦隊はどうでもいい。英雄たちだけだぞ?」
「ハッ!」
「存分に暴れてこい!後に、お前に増援を送る。その時まで持ち堪えろ!」
「ハッ!」
ワシは、マダムーンを水島市付近へ瞬時に送った。巨大スクリーンに一瞬にして現れたマダムーン。三日月の夜を象徴するようなマダムーン姿は実に美しい。さて、大本命の登場前に奴を更に興奮の坩堝に落とし込めてやるか!ワシが、この日本を牛耳るには奴の力は、欠かせんからな。
すぐさま牢屋に閉じ込めておいた怪人カイトを呼び寄せる。奴は既にワシとマダムーンとのキスシーンを見せる事で意識を失わせた。その際に奴を超怪人へと変貌させた。フフフフッギャラギャラ!今までより強い薬を注入して、更に、パワーアップした奴の登場は間近だ!それで、この日本を陥れてやるぞ。もう少しの辛抱だ。ワシの父親・・・大王魔王の撤退からもう十数年・・・。
ワシは、この機会をどれだけ待ち望んだ事か!ワシの父親である、魔王を倒したヒーローは、もはやワシの親父である大王魔王の怨念が取り憑いた存在。海外で暗躍しておる。それをまた利用するため、ワシは、まずはこの日本だ。
元ヒーロー、憎っくき真野勝利の妻しかり、息子も利用して大きくならねばならぬ。奴との因縁の決着を付ける時までな。
フフフフッ・・・・。
「ギャラギャラギャラギャラ!!!」
「大王様!カイトを連れて参りました」
側近の只野がワシを、呼ぶ声。鎖にも繋がれず、登場したカイト。弱々しい人間の姿だ。ここからこいつの真骨頂を見せてもらえるとは、ワシも贅沢な存在だ。
「カイトよ!鎖にも繋がれ気分はどうだ?」
「・・・・うるさい!今度は何を見せるつもりだ!」
「おおぉ!察しが良いなぁ?」
「・・・・・・」
「まずは、これを見よ!先ほどお前の前に登場した、マダムーンが今、水島市駅付近で自衛隊と交戦中だ!とくと見よ!この進化した母親の姿を!そして怒れ!大切な母親が、罪なき人々を殺していく様を!」
「なっ何だとぉ!」
「フッフフフッギャラギャラ!その目だ!いい目をしておる!もっと怒れ!」
「クッソォ!」
「マダムーンの戦闘力は、自衛隊なんぞあっという間に片付けるぞ!ほぉれぇ!怒って見ろ!」
「やめろ!俺の母親に弾丸を打ち込むな!」
「おっ!?そっちか!そらそうかぁ!自衛隊より、母親の心配か!いいぞぉ!」
「こんなこと止めさせてくれ!頼む!大王!」
「フンッ止めさせるものか!これはマダムーンの使命じゃわ!」
それそれ!怒れ!もっと怒れ!
「最後のご対面もあったらしいが、所詮は、怪人に変貌させたマダムーンよ!よくやりおるわい!」
「なにぃ!」
「フンッ!先ほどまで、母親との感動の対面で、何をしていたかは詳しくは知らんが、最期に話せて良かったのう!」
「なんだとぉ!?」
「自衛隊には負けんだろうが、英雄達には叶うかな?所詮怪人とは言っても、弱小の女怪人。甲冑に身を包まなければ所詮はジャッカルの3倍ぐらいの力しかあるまいて・・・・」
「まっまさか!」
その表情いいぞぉ!憎っくき真野勝利の息子よ。怒り狂え!そして真の怪人へと変貌するのだ。
「そのまさかだよ?緑のタイツには叶うまいて・・・ほぉれ、英雄達が攻撃を喰らわせるとるぞ!どうする?カイトよ?」
「うわぁああああああああああ!止めてくれ!英雄!やめろぉ!」
「怒れ!そして叫べ!ワシの真の僕へと進化するのはもうすぐだ!」
「うああああああああああああああああ!英雄!」
そうだ!怒れ、そしてこの御膳である広間を潰す勢いの波動を発せよ!それがお前の、唯一助かる道だぞ。カイトの波動が、ワシと側近達、そして、周りのジャッカル達は、その波動に耐えきれずに、空を舞った。側近である只野と大荒も、その波動に必死に耐えておるが、もうすぐ宙を舞うであろう。このワシでさえ、踏ん張るのに必死じゃわ。ギャラギャラギャラ!いいぞぉ!
「大王さまぁ!こっこれはぁ!!うおおおおおお!お助けください!」
只野と大荒が叫んでおる。仕方あるまい。側近達は助けてやろうか。マダムーンと英雄達と繰り広げられる戦闘を見て、カイトは変貌していき、叫び声を挙げた。
「フォオオオオオオオオオオオオオオオォオォォォ!!!!!」
波動が、大広間の壁をぶち壊し、空中にジャッカル達、否、元人間達が空を舞った。
怒れ!カイトよ!そしてワシをこの日本の王に秦ぜよ!




