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HERO!!!  作者: 冴あき
第3章 親子
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第26話あやつ sideカイト

「母さん!」


 叫んだところで、何も変わらなかった。

大王会長が座る赤紫ソファの足元。母親は跪き会長に挨拶をする。大王会長は、しゃがれた喉元から声を鳴らし、母親を違う呼び名で呼んだ。


「マダムーンよ!こちらへ!」

「ハッ!」

 母親はその言葉に大王会長の足元から、スッと立ち上がり、会長が座る膝元へと、躊躇せず座る。


「母さん!何やってんだぁ!」

 何度叫んでも、答えは返ってこない。

 大王会長が、母親の顔に近づき、淫らに頬を、舐め挙げる様に、舌を出した。そして母親の腰元に、腕を回し、抱きかかえる。何とも見るに堪えない光景・・・。こう言う時は、頭をかきむしり、爪を噛み、苛立ちを抑えようとする気持ちなる。だが、両手は鉄球が付いた格好で固められている。ただ叫びを挙げて、それに対抗する他、なかった。


「母さん!気持ち悪りーことやめてくれ!何やってんだぁ!」

 そんな言葉を無視し続ける母親は、大王会長の赴くままに、顔をすり寄せられる。そして・・・。

「うーん!馨しいこの妖艶さよ!お前があやつの妻だというのがもったいないわ!」

「・・・・・・」


「何を言っているんだぁ!やめろぉ!」

「フンッ!小童こわっぱが!何を叫んでも、今のこやつに反応はせん!」

「どういう意味だ!」

「フンッ!このマダムーンは、このワシに心を売ったのだよ・・・」

「だから・・・どういう・・・アガアガアッガガガ!!!!」


 大王会長は、俺に右腕を向けて、衝撃波を打った!ビリビリと身体中に電流が走り、瞬く間に気力が萎えて項垂れた・・・。

「ほぉれ見よ!お前がどうなろうと、マダムーンは何も動じないであろう?」


 母親の目は通常の人の様ではなく、眼球が紫に輝いて、俺を見ているが、動じもしていない目つきだった。

「フンッ!いい機会だ!マダムーンの本当の姿をお前にも見せてやろう!」

「な・・・な・・・んだと・・・」

「マダムーン!豹変してみろ!」

「ハッ!」

 母親は、大王の言葉にうなづくと顔を天井に向けて一言「超変!」と言って口を開けた。すると、空気の層が、母親の口に流れ込む。それを全部飲み込んでいく。足元から赤紫に変わり、膝元、腰、胴体。そして肩から背中に鎧をまとい、最後に頭に鉄兜。まるで戦国武将の様に頭部には三日月の紋章が現れて、兜から長い黒髪がうねり出した。


 大王会長の膝の上で、豹変した母親の姿は、俺自身が怪人へと変身したものと近い怪人の姿になっていた。


「う・・嘘・・・だろ・・・!?」

 目元は、紫にシャドーが入り、口元は、更に紅く染まっていた。瞳の色は、紫の蛍光色に光って見えた。

「見ろ!これがお前の母親か?こやつの名はマダムーン!ワシの妖艶おんなだ!妖艶ようえんであろう!こうまでこやつに色気を出させたのも、ワシの器量のお陰だわい!フハハッ!!ギャラギャラギャラ!」


「大王!!貴様ぁ!」

「フンッ叫べ!喚け!どうにかなるものか!お前はもう既に、この家系に生まれたことによって定められた運命だったのだよ!」

「クッ!!大王!許さん!母さんを母さんを改造しやがってぇ!」

「フンッフンッ!これから起こることは、お前にとって、とぉーーーーてっも、無残で悲しい出来事になる!それを糧に大きくなれ!怪人かいじんとして、もう一歩大きくなるんだ!そうすれば道も開けよう!」

「何を言いやがる!お前を許さない!俺はお前を許すものか!」

「出来るか?今のお前に!叫ぼうが、喚こうが何も変わらんよ!これからこのマダムーンはお前の幼少期の友達の元へと行く」

「な・・何故それを・・・??」


「わからぬはずがあるまい!お前は全て、悪の使いの家系に生まれた子孫!そいつをずっと見張っているのは、大王であるワシの役目でもある。まぁ・・・父親のあやつは、ちょっと厄介だったがな・・・。」

「あやつ?」

「フンッ!知らんでいい!あやつは今は諸外国で活動中じゃ!それより、この日本に於いて、ワシは君臨せねばならない!その第一弾は、お前のお陰でうまく運んだ。後はこのマダムーンが英雄ヒデオだったか?のところへ行き、殲滅せんめつさせてくれれば、もうワシの時代は目と鼻の先じゃわ!ギャラギャラギャラ!」


 大王は笑うと、俺に翳していた右腕を母親の胴体の胸元、首元へと、手を這わせいやらしい顔を撫でる。

「カワイイ奴よ!マダムーン!」そう言うと、顔をおもむろに母親の唇に近づけた。仰け反り嫌がりもしない母親・・・。


 俺は叫び声を挙げた。

 見るに堪え難い、有ってはならない出来事に俺は仰天した。

大王の唇と母親の唇が交わるところを・・・。

 俺はそのまま目を白くし、目の前が真っ暗になった・・・。そして口元から何やらブクブクと吐き出して意識を失った。


最後に聞こえてくる大王の笑い声だけを聞いて・・・。


「フハッハハハハ!!ギャラギャラギャラ!」

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