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第8話 真実への第一歩



「え?」


思わず、声が出てしまった。

今凛堂って言ったか?こいつら凛堂を捜してるのか?どういうことだ?一体何のために?

一瞬俺は固まってしまった。


「何か知ってるのか?」


イケメンが怪訝そうに尋ねる。


どうする?素直に言うか?でも、初対面の奴らに教えていいのか?クソ………速く答えないと余計に怪しまれる………。


「おい、もしかs「悪いけど、知らないな。」


「そうですか?ずいぶんとお考えになっていたようですが?」


イケメンの代わりに今度は女が尋ねる。


「あぁ、知り合いに似た名前の奴がいたようなって考えてたんだ。でも違ったよ。ごめんな。俺は凛堂なんて女は知らないよ。」


俺は隠すことにした。やっぱり信用できない。


つーか、今更ながらこいつは凛堂の愛人でも何でもないことを理解していた。冷静に考えればすぐわかったことだが………………。


「そうか。なら仕方ないか。」


「協力できなくてわるかったな。」


「いや、こっちも突然悪かったな…………………!!」


突然イケメンが俺の顔面に向けてパンチを仕掛けてきた。


「な!!?」


すんでの所でそれを躱すが、イケメンはパンチの勢いを利用し素早く体を回転させ、回し蹴りを食らわせてきた。


「がっ………!」


脇腹にもろに食らってしまった。俺は家の壁を突き破り、外まで吹っ飛ばされてしまった。


「ガハッ!!ゲホッ…………ゲホッ…………」


衝撃で吐血してしまう。体中のあちこちが痛い。視界がぐわんぐわんと揺れ、うまく定まらない。

なんのつもりだ………?


「ひゅ~きれいに決まったぜ!なぁ!」


「少しうるさいですよ。」


俺に攻撃を仕掛けてきたイケメンは少しも反省する様子もなく、一緒にいた女も反省を促す様子は微塵もなかった。


「いきなり…ゲホッ………なにするんだ!?」


突然のことに頭が追いつかないが、二人の態度に腹が立ち思わず憤りをあらわにする。


「いきなりもなにも………おまえが情報を隠そうとするからいけないんだぜ。」


っ!バレてるのか?俺が凛堂を知ってることが………どうして!?


「あなたは先ほど『凛堂なんて女は知らない』とおっしゃいましたが、私たちは一度も凛堂真里亜が女だ等とは言ってません。では、なぜあなたは凛堂真里亜が女とわかったのか?簡単です。あなたは凛堂真里亜と接触したことがある。そう考えれば、辻褄が合います。」


俺の心を読んだかのように女が答える。

クソ、迂闊だった………。でも……


「おいおい、それ俺が言おうとしてたんだぜ。」


「そんなことより速く済ませましょう。」


「はぁ~。しょ~がね~な~。」


そう言いながらこちらに歩み寄ってくる二人。俺は体勢を立て直し剣を抜く。

よかった。いつもは家に入ったら腰から外す習慣になっていたけど、今日は外す前にあいつらが来てくれたからまだ腰につけたままだ。

でも、剣が一本あるからって2対1なんて状況じゃほとんど勝機はない。

どうする?どうすれば………


「やっぱりあいつそうだぜ!なぁ!おまえ気づいてたか!?」


「ええ、最初に見たときにすでに気づいてました。」


「はぁ!?なんだよ!気づいてたなら言えよ。」


なんの話だ?

勝手に盛り上がり始める二人、いや、盛り上がっているのはイケメン一人か?


「おまえ、陣野だろ!?ほら生徒会で雑用の!」


思わずギョッとしてしまった。

なんだ?なんで俺の名前を知ってる!?


「ほら!俺だよ!俺!天原!天原(あまはら)正輝(まさき)!憶えてるか?そんでこっちが藤林(ふじばやし)()()だ。どうだ?思い出したか?」


「あ………」


天原正輝。

藤林優衣。

俺はこいつらを知っている………!

そうだ!思い出した!こいつらはあの日俺や凛堂が召喚された日、あの時あそこにいたんだ。

夕ヶ崎高校生徒会副会長天原正輝。

同じく生徒会書記藤林優衣。

こいつらは俺や凛堂と同じ地球での生徒会のメンバーだ。でも、目の前にいる二人はあの頃の二人と違う。天原は確かにチャラかったが、背は今や俺より大きくなっていた。藤林さんはポニーテールではなく、あの頃はショートカットだったはずだ。全く気づかなかった。この感覚は前にもあった。

まさか、こいつらも………?


「な、んで………二人がここに?」


「それはこちらのセリフです。陣野君、どうしてあなたがここにいるんですか?」


俺の質問に答えず、藤林が俺に尋ねる。


「まぁまぁ、そんなのどうでもいいことじゃねぇか。しっかし、おまえはあの頃と全く変わんねぇなぁ。高二の頃のまんまじゃねぇか?」


「はぁ………全く。ですが、言われてみればその通りですね。恐ろしいほどに身体的成長が見られません。」


「そんなこと………どうでもいいんだよ!!!」


俺を無視して勝手に話を続ける二人。さすがに俺も我慢の限界だった。


「なんで、あんなことしたんだよ!?凛堂を捜してるってどういうことだよ!?なんなんだよ!?訳わかんねぇんだよ!!」


俺の人生の中でこれほど大声でしゃべったのは初めてかもしれない。慣れないことでのどを痛めたかもしれない。

でも、そんなことを気にする余裕は今の俺には無かった。


「うるせぇなぁ………。そんないっぺんに聞かれてもなぁ………。どうする?」


「そうですね……もしかして本当に何も知らないのではないですか?」


「はぁ?じゃあ教えてやるか?」


「………いえ、とりあえず凛堂さんの居場所を吐かせましょう。まずはそれからです。」


「ま、それもそうだな。おい!陣野!凛堂がどこにいるか答えろよ。」


また二人だけで盛り上がっている。


「なんだよ………それ………さっきの質問に答えろよ!!」


「めんどくせーな~。………そーだな~。………あ、じゃあ一個だけ答えてやるよ。さっきの蹴りだけど、おまえが凛堂を庇うようなことするからだぜ。俺らはあいつを見つけないといけないんだよ。」


「なんなんだよ、それ………。それを説明しろって言ってんだよ………。」


「まぁ、とりあえずここまでだな。続きはまた今度ってことで。そんなことより凛堂の場所教えてくれよ。」


なんなんだ………。なんにも理解できねぇよ………。

俺が何も理解できずに、呆然としていると天原が再び蹴りを食らわせてきた。


「ゴッ…………!!」


視界が二転、三転とする。

さっきの蹴りもそうだが、とても一般人のものとは比較にならないほどの威力だ。しかもその動きもかなり速い。

持っていた剣は吹っ飛ばされる途中で離してしまい、空しい金属音を響かせて近くに転がる。


「うぐ…………ゴホッ………」


「おいおい、さっさとゲロって楽になろうぜ~。これじゃあ、俺が弱いものいじめしてるみたいじゃねぇか。」


「実際そうでしょう?」


「うるせーよ。」


その会話はまるで休み時間にクラスメートと交わすどうでもいいような雑談のような雰囲気だった。

なんでそんな平然としてられるんだよ?


「素直に話してくれそうにありませんね。拘束しましょう。」


「オッケー」


二人が近づいてくる。

体に力が入らねぇ………。逃げられない………。


「申し訳ありませんが、あなたはこれから我々と………ッ!!!天原君!避けて!!」


ドゴォォッォォォォォォォォォンン!!!!!!


突如辺りが閃光に包まれたかと思えば、次の瞬間には強烈な爆風が俺を襲っていた。


「マジか………!」


「くっ!」


爆風に包まれると思った瞬間、俺の視界がグラリと揺らぎ、すごい速さで周りの景色が移動していった。

なんだこれ?走馬灯?

そんなことを考えていると周りの景色がゆっくりになり、やがて一瞬止まった。視界に映ったのは空だった。かと思えば、また景色が移動していく。


「なっ………うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」


ここで初めて俺は空中にいることを悟った。

なんで空中?

焦りながらも体勢を整えようとするが、体が固定されたかのように動かない。そのまま俺は地面に直撃――――――しなかった。

目を開けると目の前には凛堂がいて、そこでようやく俺は凛堂にお姫様だっこされていることに気づいた。


「凛堂……か?」


「うん、そうだよ。遅れてごめんね。」


そう言いながら彼女は俺を地面に下ろす。その服の所々に血がついている。


「さっきの爆発は…おまえが?」


「………うん。」


爆風に紛れて俺を抱えてくれたのか。


「あっはっはっはっは!まさかほんとにここにいたとはなぁ!」


「まぁ、予想通りといえば予想通りですが。」


爆風の中から天原と藤林の声が聞こえてくる。どうやら無事らしい。


「うるさい。……………ケー君に怪我させたのはおまえか?」


凛堂が二人に向き直る。その言葉から凛堂の怒りが伝わってくる。


「まぁまぁ、久しぶりの再会なんだからよ、ゆっくり話でもしようぜ。」


「黙れ。今すぐ私たちの前から消えろ。じゃないと殺す。」


天原はのんきに話しかけるが、凛堂に会話の意志は全くないようだった。


「おっかねぇなぁ~」


「あなたは気を抜きすぎです。…さて、私たちもはい、わかりましたと素直に帰るわけにはいかないん

ですよ。なぜなら私たちの目的はあなた自身なのですから。」


今度は天原ではなく、藤林が答える。

そうだ。こいつらはやたらと凛堂のことを気に掛けていた。


「…………………」


凛堂は不機嫌そうに二人をにらみつけている。そんな凛堂を見ても二人はなおも今の態度を崩さない。


「俺たちがここに来た理由もわかってるんだろ?」


「そうですよ。なぜならあなたは……」





「魔王なんですから。」


藤林の一言は俺を硬直させるのに充分だった。

同時にその言葉は俺をさらなる混乱へと導いていった。



読んでくださりありがとうございます。

次話の投稿は9月12日以降の予定です。

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