第3話 俺と神様からの贈り物と女神様
更新が少し遅れました。
本当にごめんなさい。
「いいよ、ケー君!その調子!」
「おう!ぐぬぬぬぬ…………」
俺がこの世界に来てから一週間が経った。
あれから凛堂に色々とこの世界のことについて教えてもらった。その中でも興味深いことがあったので、今はそれを実践中というわけだ。
その興味深いことについて説明するために、話をほんの少しだけさかのぼる。
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「え~と、じゃあ魔法について教えるね。」
朝食の後片付けを終え、凛堂が俺に話しかける。最近の俺たちの日課だ。俺は朝食後にこうやって凛堂からこの世界の常識などを教えてもらっている。
今日は待ちに待った魔法を教えてもらえるわけだ。期待で胸が膨らむなぁ。
「おぉ~ついに魔法か!テンションあがるな~。」
「簡単に言うと、体内に流れる魔力を消費して魔法を放つ。それが大まかなプロセスだよ。魔力を消費し過ぎると、スゴくだるくなるんだって。」
「へぇ~。俺が想像してたのとほとんど一緒なんだな。」
「うん、分かりやすいでしょ。あと、魔法にはいくつか属性があってね、火、水、風、雷、土、聖、闇、後は無属性っていう風に分類されるの。」
「無属性?」
「うん、最初の7種類で区別できないものがこれに当てはまるらしいよ。」
「へ~」
この無属性魔法は大半の人が使えるらしいが、他の属性は人のよって得意不得意があるらしく、普通の人だとこの中で二つか三つ使えればすごい方らしい。
「後は~、あ、スキルの説明がまだだったかな?」
「スキル?」
「んーとね、チート能力みたいなものだよ。ほら、向こうの世界でケー君がよく読んでたラノベにもあったじゃん?あれのことだよ。」
「え!この世界にもあるのかよ!?」
チート能力といえば、言わずと知れた異世界転移の定番中の定番である。
よく主人公の能力がクソ強くて、無双しちゃったり、ハーレム作っちゃったり、お金持ちになっちゃったり、ハーレム作っちゃったりするアレのことだ。
魔法の次はスキルかぁ~。もう期待で胸が膨らむどころか、張り裂けそうだよ。
「うん。一応使えるのは異世界召喚された人だけらしいんだけどね。なんかね、魔法とは別の特別な力なんだって。向こうの世界からこっちに移る時に、一回こっちの世界の神様に会って、その神様が私たちにスキルを授けてくれるって言われてるんだ。」
「そんなイベントがあるのか。でも、俺神様に会ってないぞ。」
「うん、私も。なんか夢を見るみたいな感じで憶えてないのがほとんどなんだって。」
「なんか不思議な話だな。」
「だよねー。あ、ちなみにこの時に言語の能力も授けてくれるから、こっちに召喚されたばかりの人でもちゃんと話が通じるし、読み書きもできるらしいよ。」
へぇ~、それは意外だったな。
「文字も読めるのか?じゃあ、おまえも?」
「うん。というか、この話聞くまで相手の人がみんな日本語しゃべってるって思ってた。それにほら!」
そう言って俺にその辺にあった本を開いて見せてくる。
「これ、この世界の五歳児でもわかる魔法の入門書みたいなものなんだけど、どう?わかるでしょ?」
試しに俺も目を通してみる。
ふむふむ、ほうほう、なるほどね、魔法ってこう言う仕組みなのね、へー、実に興味深いね。これってつまり…………
「…………ふふふふ、あっはははは」
「ん?どうしたの?」
「さっぱりわからない。」
俺の言語能力は五歳児以下ということか?
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あれから一通り試してみたのだが、どうやら俺にはこの世界の文字が読めないみたいだ。
最初はいけるかなって思ったんだが、駄目だった。途中で高笑いしてしまうほどわからなかった。数字すら読めないとはな。
しかし、困ったな。これでは一人で町に買い物に行くこともままならないな。
そう、今の俺ではレストランのメニュー表も、服屋で自分がほしい服の値札も、対象年齢五歳児のおもちゃの説明書も読むことができないのだ。
うわぁ、どうしよう。
そんな心配をしていると、凛堂が
「心配しないで、ケー君♪黙ってればそんなことバレないから♪」
なんか楽しそうだな、こいつ。
「ま、まぁ、俺にはすんごい魔法の才能とか完全無敵のチートスキルがあるかもしれないからな!!よし!今からそれを試そう!というわけで実際に教えてくれ、凛堂。」
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というわけで冒頭部分に戻るのである。
ちなみに、ここは屋内ではない。何気に俺はこの世界に来てから初めて外に出たのである。
ちなみにニートだった訳ではない。違うったら違う。この一週間は家の中で凛堂に色々と知識を教えてもらったり、家事を手伝ったりしていたのだ。
そんなこんなで初めて外に出たわけだが、こうやって自分が今まで寝泊まりしていた家の外装を見るのも初めてだったりする。
我が家は現代社会のようなコンクリート製ではなく、木製の一軒家だった。家の構造は二階建てで、一階で食事をし二階が俺たちの部屋という割り振りだ。
内装は今まで掃除していたせいもあってきれいだが、外見はそれほどきれいではなかった。なんというか、汚いと言うよりもボロいという表現が適切だろう。そんな印象だった。
凛堂曰く、たまたまこの場で見つけ、すでに廃屋であったので使わせてもらったとのことらしい。
外と中のギャップが半端ないな。今度こっちも掃除してあげよう。
新しい決意を胸に俺は一歩を踏み出すのだった。
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練習会場は家から少し離れた所にある河原となった。
「近くに川なんてあったのか。気づかなかったよ。」
「うん。よくここでお水汲んだり魚獲ったりしてるんだ。ここらへんは魔獣があんまりいないから安全なんだよ。魚もおいしいし。ここらへんにしよっか!」
「あぁ、そうだな。じゃあよろしくおねがいします。」
とまぁ、練習がスタートしたのである。まずは初歩の初歩ということで魔力を弾丸として打ち出して攻撃する魔法『バレット』の練習から始めた訳だが…………
「うぉぉおぉぉおぉぉ!!バレット!!!」
プスゥ………
俺のバレットは力なく手のひらから出てきて、空気中をふわふわ漂い、優しく消えていった。
なん……だと……?
俺は凛堂に言われたとおりにやったはずなのに……何であんな屁みたいな奴になるんだ?
ということはあれか?
俺は汗水垂らして、散々大声出して、かっこよくポーズもキメて、ずぶの素人でもやるような魔法を必死こいて練習した挙げ句、できたのがすかしっ屁だってのか?
俺は絶望しその場でがっくりと膝をついた。フ、燃え尽きちまったぜ……真っ白にな……。そんな俺を見て凛堂は
「心配しないで、ケー君♪魔法の才能が1ミリもなくてもケー君には他にもいいところがいっぱいあるから♪」
さらりとあきらめやがったな、こいつ。あんまり慰めの言葉になってないような言葉を言う凛堂だが、
「ま、まぁいい!俺に魔法の才能がなくても完全無敗のチートスキルがあるかもしれないからな!!今度はそっちの特訓だ!!」
俺は無意識のうちにまたフラグを立ててしまったのだ。
結論から言うと、俺にはチートスキルなんてなかった。絶望のあまり、俺はその場に四肢を投げ出していた。
なんて残酷な世界なんだ、ここは……。
天は二物を与えずというが、どうやら天は俺には何にも与えなかったらしい。
誰だ?神様が授けてくれるとか言った奴は?全然間違ってるぞ!もういいや、もう疲れたよ………。
そんな俺に凛堂は
「心配しないで、ケー君♪この世界の字が全く読めなくても、魔法の才能が1ミリもなくても、超期待してたスキルを授かってなくても私が一生養ってあげるから♪」
こいつ…………なんて優しいんだ。度重なる無能っぷりを発揮し、絶望にうちひしがれていた俺には凛堂がなんだかとても神々しく見えてきた。
あぁ……神じゃなくて女神がいたのか…………。
そんな凛堂を見て俺はついついこんなことを思ってしまうのだった。
読んでくださりありがとうございます。
次話は8月23日以降の予定です。




