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第16話 お引っ越し大作戦

更新遅くなって申し訳ありません。



「引っ越し?」


俺は地下牢での突然の引っ越し宣言に戸惑っていた。


「そんないきなり………どうして急に?」


理由が聞きたくて凛堂に質問する。


「それはね、昨日私たちあの二人と戦ったからだよ。あの戦いで追い返すことはできたけれど、私たちの家の位置がバレちゃったから。」


そこまで言われて初めて気がついた。


昨日俺たちは天原たちと戦闘になってこいつらを退けることができた。だけど、俺たちにとっては何一つ事態は解決していないのだ。相手に自分たちの位置を、拠点を知られてしまったのだ。


「ってことは、またいつあいつらに襲われてもおかしくないってことか?」


「うん。しかも今度はもっと戦力を増やしてくると思う。」


それはマズい。かなりマズい。

昨日の戦いでわかったことだが、あの二人は強い。

凛堂もかなり強い。


だけど、強いのはあくまで凛堂一人だ。俺じゃとてもじゃないけど、戦力にならない。


「ってちょっと待てよ!そんな大事なこと何で今まで黙ってたんだよ!今の話を聞いてると、昨日の夜とか今朝も本当は危なかったってことになるぞ!」


こちらの位置がバレている。それはつまり、相手の気分次第でいつでも攻撃される可能性があることを意味しているのだ。

そう考えると、こんなに呑気に朝を過ごしている場合じゃないはずだ。

今更ながらそれを理解したため、俺は本気で焦ってしまい、声を荒げた。


「ほんとはね。でもそれは大丈夫。あいつらはそんなにすぐには来ないから。」


だが、凛堂の応答は俺とは真逆に平静そのものだった。


「な、なんでそんなこと言えるんだ?」


「それはね…「あたしが言うよ。」


凛堂の言葉を遮って、別の声が響いた。


声の主は犬山だ。


「犬山………その……大丈夫か?」


「ははは、心配してくれてんだ。ま、大丈夫だよ。痛みは引いたし。おかげさまで。」


犬山はチラッと凛堂を見て、自身のアピールをした。

ほんとに痛みはなくなったようだ。


「さっきの続きだけど、すぐに勇者達がここに来ることはないと思う。」


犬山は説明を始めた。凛堂はそんな犬山をただ微笑んで見ているだけだった。


「理由は戦力が足りないから。単純にね。」


「え?」


「思ったより簡単っしょ?でもたぶん間違ってないと思う。」


「いや、そうじゃなくて…………さっき凛堂が………もっと大勢で来るって……」


「あぁ~、そのことね。それは確実。あたしが言ってるのはこっちに来る戦力がまだ揃ってないってこと。」


分かるような、分からないような………


「あたし達勇者は普段いろんなとこに散らばって、そこで働いてんの。で、緊急の時は集合するって感じなんだけど、今回はそれがまだできてない。元々勇者が三人も居るから大丈夫って感じだったんだけどね、結果はこの有り様。二人は追い返されて、一人は捕まった。誰も予想してないんじゃない?今頃勇者を呼び戻すのに大忙しだよ。」


そこまで言うと犬山はまるで人ごとのように笑った。


「なるほど。つまり、他の勇者が集まるまでは襲撃の可能性は低いってことだな。それで凛堂はこんなに落ち着いてる訳か。」


「うん、ほとんど犬山さんに言われちゃったけど。しかも勇者を三人より多く集めると思うからそれなりに時間はかかるよ。でも、よく言う気になったね。」


凛堂が犬山へ言葉を投げかける。


「まぁね、どうせ言わせるつもりだったんでしょ。今のあたしじゃ嘘もつけないみたいだし。」


「フフ、どうかな。」


どうやらあまり仲良くないっぽい。

すごく険悪だ。気まずい。


「一応家の周りに侵入者用と隠遁用の結界を設置してあるんだけど、安心はできないかな。」


「え?そうなの?全く気付かなかったけど。」


「うん、あと一応人質もいるけど、これもあんまり期待できないかな。」


「うっわ、チョー失礼なんですけど。」


さらりと出た凛堂の毒舌に犬山が口をとがらせる。


「人質として犬山さんがどうこうじゃなくて、人質って言う手段があまり使えないって話。」


「それって人質がいてもお構いなしってことか?」


「まぁ、中にはそんな人もいるけど、魔法使っちゃえば人質を傷つけずに救出するのと敵を撃退するのを同時にできることもあるから。」


「あぁ、そういうことか。」


ここら辺は異世界ならではって感じなんだろう。


「それで…………引っ越し?」


「そうそう。」


凜堂はコクコクと頷いた


「さ、そうと決まったら準備しよ!」


そう言うと凛堂が俺の背中をぐいぐい押してきた。


「あ!ちょっ、おい、押すなって!」


凛堂に押されてる俺はと言うと、まだ混乱していた。

確かに道理は通ってる。けど、なんて言うか……………非現実すぎて脳の処理が追いつかないって感覚が一番適切かもしれない。

今まで散々魔法とか魔獣見てきて何言ってんだって感じだけど。


そういや聞き忘れてたけど、行く宛はあるのか?

あるとしても、ここらへんじゃないよな。元の世界で言う外国から外国レベルの引っ越しじゃないとすぐ見つかるからな。

当然我が家には飛行機はおろか車もないからそんな遠くに行くのに何日もかかることが予想される。


でも、なんかこういう元の世界じゃほとんどできないようなことをするのってちょっとわくわくするな。



――――――――――――――――――



「ケー君は荷物大丈夫?」


「あぁ、思ったより少なかったからな。」


荷物整理が終わって俺たちは家の前に集合していた。時間的にお昼過ぎぐらいだ。


俺の荷物は自分でも少し感動するぐらいきれいにまとまった。俺の荷物の中身は自分の衣類がほとんどだ。後は俺の剣だな。ちなみにこの剣はあの戦いの後、凛堂に返してもらった。

こればかりは鞄には入らないから腰に差していくしかないよな。


鞄と言えば、俺の荷物を入れている鞄は高校の通学鞄を使用している。我が校の通学鞄は革の鞄じゃないから普通のトートバッグのようなデザインで、割と容量がある。普段の学校生活ではこの鞄に教科書やお弁当、水筒、体育着等を入れてもまだ余裕なのだ。


難点はリュックのように背負うタイプではなく、肩から提げるタイプの鞄だからずっと提げてると肩がとてつもなく痛くなることかな。あと、かなり動きづらい。もしこのバッグを持ったまま魔獣に遭遇したら、下ろさないといけなくなるな。

機会があったら、リュックとかもっと機動性を重視したものを買わないと。


あと、これは関係ないことなんだけど、俺の下着が数枚無くなっていた。

暮らしていくぶんには不足してないんだけど、なんか腑に落ちない感じがする。この家に住んでたのは俺の他は女子だけだから、彼女たちに自分の下着の行方を聞くのは色々とマズい。

大丈夫だよな?ただ無くしただけだよな?いくら自分に言い聞かせても不安がぬぐいきれない。


…………………………………………………………………………………………ちょっと聞いてみようかな。


「な、なぁ、凛堂。ち、ちょっと聞きたいことが…「ケー君の下着なら知らないよ。」


「へ?そ、そう?」


「うん、知らない。」


「さ、さいですか………………。」


なんか聞く前に答えられた。やっぱりどっか行っちゃっただけなのかな。

というかさきほどの質問から凛堂が顔を合わせてくれないんだが。


やっぱセクハラとかって思われてんのかな。


「凛堂は結構多くないか?」


この空気の流れを変えるために話題を変えた。

凛堂が持ってるのは大きなリュック一つだ。大きさはノートパソコンが入るぐらいか。だけど、そのリュックがかなり膨れている。


「うん、色々と必要なものもあるし。」


「それかなり重いんじゃないか?何なら代わるけど。」


「ううん、魔法で筋力アップしてるから大丈夫だよ。」


その荷物って魔法使わないといけないレベルで重いのか…………。

じゃあ、魔法使えない俺には文字通り荷が重いかな。

あ!今ちょっとうまいこと言った!ハッハッハッハ…………なんか急に虚しくなってきた……………。


「でも引っ越しって言ってもどこ行くのかあたし聞いてないんだけど。」


犬山が口を開く。彼女はここに置いていく訳にもいかないので一緒に連れて行くことになった。もちろん名目上は捕虜としてだけど。

当然だが、彼女は何の荷物も持っていない。犬山がここに来たのは昨日のことだ。その時に持ってきたものが彼女の今の持ち物の全てだ。ほとんどが武器だったので凛堂に没収されたのだ。

そんな彼女には手錠と足枷はちゃんと外されている。だが、その二つが外された分、今度は首枷がつけられている。


「あ、そうだ。俺も聞いてない。」


「え~と、それはですね~…………………………」


俺と犬山が注目する中、凛堂はわざと間を空けてもったいぶるように話す。

やめろよ、余計に気になるだろうが。


「ひ・み・つで~す!!」


凛堂が可愛くウィンクした。もう一度言う、可愛くウィンクした。心臓が撃ち抜かれた。なんかズキューンと来た。これが萌えるという感情なのか。うん、萌えた。


「いや言えよ。」


犬山がツッコミを入れた。

改めて凛堂が話を進める。


「まぁ、冗談はこの辺にして。行き先はサプライズにしたいから、ほんとに秘密ね。計画としてはいくつか休憩地点とかはさんで目的地に行こうと思ってるから。最初はこの森を抜けたいから、犬山さんのスキルを使うね。」


「え!?犬山のスキルを使うって大丈夫なのか?」


正気になった俺は思わず尋ねた。


「大丈夫大丈夫。今だけ呪詛はスキル限定で解除しておくから。終わったらすぐ直すけど。」


「いやいやいや!そういう問題じゃなくて………。」


俺は驚いてしまった。

見ると犬山本人も驚いているようだった。


今までは逃げられないように犬山のスキルを封じていたのだ。なのにそれをあっさりと使うだなんて………。

驚くな、なんて言う方が無理だろう。しかもここは逃げ道が限られている屋内じゃなくて屋外だ。どこへでも逃げ道はある。いくら首に枷をつけているからって、スキルを使えるこの世界じゃそんなものは気休め程度にしかならないだろう。


「犬山さんは絶対逃げないから、大丈夫。だって私犬山さんのスキルの弱点知ってるから。」


弱点?スキルに弱点なんてものがあるのか?

頭の中が軽くパニック状態だ。


「意味がわからないんだが。弱点って何だ?」


「弱点っていうか欠点だね。その欠点を突くためにやらないといけないことがあるんだけど。あ、そうだ。最初の目的地はリューシン村ね。そこからは歩いて行こうか、同じ方法かで迷ってるんだけど、それは着いてから考えよっか。」


そうやってどんどん話を進める凛堂。

とりあえずだが、まずはリューシンという場所に行くらしい。

だけど、犬山のスキルの欠点って一体………?

というか俺はあいつのスキルすら知らないからどう考えてもわからないんだけどな。


「じゃあ、出発しよっか。よし、ケー君!早速だけど……」


元気よく俺の名を呼び、凛堂がこちらを向く。どうやらさっきのスキルの弱点やら欠点やらを利用する方法を実行するようだ。


「ハグして♡」


だけど、それは俺の想像を遙かに超えた。



読んでくださりありがとうございます。

次回の投稿は10月29日の予定です。

なるべく時間通りを目指しますが、今回のように遅れてしまうかもしれません。

気長にお待ちいただければ幸いです。


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