表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/25

第9話 アナタヲアイシテル ダカラアナタモ……



は?魔王?魔王ってあの魔王か?RPGゲームとかのラスボス的なあれか?凛堂がか?何言ってるんだ?どういうことだ?


「……………………………」


すぐ側の凛堂を見る。だが、凛堂の表情は影になっていて見えない。当の本人も何も言わない。


「凛、堂…………あいつら、なんの話してるんだ?………………まさか……本当………なのか……?」


「………………………………………」


凛堂は何も答えない。


「私たちがここに来た理由は一ヶ月半ほど前の出来事が原因です。」


藤林が語り始める。


「おいおい、結局言うのかよ。」


「どうやら陣野君は本当に何も知らないようなので。この話を終えた後、彼の意志を問います。」


「ふーん」


一言二言、天原と言葉を交え、再びこちらを向く藤林。そして尋ねてきた。


「1ヶ月半前、この森でかなりの量の魔力が計測されました。私たちの目的はその現象の正体と術者の素性の調査です。これがあなたが私たちに聞いた、ここに私たちがいる理由です。何か心当たりがあるんじゃないですか?」


1ヶ月半前……。そうだ。それは


「俺が……この世界に召喚された日………。」


「やはりそうでしたか。」


藤林はつまらなさそうに答えた。


「私たちが召喚されたのは勇者として、魔王を討伐するためだそうです。その魔王こそ、そこにいる凛堂真里亜、というわけです。」


「いやいやいや、ちょっと待てよ!!何を………何を根拠に魔王なんて決めつけるんだよ!?」


俺は未だに理解が追いついてない頭を必死に回転させながら、藤林の言うことを否定しようとする。


「はぁ、陣野君、魔法の属性についてはもうご存じですか?」


藤林は少しため息をつきながら話を始めた。

そのくらいは俺だって凛堂に教えてもらった。


「…………火、水、風、雷、土、それに聖、闇って奴か?」


「ええ、その中でも聖属性と闇属性にはある特徴があるんです。それは、聖属性は人間しか使えず、闇属性は魔族しか使えないというものです。そして凛堂さんは闇属性を使っている所を目撃されています。これがどういう意味だかわかりますね?」


魔族、つまり魔獣や魔人しか使えない?そんな馬鹿な………。俺は確かに凛堂が闇属性魔法を使うところをみた。俺が初めて魔獣と戦ったときだ。でも、俺は凛堂から聖属性と闇属性に関してそんなことは教えてもらってない。本当にそんな性質があるのか?そもそも、こいつらが俺をだまそうと嘘をついてる可能性だってある。だとしたら、こいつらの目的はなんだ?なぜそんな嘘をつく必要がある?俺をだまして得られる恩恵はなんだ?

たくさんの疑念が浮かぶが、それに対する答えは一つも浮かんでこない。


「凛堂さんは二年前に魔王としての正体を現し、全世界から追われているんですよ。いわゆる指名手配ってやつですね。今ではこの世界の子供までもがこのことを知っています。私たちも抵抗するなら殺害せよと命令されています。」


そんな…馬鹿な………どうして?


「ケー君?どうしたの?」


凛堂が俺に声を掛ける。見ると彼女は微笑んでいた。その顔はいつもの笑顔に見えた。だけど、何かが違う。

なんだ?この変な感じ?何かが変だ………。

一瞬にして俺の脳内は先ほどまでの混乱から解放された。だが、今度は困惑に支配された。


「どうしたのって…………………え?……………………………………だって、今………………あいつらが………………」


どうにか言葉を発していく。


そうだ。このもやもやの正体は凛堂だ。凛堂は冷静に俺に語りかけてくる。

そう、冷静すぎるのだ。こいつは今『あなたは魔王です』と言われている。普通の人からしたら言いがかりもいいとこだ。怒って当然の場面なのだ。

だけど、凛堂は怒らない。なんの否定もしない。


どうして否定しないんだ?おかしい。絶対におかしい。


「陣野君。私たちは凛堂さんを捕獲しなくてはいけません。」


藤林はなおも俺に語りかけてくる。


「そこであなたに問います。あなたは凛堂さんの仲間ですか?もし仲間なら私たちはあなたの処罰も考えなくてはなりません。」


俺の……処罰?


「私たちの任務は魔王もしくはその配下の全員討伐ですので。ですが、見たところあなたは何も知らなかったようなので、特別にさらわれた一市民ということで保護してあげます。私たちも無用な殺生は避けたいので。」


殺生?つまり俺を殺すってことか?


「いや、どうせ殺すのは俺だろうが。」


「あれ、そうでしたっけ?」


「あざといな」


「まぁ、全て陣野君が魔王の仲間ではない、としたらの話ですけど。」


つまり………俺が凛堂を切ってそっちにつけば俺は見逃してくれるってことか?そうじゃなかったら、俺も凛堂と一緒に殺すと。そんなの……………………ただの脅しじゃねぇか!!

ふざけんなよ…………!でも、どうすればいい?このままだと…………


「ねぇ、ケー君」


「え?」


その時俺の前に凛堂が立つ。そして俺の顔を両手で固定し、ぐっと自身の顔を近づける。


チュッ


俺の唇に柔らかいものが触れる。そして凛堂は俺からゆっくり顔を離す。

それがキスだと気づくまでに何秒かかっただろう。10秒?30秒?もしかするともっと短かったかもしれないし、もっと長かったかもしれない。


「え?…………………………は?…………………………………………………凛堂?…………え?………………………何、で?」


「フフフフフ、私のファーストキスだよ♡ケー君♡」


そう言って微笑む。


やっべ、かわいい。なんか急に凛堂がかわいく見えてきた。わずかに湿った唇からはどこか妖艶な雰囲気が漂っていて…………って違う!!


「な、何で……今…そんなこと………?」


どうにかして凛堂に尋ねる。


「だって…教えたかったんだもん。」


ん?教える?


「え、それって……どういうことなんだ?」


「だから、ケー君が私を裏切るわけないってことだよ!!」


そう言って凛堂は屈託のない笑顔で俺を見る。


「だって、ケー君言ってくれたよね!私を守れるくらい強くなるって!私すごく嬉しかったんだよ!ちっちゃい頃はあんなに泣き虫だったケー君が、あんなかっこいいこと言うなんて////ちょっと反則だよ////今更だけど、向こうの世界から録音機もってきて永久保存しておけば良かったなぁってちょっと後悔してるの。しかも、ケー君あの後ほんとに強くなってますますかっこよくなっちゃうんだもん///私のことを悶え死にさせる気ですかって思っちゃうぐらい!それにケー君すっっっごく優しいもん!私のこといっつも気に掛けてくれてくれてるし、私の怪我とか心配してくれてるし、私との生活全然嫌がらないし!こんなにかっこよくて優しいケー君が約束破るわけないよね?だって私のために強くなるんだもんね?私のこと見捨てるなんてしないよね?ちょっと今は混乱して即答できなかっただけだよね?うんうん、わかってるよ、私は。ちゃあんと伝わってるから安心してね♡だって私ケー君のこと大好きだもん!ケー君の目が好き。ケー君の鼻が好き。ケー君の耳が好き。ケー君の髪が好き。ケー君の腕が好き。ケー君の手が好き。ケー君の足が好き。ケー君の声が好き。ケー君の性格が好き。ケー君の心臓が好き。ケー君の頭の先から足のつま先まで全部好き!私ね、ほんとにケー君のことが好きなの…ケー君のことが……好き、好き、好き好き好き、好き好き好き好き好き好き好き大好き好き好き好き好き大好き好き好き好き好き好き好き大好き好き好き好き好き好き大好き好き好き好き好き好き好き好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き、大好きなの。愛してるの。もうケー君がいないと生きていけないの。ケー君も私のこと好きだよね?好きだから私のこと助けてくれるんだよね?好きだから地球からこっちに召喚されてくれたんだよね?全部私のためなんだよね?全部私が好きだからなんだよね?私が魔王でも私のこと好きでいてくれるよね?あ!ごめんね。こんな所で言うの恥ずかしいよね?でもわかってるよ。ケー君の考えてることは何でもお見通しだから!私たち相思相愛なんだね!エヘヘヘヘヘへ///だからね、私決めたの。……………私とケー君のこと邪魔する奴は全員殺すって。これから先ね、勇者だろうが、魔獣だろうが、国だろうが、世界だろうが、私たちに危害を加えようとするなら殺す。私たちを殺そうとするなら殺す。私たちを離ればなれにしようとするなら殺す。私たちの幸せを壊そうとするなら殺す。そう決めたの。だから、安心してね!面倒なことは全部私が片付けるから!ケー君は何も気にせず私と一緒にいればいいの!ね!素敵でしょ!?」



読んでくださりありがとうございます。

次話の投稿は9月16日以降を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ