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第5話 鬼参謀


フェンの協力(?)を得られたあと暁達は移動していた


「それで?どこ行くんだ?」

「とりあえず、主力傭兵及び衛兵の作戦会議がある。その会場である神獣様の間だ」

「神獣様?誰だそりゃ?」


そう暁が聞いた瞬間フェンが信じられないという顔をした


「神獣様達を知らないなんて今までどこで生きていたの」

「異世界」

「はい!?」


さすがの態度にルナは呆れて口を開く


「紹介忘れてたわね。こいつは暁、異世界からの客人よ」

「異世界?もしかしてピースの?」

「ええ、実力はソロAランクだと考えていいわ」

「え?ピースって争いがなく平和な世界じゃありませんでしたっけ?」

「それはそうなんだけど、、、、、なんで?」

「今さら聞くのか。別に争いがなくても体を鍛える奴は居るよ。それより神獣って?」


暁に聞かれてルナは少し悩むがすぐに話出した


「さっき言った通り、この世界は魔物が溢れているの。そんな状況下で安全地帯なんて神の使いである神獣様が住む場所、聖域しかなかった。だから私たちは神獣様の許しを得て聖域に街を作っているの。つまりこの街の守護者みたいな感じかな」

「なるほど、道理で魔物が急に襲ってこないわけだ」


さっき魔物がドーナツ状に街を囲んでいたのを暁は思い出した


「そう、基本的に聖域に魔物は足を踏み入れることはできない。とは言え空や遠距離攻撃は出来るわけだから油断はできない。そこは注意してね」

「ちなみに、ここの神獣様は誰なんだ?さっき達って付けたからには色々居るんだろ?」

「そうね。ここはペガサス様よ。そっちの世界でもかなり有名なんじゃない?」

「ああ、正しく神獣だな」


翼を持ち天を駆ける伝説の白馬

そしてもう1つ有名な伝説

2人の憂鬱な顔を見て

フェンが行きたがらなかった事と、無理矢理フェンを連れ出した必死さが同じ理由な気がした


●○●○


「やあ、よく来たね君たち。僕は嬉しいよ!」


扉を開けると飛び付いて、いや正しく飛んできた馬は愛くるしい動物のようにフェンのお腹を顔ですりすりする


「それ以上は命賭けてください」


魔導符を手に持ち威嚇するフェンの胸に近づいていた顔は即座に引っ込んだ

ならばと、ルナの方へ向きを変えると


「、、、、、」ニコッ


無言の笑顔で杖(三股の槍)をペガサス様に向けていた


「じゃあ、2人供僕に乗っ」

「「遠慮します」」


被せて即答だった

―さすがペガサス。淑女しか乗せないという伝説通りの変態だ

変態()は毎日見慣れている暁だったが、この手の変出者はさすがに引いていた

それを見たペガサスは今すぐにでも突進しそうな顔


「君にそのように見られたくはない。君も男子ならば麗しき女性を見て興奮するのは当たり前だろう!」


突如として冷たい目が暁に向けられる


「暁くん?まさか君そんな目で私たちを見てたのかな?」

「先輩が連れてきたとは言え、、、、消しますよ?」


その様子に暁は首を振った


「俺の世界には三大欲求と言うものがある。食欲、睡眠欲、そして性欲だ」


その言葉を聞き、明らかに臨戦態勢に入る2人

ルナは杖を構え、フェンは札を突きつける


「まあ、待て、話は終わってない。その性欲だが運動したりすると減少することはよく知られている。そして俺は大木を片手で折る事ができるように体を鍛えている。つまり俺の場合、性欲は運動欲に変わっている。だから決してお前らをそんな目で見ない。安心しろ」

「おいこら待て裏切り者!この状況で僕を見殺しにするなんて悪魔か!」

「俺の友達からは化け物と呼ばれてるぜ!」


いい笑顔で暁が言い放つと同時。ペガサスに矛先が再び向く


「これ以上私たちをタブらかさないように、、、」

「心の芯にまで恐怖を叩き込んであげましょうか」

「ちょっ、まっ、ぎぃやぁぁ!!」


街が襲われているのに神獣を襲ってていいのだろうか?と思わずにはいられない暁だった


●○●○


神獣への暴行が終わったのは2組の主力が現れた頃だった


「あぁ、気持ちは分かるがそろそろ止めて下さいませんか?『水竜』と『千陣』よ」


そう言う彼女は鎧で身を固め片手に大盾と片手剣を固定していた

純白の武具に盾に描かれた紋章が凛々しい


「グーレーテールーッ!ベグハッ!」


2人の猛攻から逃げ彼女に飛び込むペガサスはその大盾に阻まれ吹き飛んだ。盾がブンッ!と音を立てて振るわれたのは偶然ではあるまい


「全く、馬鹿じゃないのか?ペガサス様」


そう呆れて腕を組む彼は彼女とは反対に軽量装備の姿がよく似合ったイケメン。しかし薬指の指輪から察する限り妻持ち。『ピース』の人々ですら「リア充爆死しろ」と物騒なことを言うのは間違いなかった


ペガサスをボコボコにしている2人も気づいたようで「お久しぶりです」と手を緩めず挨拶をした


「いい加減紹介してくれないか?俺かなり気まずいぞ」

「えぇー?後、2時間はボコりたいのに、、、」

「その堕天馬見てみろ」


Sランクの2人から攻撃を受け無傷ではあるがドンッ!メキッ!グシャッ!のエグい音が聞こえている以上痛みはあるのだろう。その顔は爛々と輝き、顔はつやつや、満面の笑みを、、、


「ああ、えへ、ぐひひ」


、、、、、


「「え?」」


即座にペガサスから離れ顔を引きつる2人


「「目覚めちゃった?」」

「全く、やりすぎなんだよ。こういうのは一撃で確実に仕留めないと」

「そんな軽蔑の目で見られると、こ、興奮するぅ!」

「、、、、、」


ペガサスの新たな扉をガン無視して暁は目で「話し合い。これいる?」と聞く。4人一致で首を振ったのを確認すると


「おい、堕天馬」

「悪いが男の罵りではこうっ!?」


結構本気で後ろ足の間、、、つまり人間の言うところの股を蹴りあげた。何かが潰れる感触に満足し足を離す。ペガサスは痙攣した後、遂に動かなくなった


「話し合いの邪魔寝てろ」

「あ、暁くん?殺しちゃうのは駄目だと思うな?」

「安心しろ『千年殺し』は名前に殺が付くが実際には殺さない。というか、もう自己修復終わってる大丈夫だろう」

「それをさらりとやってのける君は男なのかい?」

「あんたと同じ男だよ」


信じられないといった顔をする彼はそっと自分の股を隠していた


●○●○


作戦会議は行う前に自己紹介をすることになった


「改めて、彼は暁くん。『ピース』の護衛任務の最中、協力者として護衛を助力していただくことになりました。今回は三柱に紹介する道中、この作戦にも助力してもらいます。」

「へぇ、異世界の協力者ねぇ。強いのか?」

「ソロAランクに匹敵していると保証します」

「そりゃ充分な戦力だ。よろしくな。暁。おれは『イーグル』隊長ジェンだ」


暁は差し出された手を強く握る


「よろしくジェン」

「あっ!ちょっとぉ!痛い痛い!実力疑って悪かっただから話してくれ!」


わりとガチでメリメリと聞こえるほど強く握っていたが驚いたように暁は手を離す


「スゲェ。ここまで強く握ったのに潰れない」

「さらっと潰す気で握るな!」


そう言われるが悪びれもなく一言


「だって今まで卵を持つように優しく握らないといけないめんどくさい世界だったからな。ちょっと感動」


、、、、、

何か、変な感じで異世界を感じていた


「なんだ。この感謝されてるんだろうけど迷惑な感じは」

「野性的というか、強気というか、暴力的というか変な子選んだわね。これならうちの弟のほうが良くない?」

「どっちもどっちで良くないです。あとまるで付き合ってるように言わないでください!」

「あら、そう言う関係だったの?私知らなかったわ」

「断じて違います!」

「で、ルナのお義姉さん。お名前は?」

「暁くん!?ちょっと悪乗りは」

「衛兵団『レディアイアン』隊長のグレーテルよ。弟の結婚式には呼んであげるわ」

「美味しい料理楽しみにしてます」

「さらっと飯で売られた!?」

「「あ、結婚のことはいいんだ」」

「聞く耳あるのか貴様らはぁ!!」


顔を赤め、声を荒げて言い返すルナにフェンが一言


「さすが、『ツッコミマスター』その実力は今だ健在ですか」

「ハグッ!!?」


さっきとは別の意味で顔が赤くなったルナは一撃で轟沈した

その様子を見て暁は笑いをこらえながら聞く


「誰が付けたの。そのアダ名。ククッ」

「いやもう誰からともなく言い出したんですよ。「ルナのツッコミ世界一」「格上にも的確なツッコミをいれるツッコミ界の重鎮」「いや、もうレジェンドだろ」などなど。ププッ」

「止めてぇ~!ハズか死ぬ!ハズか死んでしまう!」


最早ライフが0であるにも関わらず死体に足蹴りでオーバーキルを続ける2人


「決め手は三柱の1人が酔って城を壊そうと剣を振りかざしたときです。何処からともなくやって来て「スカポンタン!」とドロップキック。「剣振る前に頭振れ!カラカラなるじゃないの脳無しがぁあ!!」と頭掴んでフリフリするという暴挙に出たんです!」

「あぁ、俺も見てたぜ。国のトップが暴れて、だれも止められず城は崩れるのだなと、幻視したとき。ドロップキックと頭掴む姿は今でも鮮明に覚えてるよ」

「忘れて!忘れてぇ!!」

「ごめん。私もしっかり覚えてるわ。あのキレのあるツッコミ爆笑、いえ感涙が溢れたわ。フフッ」

「それ、わざとでしょ?完璧に爆笑って言ったのわざとでしょ!」

「道理でツッコミキレッキレッだったわけだ。よっ!『ツッコミマスター』」

「もう、ゴールして、、、いいよね」

「まさか。これから作戦会議だぞ。スタートもしてないのにどうやってゴールするんだ?」

「だったらさっさと始めてよ!なんで一言も進んでないの?もうこんな茶番どうでもいいじゃない゛!」

「マジか。泣いているのにも関わらずツッコミを忘れないとは、、、!!」

「「「「さすが、『ツッコミマスター』!」」」」

「うえぇえん!!ペガサス様ぁ!」


遂に壊れたルナはペガサスに一直線に向かっていく。それを感じたのか起きてたのか立ち上がるペガサス


「おお、ようやく僕の愛を、、、グベラッ!!」

「悔し悔し悔しいいいい!!!!」

「だ、からっ、、て、人を、、、サンド、、バッグ、にしな、、、、いで、、、、、」


気が済むまでルナは杖で打ち付けていた


●○●○


血まみどろの放送不可な衝撃的遺物(?)を放置してルナがスッキリした笑顔で言う


「さて、いい加減作戦会議始めましょうか」

「長引かせた本人に言われても、、、」

「暁くん、馬と人って粗大ごみかな」

「、、、、、」


しかし、その笑みの中で目だけが笑っていなかった


「それで、作戦は?何か提案ある?」

―バッ!

「はい、ジェンさん」

「はっ!包囲された場合、一点集中で突き破ることが定石だと思われます!」

「確かにそうだけど、今回は街を守る殲滅戦その手は使えないと思うのよね」

「でしたら、私に考えがあります!」

「グレーテルさん。どうぞ」

「はっ!一点集中すれば戦力を増やすのは頭の悪い魔物でも必然のこと。逆に言えば一点集中している反対方向は敵が薄くなりそこを襲撃。動揺した敵を私たちが包囲、殲滅します」

「なるほど。それはいいかも」

「申し訳ありません。その作戦では主力部隊に大きく人数をとられる以上襲撃部隊が少人数精鋭になります。どうされるおつもりですか?」

「そこは、私、暁くん。そしてフェンでやるわ。問題ないでしょ?」

「「はっ!お任せください!!」」

「主力部隊の指揮はお2人に任せます。ではこれにて会議を終わります」


ここまで約5分

後にこの恐怖政治ならぬ恐怖会議はルナに『鬼の参謀』と呼ばれるきっかけになるのだが、それはまだ先の話


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