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さて、屋敷に潜入すると意外と誰もいなかった。


「まさか…マイとホムラが敵の戦力のほとんどを殲滅した?」

「確かに200人以上はぶっ飛ばした感じはあるわよ」

「ありえますね」


ここは否定しろよ…どんだけボコボコにしてんだよ。あとで、国の騎士団とか来たらめんどいじゃん…


「それにしても、本当にこの屋敷は広いな。廊下がめっちゃ長いし部屋もたくさんだな」

「それに見合う悪事をしてると思うわよ」


ホムラの言う通りだろうな。ついでにその悪事の証拠を探すか…面白そうだし。


「見つかりそうなの?ルナー男爵は」

「探知魔法でも引っかからないし分からないな」


ほんとどこにいるんだ?逃げるにしてもどこに逃げる?


「ハクヤ様、これは罠かもしれません」

「「…罠?」」



ホムラとハモってしまったよ…まぁどうでもいい事か。


「はい。奥に誘われているのではないのでしょうか」


それは一理あるし、迂闊な行動はしない方がいいかもな。それに面白いものをみつけたぞ。


「ありがとな、マイ。それにもう1つあるんだが…」

「何よ?」

「この先に人がいっぱいいるぞ」


恐らくこの屋敷に捕らわれていたひと達だろうな。ルナー男爵ならやりそうだしな。


「ざっと25、6人だな」

「では行きましょうか」


マイの言葉で捕らわれている人たちの扉の前に行き扉を蹴破った。

そして、部屋にいたのは全員10代ぐらいの女性だった。


「えーと…とりあえず大丈夫か?」

「あ…はい」


答えてくれたのはエルフの女性だった。


「怪我人、病人はいるか?」

「そういう人はいないですけど、助けに来てくれたのですか?」


ついでって言いたいけど、ここは本音を隠すべきだな。


「まぁそんな所だ。それで、今から逃げるか?騒動が収まるまでみんなでここにいるか?」


俺が聞くとエルフの女性はみんなと顔色を見ながら決めたようだ。


「ここで待つことにします。そちらの方が安全だと思うので…」

「わかった。マイはこの人たちの世話と護衛を頼んでいいか?」

「わかりました。では、ここはお任せください」


マイは笑顔で了承してくれたので、俺とホムラはルナー男爵を探すことに専念するか。


「ホムラ行くぞ」

「了解よ」


俺とホムラが部屋を出てしばらく屋敷を探索していると他の部屋より大きくて豪華そうな部屋に着いた。


「ここは?」

「ルナー男爵の部屋よ。ここにならいろいろ証拠があるんじゃない?」

「そうだな。ここの部屋をくわしく調べてみるか」

「いいわよ」


そして、机の引き出しやクローゼットの奥から書類がたくさん見つかるが、汚職や犯罪系の証拠は出てこない。


「全然出てこないな…」

「ホントにね!なんか隠し扉とかあるんじゃない?こんな豪華な部屋ならありえそうだけど」


なるほど!そういう手もあったな。ここは地球の時にエロ本をあの妹から守り抜いた俺の隠し技術が生かされるな!!


「その可能性なら俺に任せとけ」

「…大丈夫なの?」


俺をジト目で見てくるホムラの視線は痛かったが大丈夫だ!!


「こういうのは机の二番目の引き出しの底が偽物なはずだ」


俺はそう思い実際にやってみると本当にそこが外れて、隠されていた書類が出てきた。


「やっぱりな…それで内容は…」


書類を手に取り、一通り読んでみるといろいろ書かれていた。


「それで、その書類にはなんて書かれてあったのよ?」


ホムラが気になって仕方ない感じの雰囲気を出していたので書類を渡しながら解説し始めた。


「簡単に言うと、横領、殺人、人身売買、脱税の事を隠すためにサン伯爵がどのように工作したかってことが書かれていたな」

「…そうね、これを騎士団に渡せば大丈夫よね」


ホムラはそういったが俺は否定した。


「やめとけ。いままでルナー男爵がいろいろと犯罪をしてきたのに捜査とか一切してない連中だ。恐らく騎士団の中にルナー男爵のグルがいるんだろうな」

「腐っているわね」


上が腐れば下も腐るのは当然のことだから仕方ないな。それより、証拠は見つけたしまたルナー男爵を探し始めるか…正直めんどくさい。


「ホムラは他にルナー男爵が行きそうな所に心当たりはないのか?」

「そうね………」


そこまで考えるのなら、ないって言えばいいと思うんだが…


「あっ!!!!思い出したわよ!!!!」


びっくりした!!大声出すなよ…心臓に悪いだろ…


「それで?」

「あそこなら絶対にばれないわよ!行くからついて来て!!」

「え?ちょっ!?」


俺の了承なしですか。それより腕を引っ張らないでほしいぞ…地味に痛い…


「だけど、気をつけなさいよ。ルナー男爵にはSランク冒険者の人が護衛にいたはずよ」


マジかよ…ルナー男爵の護衛が母さんと父さんレベルと考えると正直やり合いたくないな…こっちも少しは本気にならないとまずいかもな。


「着いたわ」


俺はルナー男爵がいると思われる部屋の目の前に来たが普通の感じのドアだし、周りもさっき見た感じで違和感はない。何が特別なんだ?


「ここは魔力遮断装置があるから隠れるならここしかないわよ」


なるほどな…確かに俺の探知魔法には引っかからないわけだな。装置の中は魔法が使えないし、魔力も遮断するから探知系魔法にも見つからない。そして、この部屋はかなり見にくい所にあるから隠れるにはうってつけだな。



「じゃあとりあえず入ってみるか?」

「いいわよ。それじゃ開けるわ」


ホムラがドアを蹴り飛ばし、部屋を覗いてみると二人の男がいた。1人は金髪で豪華そうな椅子に座り机に両肘をついて顔の近くで手を重ねていた。もう一人のムキムキでごっつい鎧を着た男は金髪男の右斜め後ろで立っていた。


「やぁーやっと来たんだね。ホムラ」

「ルナー男爵…」


どうやら、金髪の少しデブのキモ男がルナー男爵か。あれはブタに近いかもな…


「隣のガキは誰だい?ここは僕のお気に入り以外は来ちゃダメなんだけどな」


笑顔で言っているが気持ち悪い。ぶっちゃけ生理的に受け付けないだな。


「あぁ、別にいいだろ?お前をボコボコにしに来たんだから」


ルナー男爵は額に青筋を浮かべていたが笑顔は崩さなかった。


「へ、へぇーこの僕をボコボコに出来るのかな?」

「あぁ、余裕だぞ?正直、後ろのムキムキ男は母さんと父さんより弱そうだしな」


俺が満面の笑みで答えるとムキムキ男が話しかけてきた。


「どこのガキかは知らんが、口の利き方に気をつけろよ。俺が貴様の両親より弱いだと?お前の両親は誰だ?」


すんごい睨みながら聞いてきたので、余裕の表情で答えることにした。


「俺の名前はハクヤ・ログナー。『銀の魔女』と『神速』の息子だ」

「「なっ…!?」」


えっ!?ムキムキな男が驚くのは分かるけど、ホムラもそこで驚くの!?


「はじめて聞いたんだけど!?」


ちょっ!?顔が近い!!息がかかっているし、鼻息が荒いわ!!!


「…言ってなかったか?」

「言ってないわよ!!!」


そうだったのか?まぁここ最近ドタバタしていてまともな自己紹介をしていないような気がするが…


「まぁいいだろ。それより、そこのムキムキ男はどうするんだ?俺とやり合うか?俺は大歓迎だが?」 

「いや…遠慮する。あの二人の息子なら俺より遥かに強いだろうからな。今回は遠慮する」

「良い判断だな。俺も疲れるのは嫌いだからな」


ムキムキ男はニヤリと笑みを浮かべて言った。


「俺の名前はロガン、レギオンは『白の剣』だ。覚えとけよ」


ロガンはそう言って、ポケットから石を出したかと思うと目の前から消えた。


「あれは…?」

「恐らく転移結晶ね。自分の行ったことのある場所で、頭に思い浮かべて握るとその場所に転移できるってやつよ」


へぇー便利なものがあるんだな。金額的には高いのか?


「あれ1個で約70000ユルね」


高!!1ユルが1円で、10ユルが鉄貨1枚、100ユルが銅貨1枚、1000ユルが銀貨、10000ユルが金貨1枚で、だいたいこの世界は金貨1枚あれば1か月は4人家族だと遊んで暮らせる。


「まじ!?それはしばらく無理だな…」

「それより、あの男をどうするのよ?」


あの男とはもちろんルナー男爵のことだが、ロガンが消えて焦っているようだった。


「おい!覚悟はできているよな?俺の大切な人を泣かせやがって!!」

「ま、待ってくれ!!僕はあ、兄貴に言われて…」


半泣きになり、椅子から転げ落ちて逃げようとするが、俺は鳩尾に拳をぶち込んだ。


「ぐぼぉっ!!」


ルナー男爵の体がくの字に折れ曲がってそのまま吹っ飛ばされて壁に激突して、地面に倒れたが俺は容赦なく蹴りをルナー男爵の体中にいれた。


「待って!!そこまでにして」


俺はホムラに止められて、虫の息となっているルナー男爵を見下ろしているとホムラはルナー男爵の側までくると顔面に蹴りを入れた。


「ふざけるなっ!!!私やお母さんを苦しめて!!!絶対に許さないわよ!!!」


かなり怒っているが、蹴るのをやめると近くに置いてあったヒモをルナー男爵の手と足にくくりつけ動けないようにした。


「行くわよ。この男はギルドに持っていくわよ。証拠書類とともにね」


ギルドのアリシャさんなら安心だな。ちゃんと対応してくれるだろうしな。


「わかった。それじゃマイと合流して帰るか!」

「それじゃ行くわよ!」


ホムラはルナー男爵を地面に引きずりながら歩き始めた。


ホムラさんマジ容赦ないな…


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