どうでもいいこと 2
雨の日は何もせず一日中部屋で平穏を味わいたい。
平日の朝。
週末が雨だとわかることがある。
朝食でトーストを齧っている時見るテレビや、
電車に乗っている時見るケータイとかで、だ。
そんな時、手帳を見て何か予定を立てていたか確認する。
何もないときは、少し嬉しくなる。
ぐずついた地面を歩いたり、
傘という手荷物を増やさずに済む幸運を喜ぶ。
何をしようか。
朝寝坊して、朝食もとらずに本を読んで、映画を見て、夜に少し凝った料理をする。
そんな事を考えながら、
雨が降る日に外を出なければいけない人の不幸を喜ぶ。
でも、時折予定が入ったりと不幸を味わうけど。
雨は小雨がいい。
しとしとと屋根から滴って、岩を打つぐらいに。
大雨は落ち着けない。
BGMとしては自己主張が大きすぎる。
少し、雨の冷気で寒くなった部屋で毛布にくるまり、
平日の生活感覚を無くして本を開き、パソコンを開き。
時間の感覚を無くす。
雨音に途切れはなく、
日を遮る雨雲は時を遮っている。
創作品の物語にふけっていた時、
ふと、顔を見上げると、
今自分がいる空間に遭難している、そんな気分になる。
目の前には冷めきった紅茶が入ったマグカップと、
スリープ画面のノートパソコン。
読みかけの書籍を閉じて、今自分は自分の部屋にいるんだな、と気付く。
そして身体の周囲に
ざー
という途切れない、一定的で一方的な音に包まれていることを思い出す。
雨の日は時折、異空間にはまり込む。
そして自分は一人っきりで、冷たい部屋に座り込んでいる。
それを確認してしまうと、どうしようもなく寂しくなって。
外に出よう、
と立ち上がり、毛布が体から落ちる。
ジャケットを着るとマグカップを手にとって中身を流しに捨ててしまう。
そのまま玄関に立って、1DKの部屋に振り返る。
そこはもう、無人の陰りを見せ始め、
雨だけが空間を支配し始める。
それを見て、ドアを開けた。
湿った空気を肌が感じる。
近くのコーヒー屋さんにでも行こうかな。
あったかい毛布が欲しい。