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One Love ラプソディー  作者: 五十嵐。
最終章 生きること、それは人とのしがらみを解くこと。
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第八話竜介

 学生は忙しい。学校の勉強に部活、その上バイトときている。彼女がいる奴は、この合間にデートまでこなす。すげえ。どうやって時間を捻出しているんだろう。不思議でたまらない。

 最近、オレ達はデートらしいデートをしていなかった。そのあたり、オレとしても気になっている。家で顔が見られるから、つい、特別なことをするのを後回しにしていた。


 知明からメールをもらっていた。知明はまだ自宅療養だ。なるべく不必要な外出はしない方がいいらしい。オレは時々顔を見に行っている。もし、オレだったら家の中で腐っているだろうけど、知明は大好きな読書ができるとうれしそうだ。子供の時から病弱だったから、あまり苦には思わないのだろう。

「母さんが、友達を呼んでクリスマスパーティーをしてくれるって言う。神宮字さんとかいつものメンバーを呼ぶつもりなんだけど、竜も来るよね」

 当然のように言われた。

 ふと考える。珍しい。あの母が人を呼んでパーティ―なんて、今までになかったことだった。

 母もうれしいんだろう。知明が、低塩低脂肪だが、普通に食べられるようになった。そんなお祝いもかねているんだろう。

 オレは・・・・行くか、わからない。


 その前に期末テストがある。とりあえず、これを何とかしなけりゃ楽しみはやってこないのだ。

 最初は自分の部屋で勉強をしていた。けど、なんだか落ち着かず、試験勉強を持って台所へ降りていく。大きいテーブルで勉強をするのが好きだ。

 自分でも淋しいんだろうと思う。一人で自分の部屋にこもっていることが息苦しいんだ。


 まず、お茶を入れた。チラリと由紀乃の部屋の襖を見る。明かりは洩れてはいないが、きっと勉強をしているはずだった。あそこは全体的にレベルの高い学校だから大変だろう。

 持っていくつもりだった。そっと声をかけようと思った時、ガラリと襖が開いた。


「えっ」

 向こうもびっくりまなこでこっちをみていた。

「どうしたの」

「あ、お茶を入れたから飲むかなって」

 由紀乃がオレが持っていたお茶を見た。

「ありがと。喉が渇いたって思ってたの。気分転換もしたかったし」

「ちょうどよかった」

「ほんと」


 由紀乃はパジャマのままで出てきた。そういう姿は見慣れていたはず。でも今夜はやけにドギマギした。

 新しいパジャマだ。わかった。いつもより少し胸元が開いているんだ。顔を見るよりもそっちが気になった。

「ん?」

 由紀乃がオレの微妙な表情に気づいた。

 オレはすぐさま教科書に目を落とした。なんかいけないことをしているようだ。

「ね、私もここで勉強してもいい?」

と聞いてきた。いつも二人でやっている。当然答えはイエス。

「いいよ。別に」

 オレはわざと全然意識していないようにそっけなく答えた。

 由紀乃はすぐに部屋に戻り、教科書やノートを持ってきた。


 由紀乃はリーダーの教科書を開いた。英語か。オレは明日は物理と世界史だ。

 わざとしかめっ面をし、教科書を睨む。けど、事あるごとに由紀乃の胸元がちらついた。見ないようにしても気になった。由紀乃がそんなオレに不審な目をむけた。

「ねえ、さっきからなに? いつもの竜介くんじゃないみたい。なによ。私、やっぱ、邪魔なのっ」

「あ、いや」

 どうしよう。はっきり言わないと由紀乃が怒りそうだった。

 オレは決意した。今着ているトレーナーを脱いだ。それを差し出す。

「これ、着ろ。そんなかっこうで家の中、うろつくなよ。オレだけじゃなくて光司くんもいるんだ。一応、男だからな」

 由紀乃は最初、わけがわからなかったようだ。オレは知らせるために、自分の胸元に手をおく。

「開き過ぎだ。それ、着てろっ」

 由紀乃はやっと自分のパジャマを見た。


「あ、ごめんなさい。この間、杏理たちと買い物に行って、皆でおそろいのを買ったの。ちょっと私には大きかったみたい。今度は下にティシャツ、着るね」

 そう言って、オレのトレーナーを頭からかぶった。

「あったかい。竜介くんは? ティシャツ一枚じゃ寒いよ」

「あ、いい。昨日着てたの、ソファの上においてある」

 オレは立ち上がった。

「ああ、あれって一昨日も着てなかった?」

「いいじゃん。どっちにしろ、それを着ようと思ったけど下にあったからめんどくさくなってやめただけ」

 やっといつもの調子が出てきた。


「あのさ、テスト終わったら、クリスマスのデートしよう。バイト代も入ってるから高級レストランでもいいぞ」

「うん、行く」

 即答してくれた。うれしい。

 ここでも二人きりだ。けどやはり女の子はデートとして出かけるってことがウキウキするんだろう。



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