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One Love ラプソディー  作者: 五十嵐。
第四章 人と一緒にいる意味・それは魂が磨かれる瞬間
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Kissから始めよう

 オレ達は、早朝の電車に乗り込んだ。途中、乗り換えて河口湖駅へ着いた。

 駅に由紀乃のおじいさんが車で迎えにきてくれていた。オレ達を乗せて、そのまま富士ランドへ行く。

 荷物はそのままマンションへ持っていってくれる。


「おじいちゃん、これ、おばあちゃんに渡して。寮へ届けてくれたから」

 祖父は、その手紙を見て絶句していた。

 やはり、それはそうなのかもしれなかった。


 車は富士ランド前の駅に着いた。由紀乃の祖父は、また迎えに来てくれると言った。

「ここはね、午前中が勝負なの。人気の絶叫マシンは一番先に乗る。そうじゃないとずっと並ぶことに時間がとられちゃう」

 まず大人気の絶叫マシンへ並び、わずか十五分待ちで順番がきた。


「靴、ぬごう」

 由紀乃の指示に従い、靴を脱ぐ。落下の危険性がない場合は脱がなくてもいいのだが、脱ぐと気持ちがいいらしい。みんなが脱いでいた。

 後ろ向きに引っ張られるようにスタートし、ぐっと上がる。そしておりる瞬間、座席自体がぐるりと回転した。落ちながら真っ逆さまになった。


 うわあ、思わず声を上げる。由紀乃もキャーと騒いでいた。笑っているから別に怖くて叫んでいるわけではない。騒ぐことが楽しいみたいだった。

「叫ばないと損だよ。せっかく絶叫できるマシンに乗ってるのに、黙っているなんてもったいない」

 そうか、絶叫マシンって、そういうことなんだ。普段、叫べない人がここへきて、思いっきり絶叫できる、そういうストレス解消のためにあるのか。


 一度出たのに、すぐに由紀乃がオレの手を引っ張る。

「もう一回、いこっ」

「えーっ」

「嫌? こういうの」

「そうじゃないけど」

「じゃ」


 由紀乃は相当ストレスがたまっているのか。

 再び絶叫マシンの列に並んだ。今回はさっきよりも大勢が並んでいたが、思ったよりもすぐに乗ることができた。これは見ているのもすごいと思うけど、乗るともっと爽快だ。


「おい、由紀乃」

「ん?」

 もう他の絶叫マシンへと移動する。

「お前、昔、宇宙人だったろう」

「え?私がなんで」

 由紀乃は抗議めいた声を出すが、可笑しそうに笑っている。

「こういうもんが好きな人って、ぜったいそうだ。まあ、オレもそうだけど」

「そうかもね」

 途中の広場で、カップルが大きなハートマークの看板前で写真を撮っていた。


「いいか、あんなスピードは今の文明でも体験できることってこういうジェットコースターしかないだろう。経験もできないのに、こういうスピードを求めているってことは、昔、宇宙船を操縦したことがあるって言う証拠だ」

「へえ、竜介くんっておもしろい事、言うのね」

 こっちのジェットコースターはわずか十五分で乗れた。かなりの高さから下りるし、コースも長い。 

 よく考えたら、オレはわざわざこういう所で叫ばなくても、剣道で声を上げているからいいのだ。大体、男が叫んでられっか。

 由紀乃は実に楽しそうに叫んでいた。


 降りるとき、立ち上がれない女の子や、泣いている人もいた。それぞれがカップルで、男の子がおたおたしていた。

「ねえ、ああいう怖いってしがみつく女の子がかわいいと思う?」

 由紀乃はオレの顔を覗き込んだ。

「えっあっ、いや・・・・・・。まあ、ちょっと怖がった方がかわいいかと思ったけど、あの人たち、あの後しらけるだろうなって思った。たぶん、彼女はもう絶叫系に乗らないと思うし、何でも一緒に楽しめる女の子の方がいい」

 由紀乃の笑顔が、花開く。

「よかった」

「もし、オレがこういう系嫌いだったらどうするんだよ」

 ちょっと聞いてみた。

「うん、でも竜介くん、足も速いし、勢いもあるから絶対大丈夫だと思ってた」

 

 オレ達はずっと手をつないで歩いていた。

「ねえ、今度はあれに乗ろう」

 由紀乃が指さしたのはランド内の中央に高くそびえた観覧車だった。意外だった。あんなにおとなしいもの、由紀乃が好んで乗るなんて。



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