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佐竹さんちの日常  作者:
来客編
7/17

男は変態という名の紳士

 佐武さんが壊れて数分、俺と興奮の収まった朱音は本題に入ることはなく、世間一般的な話、いわゆる世間話をしている。朱音はもはやあのことには興味を示すことなく、俺の部屋をいじくりまわしてはこれなに、と質問をしていた。あんまいじらないでほしいんだけどな。

 だけどこいつに言っても意味のないことなので、適当にあしらっている。いじくられても、もう別に見られて困る本とかないもんね!


「お、これ何?」


 そう思った矢先、朱音は机の中から見た目普通のとあるシューティングPCゲームを取り出す。――俺は瞬時にそれをとりに行き、あるべきところへと戻した。……やべえ、勇樹に返すの忘れてた、これ。

 幸いにも、そういう知識には疎い朱音はなんだかわからなかったらしい。一瞬頭の上に疑問符をうかべて、ニヤっと何かを企んだような含み笑いをした。


「ただのゲームですよ。朱音さんとは程遠い、ね」


「ふうん、変態」


「いや、なんで変態とかいうの? 俺変態じゃないし、どっちかっていうと紳士よりの紳士」


「へんたーい、わー、近寄らないでー」


 ひどい言われようである。朱音さんはニヤニヤしながら棒読みで、俺に人差し指を向けてゆっくりと俺から距離を離す。第一、変態じゃない男なんていないだろ? 男ってのはみんな変態という名の紳士なんだよ、どこかのクマと一緒なんだよ。

 朱音は佐武に近寄り、ひそひそというそぶりをみせるが佐武はまだ壊れている。一体どうしたっていうんだろう。

 まあこの間に、何か有意義な時間をすごすのも悪くはあるまい。朱音に数学の宿題のことを聞いておこう。さすが俺、頭いい!

 なんて空しい称賛を一人でして、俺は先ほどカバンかけにかけといたカバンから、筆記用具と数学のプリントを取り出し朱音を呼ぶ。


「朱音ー、佐武が回復するまで数学教えてくれ。頼むんます」


「えー? いっつも言ってるじゃん、必死に考えて考えてもう死ぬまで考えて、それでもわからなかったら聞きにおいでって。ちゃんと自分で考えなきゃダメ」


「アーワカンネー。ミテモワカンナイヤー」


「……絶対もう教えてやらない。これから話しかけないで」


「え、ちょ、朱音さん、そりゃないっすよ」


「じゃあ自分で一回考えなさい」


 ちぇー、本日の朱音さんも冷たいやー。

 まあでも朱音のいってることも、癪だけれども当たっているような気もしないでもないし……。とりあえず自分でやりましょうかな。

 先ほど朱音が座っていたイスに座り、プリントを机上に置く。第一問目、チャラン! えーとこれは一次関数でこれの変化の割合をうんたらかんたら――。

 ……俺はアレだから、方程式担当だから。この辺は管轄外なんで。


「朱音さん助けてー! 一次関数って何ー?」


「一次関数は一次関数だ。教科書見ろ、教科書を。それかノートでもみとけ」


「教科書は、わかってること前提でかかれているのでわかりません。あとノートなんですが、横田さんは塾いってる子限定に授業してるんで」


「いや、結構わかりやすいでしょ、横田先生の」


「朱音は塾もいってるし、吸収力あるからだろ」


 ちなみに横田とは数学教師で、生活態度やら服装やらに厳しい先生である。ちなみに担当は美化らしいのだが、生活指導の先生でもあるので生活委員長の朱音とは結構交流が深いらしい。実際、結構話しているところを見たことがあり俺と違って仲良さげに話してたし。

 てか今気づいたのだが、朱音は一体どこから話しているんだ? 俺は上から聞こえているのだが……。

 ちなみに俺の机はイトリのを使わせてもらっており、ベッドが上に、下に机があるというこれまたコンパクトな仕組みのである。これ、便利なことに位置とか変えたり、手軽に動かせるんだよね。さすがイトリである。


「ちなみに朱音さん、今どこに?」


「ベッド」


「へえ……。って、ベッドで何してんの?」


「ベッドですることなんて、「寝」っていう言葉がつく以外のことってある?」


「座ったりすんだろ。それより勉強教えてくれ、一問もわからん」


 あとはセから始まる行為とか。つか思春期男子の部屋にきてやる事とは思えん。


「えー……めんどくさいなあ」


「お願いしますよ、朱音さん」


 そういうと渋々といった感じで、朱音は降りてきた。そして俺の肩にぺたっと張り付く。……直に体温が。

 俺の肩に顎をのっけ、プリントをとって文章を読んでいるのか何かブツブツと何か言っている。そして読み終わったのか、プリントを俺の目の前に置き、解説をし始めた。朱音の解説は下手な先生よりよっぽど上手なので、どちらかといえば朱音の授業を受けたいっていうのが本音であったり。


「んーと、ここからここが、大事なとこ。だからちゃんとこれは覚えないとダメ。後々やるときこま――」


「ヤるって何?!さ、佐竹に朱音! な、なにをして……る、の?」


 急に佐武が覚醒。俺は驚いて思わず力が入ってしまい、プリントに指を指していた朱音の指をシャーペンでさしてしまった。朱音はいたっと声をあげたけど、声をあげた主へと視線をそそぐ。

 朱音は怪訝そうな顔を浮かべるも、キチンと佐武の質問に答える。


「い、いや、活樹に今日でた数学の宿題教えていたんだけど……。やるっていうのは公式を覚えないと、やれないでしょ、大体の問題は」


「なんだと思ったの、お前」


「…………な、なんでもない、です。取り乱しちゃってすいません」


 まあ、結局俺としては収穫なし。一問もわからなかったわけだ。でもやっと佐武、正気に戻ったんだな。


「で、でも数学教えるのにそ、その体制になる必要性は……」


「ん? ああ、いつもこんな体制で教えてたからなあ」


 うむ、そういえば朱音は他の女子とかにも教えるときもこんな体制で教えていたな。まあそれの癖がでてしまったんだろう、教えてもらって文句はいえないからな、俺は。

 そういうと佐武はボン、と顔を赤くする。


「い、いつも?!」


「ナギちゃんに教えてた時もこの体制だったじゃん? そういえば最近ナギちゃん、教えてっていわなくなったね。活樹も見習え」


「……出来るだけ頑張るわ。出来るだけ、な」


 そういって笑顔を向けてやると、朱音にアホといわれデコピンされた。

 ……さて、やっと本題かな。四度目なんてなしにしてくれよな。

 しばらく更新は停滞すると思われます。

 この正月に一気に書きすぎた……。残りはかくとしてもストックをして、月一か三週間に一度かそこら辺の更新になると思います。

 でも我慢できなくなった場合はご勘弁を。

 受験が終わったら、もしストックしていたら大解放をする予定ですので。


 評価、感想等、常に受け付けております。よろしくお願いします。

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