第92話『暴走の果て、そして戦火』
ブクマ50記念!
皆さま、本当にありがとうございます!
ここまで読んでくださったこと、心から感謝です。
そして今回は――
ついに!あとがきにて、本作主人公のビジュアルを公開いたします!
どうぞ、お楽しみにっ!
平原をひた走るシルヴァニアの一群。
――それはもはや「行軍」ではなかった。
「はぁ、はぁ……お姉ちゃん……くるしいの……!」
「が……頑張るのよ、ティナ……! この人達を野放しにしたら……世界が滅ぶわ……!」
双子のエルフは、ほぼフルマラソン級の速度で疾走する暴走集団の最後尾に、なんとか食らいついていた。
息も絶え絶えに周りを見渡すと──
「主様を傷つける者は皆殺しじゃー!!」
「うちの常連の主様を失ってたまるかい! 行くよあんた達!!」
「「おーーー!!!」」
息切れひとつしない人々。
誰もが何かしらの武器(?)を掲げて走る。
フライパン、トンカチ、そして――フランスパン。
(いやそれ、武器なの……!?)
「お、お姉ちゃん……もしかしたら……この人達……ほ、放っておいても……」
「だめよ……この身体能力……い、異常よ……!!」
そう、この集団は兵士ではない。
だが、その身体能力はドワーフや人間のそれではなかった。
先頭の四人に至っては、もはや“バグ”そのもの。
「行くのだ〜〜♪」
散歩感覚のクー。
「お待ちください主様! 今カナがお迎えに参ります!」
最早、集団を引き離しかけているカナ。
「こんなんしんどいわぁ。うち、動くのあんまり好きやないんやけど」
言動と速度が一致していない白蓮。
「あれぇ〜?♡ 運動不足〜?
少しはぁ〜痩せた方がいいんじゃないのぉ♡」
くすくすと煽るリリィ。
「うちはスレンダーや! ただ……あんさんには色々無くて羨ましいわぁ」
「はぁ!? また胸いじりしたわね!?
これはこれで一定の需要があるんですーーー!!」
「干物が好きなんて、変わった趣味の奴もおるんやねぇ?」
……二人に関しては、最早言い合いする余裕すらあった。
その横で、エルフ姉妹は泣きべそをかきながら悲鳴を上げる。
「お姉ちゃん! もう足がっ、足がぁぁぁ!!」
「頑張ってティナぁぁ!! ここで止まったら……踏まれるぅぅぅ!!」
地響きを立てて突き進むシルヴァニアの一群。
それはもう、怒涛でも軍でもなく――災害だった。
そして誰も気づいていない。
その先に、エルフ軍の陣があることを――。
────────────
伝令は荒い息をつきながら、扉を押し開けた。
エルダンは机にもたれ、顔色は土のようにくすんでいる。側近はその姿を見て言葉を失った——いつもと違う、齢ならではの脆さが老臣の肩にのしかかっていた。
「どうしたんだ……。シルヴァニアへやった伝令が戻ったのか?」
側近は首を振り、固く握った筒を差し出す。手はほんのわずかに震えていた。
「今朝、ラグナド獣王国から届きました――王の印が押されております。エルダン様、確認をお願いします。」
封蝋には確かにラグナドの紋章が刻まれている。エルダンはゆっくりと瞼を閉じ、小さく息を整えてから命じた。
「腹心を呼べ。たとえ夜でも、すぐに集めよ。」
◆ ◆ ◆
重鎮と側近たちが、円卓を囲む。空気は鉛のように重く、誰も先に動こうとしない。エルダンは静かに封を割り、筒の中の布を取り出した。布は床へと落ち、暗がりで光を吸い込む。
側近がそれを掴んだ瞬間、低い悲鳴が室内を引き裂いた。布を机へと放り投げると、端がめくれ、内容の一部が露出する。誰もが後退り、喉を詰まらせるように嗚咽を漏らした。
エルダンはゆっくり布を広げ、確かめる——
そこにあったのは、見間違えようもない、長く尖った耳。彼らと同じ血の証を示す、典型的なエルフの耳の形だ。寄り添うように、ミュゼリアのドレスの裂片が布に絡んでいた。
エルダンの拳が机を叩きつける。木が固く響き、部屋の静寂を切り裂いた。
「もう我慢ならん! これはラグナド獣王国が、ミュゼリア様の拉致に関与したという明白な証拠だ! 兵を召集せよ! 魔水晶も持ってこい! 戦だ!」
側近の一人が思わず息を呑む。声が震える。
「魔水晶を……? あの、大賢者の遺したとされる国宝の魔法石を、ですか……?」
エルダンの瞳が鋭く側近を射抜いた。額に刻まれた皺が深くなる。
「我らの同胞が汚された。対処は迅速且つ断固たるものにする。ラグナドへ突入し、女王を奪還せよ。そして奴らの国を滅ぼして、シルヴァニアにも知らしめるのだ。わが同胞に手を出したならば、如何なる報いがあるか——これを以て示すのだ!」
数名の若いエルフが、唇の端を歪めて噛みしめるように笑った。普段なら慎重に証拠を検討するエルダンでさえ、同時に愛する者たちの危機が重なったことで、理性の均衡を失っていたのだ。
だが、会議室の片隅で一人、低く眉を寄せる者がいた。穏健派の側近が小声で囁く。
「陛下……証拠が真実であるか、慎重に調べる余地を――」
エルダンは振り返り、その顔に一瞬だけ疲労と迷いが走る。しかし声は重く、既に決意の釘が打たれていた。
「今はそんな余裕はない。真偽は後に問う。まずは救出、次に報復だ。準備を始めよ。」
外の森が、かすかにざわめいた。火種は既に灯されている——あとは風が吹くだけだ。
あとがき小話
⸻
シュン「お? なんか俺がここに来るの、初めてじゃね?」
(内心ツッコミ:何故こんな舞台裏感…また巻き込まれてる…)
シュンの目の前には、スクリーン越しに見える読者たち。
シュン「流石…ブクマ50記念だっけ? 俺がここに来れるくらい凄いことなんだろ? 作者に代わって――ありがとぉぉーーー!!」
シュン「俺さ、なんだかんだでこの世界も“悪くねーな~”って最近思っててさ……」(モゾモゾ)
シュン「……ほら、なんもやってねーだろって? ふ・ざ・け・んなぁぁぁぁぁ!! 俺なりに、ちゃんと俺の“頑張り”してんだよ!!」
シュン「まぁ……話逸れたけど…え?…ここに送り込んだ女神の野朗……ちょっと許してやっても良いかなって……(目を細め)…まぁこれは、お前らとの“秘密”だぞ?」
シュン「改めて――! これからもよろしくな!!」
――スッと手紙が落ちてくる。
シュン「ん? 何だこれ?」
それを開くと――――――
『シュン! ビジュアル初公開!』
シュン「まじかよ!! 周りのヒロインばっかり公開しやがって……作者の野朗……今度“男キャラ行きます”とか言ったからウキウキしてたら、ギルだったよ!? ざけんな!」
シュン「しかし…これでもう、俺のかっこよさを“目に焼き付けて”読んだら――それゃーもー、ファン増えちゃうね、絶対!」
てっ事で――俺のビジュアルまで!
3…
2…
1…
女神により省略されました
シュン「くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーいあぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁぁぁ……」




