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第62話『生ける屍と、今を刻む者たち』


「──第四戦技《乱舞》!」


 


雷鳴のような一声と共に、大斧が唸る。


円を描くように振るわれた刃が、迫り来る死体どもをまとめて薙ぎ払った。


 


切断された首が宙を舞い、干からびた腕が地を叩き、最後の屍が──沈黙する。


 


 


ガリウスは、大斧を肩に担いだまま、静かに息を整えた。


 


 


目の前に広がるのは──


かつて共に剣を取り、血を流し、背中を預けた仲間たちの亡骸。


 


そしてその周囲に、斬り伏せられた無数のアンデッドの残骸。


 


 


「……すまない……」


 


声に、重さが宿る。


ただの謝罪ではない。戦場に残された者としての悔いと誓いが、込められていた。


 


 


(俺は──ここまで、何を守れた……?)


 


──皆で、進軍の号令に従って、前進した。


その間、何度も振り返った。


仲間の名を叫び、姿を探した。


 


──だが。


 


バルディアスの姿だけは、最後まで見つからなかった。


 


 


「討ち死にか、あるいは……逃亡か……」


 


どちらにせよ。


「……信じ、従うと決めたのは俺自身だ」


 


「皆……すまない……俺は──」


 


 


 


──その時。


 


 


「安心せい、仲間と共に──我が軍門に降れば良いだけの事よ……」


 


 


背後から届いたその声に、即座に反応。


反射的に斧を構え直し、音のした方向へ踏み込む。


 


「誰だッ!!」


 


 


──現れたのは。


 


 


肉が腐り落ち、骨と乾いた皮膚だけで構成されたような異形の魔物。


長い杖を片手に、まるで“王者”のような堂々とした佇まい。


 


 


「……リッチか!? 貴様──!」


 


 


だが、その怪物は愉快そうに笑う。


 


「リッチなどと、下等な魔物と一緒にしてもらっては困るのぉ〜」


「我は“死霊王”マグナテス──この地を統べる六王の一角」


「心配するな。お前の肉体も、我が配下に加えてやろう」


 


 


──死霊王。


 


その名に、ガリウスの全身が緊張する。


斧を強く握り直し、呼吸を絞る。


 


「六王の一人……!」


 


ならば、ここで止まれば、連合は終わる。


 


ガリウスは即座に距離を詰めようとした。


だが──その動きが止まる。


 


 


「……っ!?」


 


 


横たわっていた味方の屍体が。


切り伏せたはずの兵たちが。


 


──ひとり、またひとりと。


 


ガリウスの前で、音もなく起き上がった。


 


空洞の瞳。


だらりと垂れた顎。


 


その手には、生前と同じ武器が握られていた。


 


 


「……っ、貴様……」


 


「フン。わしは戦いが好きではなくてな──」


 


マグナテスが、ひとつ手を翳す。


その指先から紫の光が奔り、地面に浮かび上がる魔法陣。


 


「わしの“趣味”で集めたコレクションを、お披露目してやろう」


 


 


──現れたのは。


 


 


一人の“屍”。


 


背は高く、筋肉が膨張したように肥大し、


戦死者の中に混ざるには、あまりにも異質な“存在感”を放っていた。


 


 


「……只者ではないな……」


 


刹那、目が合った。


いや、“死んだはずの目”と。


 


それだけで、背筋を冷たいものが這い上がる。


 


(生前は……名のある戦士だったのか)


(いや──違う。こいつは、規格外だ)


 


 


「だが、待っていろ」


 


「お前の魂……俺が、解放してやる」


 


 


──次の瞬間。


 


屍たちが一斉に襲いかかってきた。


 


 


「全方位か……!」


 


 


迷いなく──踏み込む。


 


「第二戦技《双撃》──!」


 


右から振るわれた屍の斧を、すれ違いざまに切り裂く。


膝を砕き、顎を断ち、逆側の腕を持つ敵へと刃を繋げる。


 


 


「第四戦技──《乱舞》!」


 


地を踏み鳴らす。


回転する斧刃が、竜巻のように屍をまとめて飲み込む。


肉が砕け、骨が飛び、血の霧が舞う。


 


だが──それでも止まらない。


 


次から次へと蘇る、元・仲間の影。


 


「……っ……くそが……!」


 


気力を削られる。


敵として斬る──それでも、視界に映るのは、かつて共に戦った顔。


無意識に、力が鈍る。


 


「どうした?手が鈍っておるぞ?」


 


遠くで、マグナテスが楽しげに笑っていた。


 


「貴様ら人間の絆とやら……実に、利用しがいがあるわい」


 


 


その時だった。


 


“それ”が、動いた。


 


あの、異質な屍──


 


その両腕をゆっくりと構え、拳を握る。


地面に、亀裂が走った。


 


「……ッ!?」


 


それだけで、空気が変わる。


 


一撃。


ただの一撃。


だが──地が、震えた。


 


踏み出した足と、振り下ろされた拳が、岩盤を粉砕し、


ガリウスの斜め後方、数メートルの地面が凹んだ。


 


「今のが……ただの、拳……!?」


 


思わず足が止まる。


だが、止まれば──終わる。


 


 


(……来る!)


 


斧を構える。


筋肉が悲鳴を上げても、立ち向かわねばならない。




視線は、地面を砕いたその拳の主へ。


 


(……バケモノだ)


 


人間だった頃の名残は、もうどこにもない。


ただ、強さだけが──異常な強さだけが、その身体に染みついていた。


 


「……ッ!」


 


足を踏み出す。


タイミングを見計らい、斧を逆手に構えて一気に距離を詰め──


狙うは肩口。構造が破綻したその腕の付け根を──


 


 


「……ッぐ、ぅ──!?」


 


 


重い。


 


──いや、違う。


“重い”という感覚が生ぬるいほど、異常だった。


 


狙いは正確だった。斧は肩口に到達していた。


だが──刃が、入らない。


皮膚の下に、何層も肉と筋繊維が絡み合っているかのような弾力。


硬さではない。“質量”で受け止められたような感覚。


 


(こいつ……筋肉の密度が……)


 


反撃がくる。


即座に飛び退き、地を転がる。


次の瞬間──


 


拳が地を撃ち抜いた。


爆風のように土砂と岩片が吹き上がり、巻き込まれた数体のアンデッドが一緒に吹き飛ぶ。


 


 


「……ッ、くそッ!」


 


攻撃が通らない。


反撃は、いずれも一撃で致命になり得る。


 


迂闊に攻めれば、死ぬ。


下がっても、屍兵の包囲が迫る。


 


(一対一じゃない……これは、“誘導された”包囲戦だ)


(こいつを囮にして、屍の群れが周囲から押し潰す構え──)


 


息が荒くなる。


思考は冷静でも、身体が限界を訴えている。


 


 


「……余力がないのう、鉄峰連邦の英雄殿」


 


不意に、死霊王の声が届く。


 


「おぬし、なかなかの奮闘ぶりじゃったが──どうやら、“ここまで”のようじゃの?」


 


マグナテスの背後で、さらに数体の屍が召喚される。


同時に、先ほどまで倒れていたはずの味方の死体が、またひとつ、ふらりと起き上がる。


 


(……終わりが、見えない)


 


仲間の姿を斬るたびに、精神が削られる。


今、この空間には“味方”が一人もいない。


──誰もいない。


 


 


だが。


 


 


(……せめて)


 


(この“目の前の一体”だけでも──倒して)


 


(連れて帰る者がいないなら)


(せめて、“倒した”という結果だけでも持ち帰る)


 


 


「……かかってこいよ、屍野郎……!」


 


 


ガリウスの構えが、わずかに下がった。


戦技の構えではない。


残された力を、次の一撃に集中させるための──“捨て身”の構えだった。


 


 


──その瞬間。


 


「ちょっと〜! せっかく助けに来てあげたのに、自殺特攻とか勘弁してくれるぅ〜?」


 


空から跳ねるように降り立った少女の声が、戦場の空気を割った。


 


振り返る。


 


そこに立っていたのは──


 


小柄な体格に、愛嬌のある笑み。


だが、その手に携えた一対のナイフは、恐ろしいほどに無駄がなかった。


 


(……まさか)


 


「……伝説の、英雄パーティーの一員に──こうもあっさり出会えるとはな」


 


驚愕を隠さず呟くガリウスに、少女──リリィはひらりと片手を挙げて答える。


 


「あ〜ら、初めましてぇ? 英雄とか呼ばれてるガリウスちゃん♡」


 


 


「……ちゃん、………………?」


 


 


戸惑うガリウスの顔を見て、リリィはいたずらっぽく目を細める。


 


だが──すぐに、その瞳が一変する。


 


ナイフを逆手に構え、目の前の“それ”を睨みつける。


 


目を合わせた瞬間にわかる。


ただの屍ではない。異常。異形。異能。


 


「……まさか、こんなところで再会しちゃうなんてね」


 


唇を吊り上げ、リリィは小さく息を吐く。


 


「運命って、ホント厄介〜」


 


 


一歩、前に出る。


 


刃が鳴る。殺意が形になる。


その視線のまま、背後のガリウスに呼びかけた。


 


 


「ガリウスちゃん。目の前の“それ”は──元勇者パーティの武闘家よ」


 


 


一瞬、空気が止まった。


 


 


「……なに?」


 


驚きと、理解が一気に押し寄せる。


 


ガリウスは斧を握り直し、呼吸を深く整える。


 


「通りで……規格外なわけだ」


 


その刹那、リリィが笑った。


 


「ふふっ、気合い入れてね?」


「ナマケモノな鉄峰連邦の英雄さん♪」


 


ナイフが音もなく展開される。


風を巻き込み、リリィの足元に疾風の気配が集まる。


 


 


「──行くわよ。ついて来なさい、ガリウスちゃん♪」


 


 


その背に、迷いはない。


 


ガリウスは、改めてその少女の姿を見る。


脳裏に浮かぶのは、昔語りの“伝説”──ではなく、今、目の前にいる“戦士”の姿だ。


 


(あぁ──こいつは、伝説なんかじゃない)


(今も現役で、“戦っている”)


 


 


斧を、肩に担ぐ。


その視線が、異形の屍へと再び向けられる。


 


 


「……伝説を──越えさせてもらうぞ」


 


 


鋼鉄の意志が、音を立てて息を吹き返す。


 


砂塵が舞う。


 


死の大地──朽ちた岩肌を削る風が、緊迫の静寂を切り裂いていた。


 


 


「……あれが、伝説の武闘家……」


 


ガリウスが斧を構えながら、目の前の異形を見据える。


 


死霊王マグナテスが呼び出した、かつての“英雄”。


屍と化してなお、拳を握るその姿は、もはや生者よりも強者の風格を放っていた。


 


 


「ふふっ……いいじゃな〜い♪」


宙を舞う黒のゴスロリが、唇を吊り上げた。


 


「相手は伝説の拳士……でも、こっちだって“今の英雄”ってとこ、見せつけなきゃね?」


 


 


──静寂。


 


 


次の瞬間。


 


 


屍が、消えた。


 


 


「ッ──来るぞ!」


 


叫んだガリウスの視界に映るのは──地面を砕きながら突進する“拳”。


 


超速。


地を蹴る音も風の切れもない。


空間ごと圧し潰す“破砕の突進”が、真正面からガリウスに迫る──!


 


 


「……ぉぉおおおおおおっ!!」


 


振り抜かれる斧。


土砂を弾き飛ばす咆哮のごとき一撃が、拳と激突した──!


 


 


重圧。


大気が反響し、地面が裂けた。


拳と斧の衝突点から波紋のように、亀裂が放射状に広がる。


 


「ちぃ……ッ」


ガリウスは、腕ごと斧を押し込まれる。


剛力だけなら、明らかに屍が上──!


 


 


──だがその瞬間。


 


「今ッ!」


 


空から、銀の閃光。


 


リリィが舞うように跳躍し、複数のナイフが宙を描いて屍へ向かって収束する。


 


刹那、屍は振り返り──


 


振るったのは、“拳”だった。


 


刃など物ともせず、ナイフの群れを一瞬で粉砕。


飛び散る刃片を全身に受けながらも、無表情で地面に着地。


 


「ぷぷっ♡ ちょろいちょろい〜♡」


 


だが、それすらリリィの“囮”だった。


 


彼女の背後──宙に浮遊していた別の追尾ナイフが、遅れて軌道を変え、真後ろから襲いかかる!


 


「──いっけぇ♡」


 


だが。


 


振り向かない。


 


そう、“踵”だけで弾いた。


 


足先で金属を弾き飛ばす芸当──常人なら不可能な反射と強度。


 


「なによ……こっち見てもくれないの? ちょっと傷つくな〜♡」


 


だが、リリィは笑っていた。


笑いながら、すでに間合いを詰めていた。


 


「だったら……こっちは、どう?」


 


 


──リリィの本命は“手元”。


 


足場を蹴ると、手にした短剣を縦に──そして横に薙いだ!


 


刃が交差する。


喉元、脇腹、足の腱──殺意満載の連撃。


 


だが屍は寸前で前傾姿勢を変え、リリィの体を腕一本で押さえ込もうとする。


 


「きゃっ──! もう、強引なの好きじゃないんだけどぉ?」


 


笑いながら後方宙返りで退避。


その体が弾かれると同時──


 


 


「どけぇぇぇぇッ!!」


 


ガリウスの大斧が、再び軌道を描いた!


 


斧が地面を削り、舞う岩塊ごと屍を打ち据える。


 


直撃──と、思った。


 


だが屍は後ろ脚で地を削り、真横に滑るように回避──


 


代わりに、両拳を組み、ガリウスの脇腹へと打ち込む。


 


「ッ……ぐはッ!」


 


膂力による一撃。重装備の鎧ごと、ガリウスの巨体が吹き飛ぶ。


 


地面を転がりながらも、すぐに立ち上がる。


吐血。肋骨、何本か折れたかもしれない。短く息を吐き、痛みを押し込める。


 


「ちょっとぉ、ガリウスちゃん! 折れた程度で止まんないでよぉ!」


 


「……任せるか……!」


 


再び斧を構え、吠える。


 


「この一撃が……道を開くッ!!」


 


 


再び斬撃。


地ごと抉るような水平斬り──


それを、屍は拳で真正面から迎え撃つ。


 


 


──轟音。


衝撃。


赤い血と灰色の肉片が、霧散した。


 


斧の峰が肩関節を噛み砕き、拳の軸ごと削り落とす。関節音が遅れて大地に響いた。


 


 


そして。


 


そこに立っていたのは──斧を真横に構えたガリウス。


右肩から下を破壊された、屍。


 


だが、屍は倒れない。


なおも睨み、なおも立ち上がる。


 


拳を握る音が、骨から響く。


まだ、終わっていない。


 


 


だが──


 


 


「ふふっ♡ よそ見してると、危ないよ?」


 


真上。


影が降る。


 


リリィが、自身の身体を回転させながら宙返り。


 


その両足の間に、短剣を構えたまま──


 


急降下、一直線に。


 


突き刺すような体重乗せの急襲突撃──!


 


「これが、現代の英雄ってやつよ──」


 


 


「──舐めないでよねッ!!!」


 


 


──刃が、屍の後頭部を貫いた。


 


骨を裂き、脳を砕き、肉を貫く。


 


なおも筋繊維がうねり、薄紫の糸が頭蓋の奥で束ねられる。再起動の兆し。


 


「寝てろ」ガリウスが一歩、踏み抜く。震動が胸骨を鳴らし、糸が霧散──完全に、止まった。


 


リリィの体はそのまま反動で跳ね飛ぶが、彼女は軽やかに着地。


 


振り返った先には──


 


 


静かに、崩れ落ちる“英雄の屍”の姿。


 


 


地面に落ちた拳は、もう動かない。


 


 


「……やっと倒れたか……」


ガリウスが肩で息をしながら、立ち尽くす。


 


 


「ふふ〜♡ やっぱり“伝説”って、ちょっと格が違うのよねぇ〜」


「でも、倒しちゃったんだから……こっちが上ってことで、いいわよね?♡」


 


「……謙虚さは……ないのか……」


 


「ないの〜♡」


 


 


崩れ落ちた屍を見下ろしながら、リリィはナイフをくるりと回した。


 


 


──かつての英雄。


過去の伝説。


 


──それを打ち倒したのは。


 


今を生きる者たち。


 


未来を背負う者たち。


 


 


風が吹いた。


静寂のあとに、確かな決着の残響を残して──。



「ふむ……良き標本が、また欠けおったか」


死霊王マグナテスの低い声が、瓦礫の向こうから響いた。


その姿は骸骨でもなく、肉塊でもなく──“半ば朽ちた老人”のように見えた。

だがその眼窩に宿る光は、獣より冷酷で、炎より強欲。


 


「では……次は、おぬしたちを標本にしてやろう」


 


指先がゆるりと上がる。

瞬間、地に転がっていた屍兵が一斉に痙攣し、砕けた骨と肉が黒い糸で繋ぎ合わされていく。


割れた頭蓋、折れた肋骨、喰いちぎられた腕……その全てが“繋ぎ合わされ”、ひとつの巨大な異形へと変貌していった。


 


「くそ……数だけじゃない、“寄せ木細工”みてぇに強化してやがるのか!」


ガリウスが斧を構え直す。息は荒く、肋骨の痛みが呼吸のたびに響く。


だが退く選択肢はない。


 


「へぇ〜……遊びがいがあるじゃな〜い♡」

リリィはナイフをくるりと回し、舌なめずりをした。


 


異形の咆哮。

そして、死霊王自身が杖を掲げた。


「魂よ、鎖となれ──“檻”となりて、敵を囲え」


 


黒い鎖が、地面から一斉に噴き上がる。

蛇のように絡み合い、ガリウスとリリィを閉じ込める檻を形成する。


 


「……っ、閉じ込められ──」


 


「どけぇぇぇッ!!」


 


ガリウスが吠えた。

残る力をすべて斧に乗せ、檻の黒鎖ごと叩き割る。

衝撃で血が口端から飛び散るが、そのまま正面突破する。


 


「いいぞいいぞ♡ やっぱ力押し担当はそっちね!」


リリィは背後から疾風のように駆け、檻の隙間をすり抜ける。

宙に散った追尾ナイフが一斉に軌道を描き、マグナテスを取り囲んだ。


 


「小癪な──!」


マグナテスの魔法陣が広がり、ナイフのいくつかを弾く。

だが、残りが防御をすり抜けた瞬間──


 


「今よッ、ガリウスちゃん!!」


 


斧とナイフ。

正面と背後。


二つの刃が、同時にマグナテスを貫いた。


 


「が……ッ、あぁぁぁ──ッ!!」


死霊王の叫びが、魂ごと軋むように響く。

黒い糸が切れ、操られていた屍兵たちが一斉に崩れ落ちる。


 


「伝説の標本にしてやろう、だと……?」

ガリウスは血に濡れた口で吠える。


「今を生きる者の刃で──終わらせるッ!!」


 


最後の衝撃。

大斧の一撃で、マグナテスの胸骨が粉砕された。


光を失ったその眼窩から、黒煙が溢れ──

やがて虚空に吸い込まれて消えていった。


 


 


……静寂。


風が吹き、死の大地の砂を巻き上げる。


 


「……ふぅ〜。やっと、静かになったわねぇ♡」

リリィは息を整えつつも、ナイフをくるりと回す余裕を見せる。


「おいおい……こっちは、折れた肋骨で死にそうなんだぞ……」

ガリウスは苦笑し、斧を地に突き立てて肩で息をついた。


 


二人の背後には、崩れ去った死霊王と、山のような屍の残骸。


だが確かに──

鉄峰連邦の英雄と、現代に生きる伝説が並び立ち、死霊王を討ち果たしたのだった。





祝・1万PV突破!!



作者『この度は本作品が……なんと!ついに!1万PVを突破いたしました!!』


作者『本当に、本っっっ当にありがとうございます!!』


作者『まだまだ至らない点は多いですが、生暖か〜い目で見守ってくださると嬉しいです……!』


作者『できれば……できればでいいんで……その……ブックマークをポチ〜っとしていただけると……今なら!ヒロインたちのセクシーなあんなシーンやこんな展開も──!?』


 


カナ『主様? この産業廃棄物が口から汚物を撒き散らしておりますが、土に還しても?』


シュン『ちょっと待て! 冷静になれカナ! こいつがいないと物語進まないから!』


 


クー『なら、手と頭以外を還すのだ〜♪』


シュン『やめろ! それ逆にエグいから!!』


 


リリィ『でもぉ〜? ヒロインの色香で読者釣ろうとする作者ってぇ〜作家として終わってないですかぁ〜? ど底辺の末路って感じでぇ〜哀れでぇ〜す♡』


作者『ぐはぁ……』


 


白蓮『まぁ、そない言うても一応うちらの“生みの親”やからなぁ? ど底辺でゴミで救いようがないってのは事実やけど……一応、作者やしな? 一応やで?』


作者『ごめんなざい……! ならせめて胸キュンシチュだけでも……!』


 


\一同/『救えないクズ。』



なお、作者はこのあとスタッフ(ヒロインズ)により美味しく土に還されました。

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