第23話『その沈黙に、誰も耐えられなかった』
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(いや、助けてください!!)
──────
何故か俺は、これから戦場になるであろう場所。
鉄峰連合とセザール国、両陣営が睨み合う中央へ――たったひとりで歩かされていた。
(なんでだよォォォォ……!!
俺に何ができるんだよォォォォ……!!)
涙が込み上げる。てかもう泣いてる。
視線の先。セザール側では、クーがすでに前に出されていた。
黄金色の瞳で俺をじっと見つめ――その尻尾を、パタパタと嬉しそうに振っている。
(……おい馬鹿犬、空気読め!なんでそんな楽しそうなんだよ……!)
俺は頭を抱えながらクーに詰め寄った。
「お前どうすんだよ……この状況……」
するとクーは、まるで散歩にでも誘われたかのように呑気な声で言った。
「んー? どうしたんだぁ主様? 全員狩るのか?」
(コイツ……!!!)
「お前ぇぇぇぇぇ!!! なんで余計なことばっかすんだ馬鹿犬がぁぁぁぁぁぁ!!!」
バコッ! と拳を振り下ろす。
見事に直撃し、クーは涙目で頭を押さえた。
「いたいのだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
――その光景が、周囲の兵士たちにはこう映った。
(……一撃で、泣かせただと!?)
(あの青年……どんな怪物なんだ……!?)
緊張で張り詰めていた空気に、戦慄が走る。
俺は絶望。
クーはしゅん。
兵士たちは震撼。
「クー!今からみんなに謝るぞ!? もしかしたら許してくれるかも……!」
「主様……何をクーは謝るのだぁ……? でも主様がそう言うなら……謝るのだ……」
耳も尻尾もしゅんと垂れたクーの姿は――
兵士たちには、完全に“心を折られた獣”にしか見えなかった。
特にギルは敗北を悟る。
(なんなんだ!? あのガキ……! あの怪物と二、三言葉を交わして、拳一発で屈服させただと!?
信じられねぇ……! 俺の知ってる世界の理が壊れていく……!
なんでだ……何処で俺は間違えた……? あぁ神様……助けてくれよ……!!)
一方、ガリウスも驚愕していた。
(彼の振る舞いは、常人の理解を超えている……。
思い返せばリティスの時も、リティスは異様な怯えを見せていた。
……だがあれは、ただの恐怖ではない。
“強者にしかわからぬ、底知れぬ何か”を彼は纏っていたのだ……!)
二人の解釈は違った。
だが、その結論は同じだった。
──シュンが鍵だ。
そして、ガリウスとギルはそれぞれの陣営から、シュンとクーのいる中央へ歩み寄っていく。
歩み寄ってくる二人の男。
ガリウスとギル──
戦場で睨みを利かせていたはずのその二人が、なぜか俺の方へ、真正面から歩いてきていた。
しかも──
ガリウスはまるで“王”のような威圧感を纏いながら、
ギルは……なんか……今にも泣きそうな顔で……
……おい。
なんだこれ。
なんで“俺”をまっすぐ見てんだよ。
まさか……まさかバレたのか!?
俺とクーが主従関係だって……!?
やばいやばいやばい、やばすぎるだろ!?
クーを率いてる奴だってバレたら終わりだ!
俺がクーのボスなんて知られたら、どっちの陣営からも殺されるぅぅぅ!!
くそっ……!
こうなったら全力の言い訳だ!せめて誤魔化して逃げるしか──!
「え、ええと、違うんですこれは──」
言いかけた瞬間、クーが──
「ごめんなさいなのだ!! 主様に言われて、もう反省したのだ……! だから許してほしいのだ……!」
──盛大に自爆した。
おおおお前ぇぇぇえええ!?!?
なんで主様って言っちゃうんだよおおおお!?!?
頭下げてんじゃねぇぇえええええええ!!!!!!
耳もシッポもしゅんとなって土下座状態。
しかも声がでかい!
主様!って言った!完全に言った!!
もう……終わった……
……と思ったそのとき。
二人の目が……変わった。
いや、正確には──
“理解した者の目”になった。
(……クー殿ほどの猛者が、主人と呼ぶ存在……)
(つまり彼は、私の想像を遥かに超える“災厄”だということか……!)
(この場で敵対などした日には、連邦の未来すら消し飛ぶ……!)
「シュン殿……!どうか、鉄峰連合にお越し頂けぬか!? 地位も名誉も、望むものは全て用意しよう!」
(くそっ……あの化け物を従えてるってのに、なんだあの無表情……!)
(逆にこえぇよ……読めねぇよ……なんでこんな若造が……)
(もうダメだ……戦っても無駄だ……命乞いだ……!)
「お、お頼ぇします……!命だけは助けてくれ……セザール国はあんたに従う……!何でもするから……!」
「へ?」
思考が、完全に止まった。
何が起きてるのか──まったくわからない。
え? 俺がなんかした?
いやしてないよね?
主様って言われただけだよね??
……いや、そっか……それだけで……ヤバいのか。
「す、すまぬ……!ではせめて、同盟だけでも……!」(ガリウス)
「誓う!命も魂も捧げる!だから──頼むッ!」(ギル)
──やめてくれ。
そんな目で見ないでくれ。
俺、けんちん汁売りに来ただけなんだ……
そして──
「主様についてくればいいのだ♪ 主様が最強なのだ~♪」(クー)
──もう、誰も止められない。
この出来事は、後に“覇王出世の端緒”と語られることになる。
だが当の本人は──
いまだ混乱の中で、味噌汁のことを考えていた。
【あとがき小話】
作者「今日みんなに集まってもらった理由は……言わなくてもわかるよな?」
カナ「主様と私達の──新婚生活編の告知ですね!」
クー「ごはん!?それともナデナデぇ〜!?」
シュン「あとがき小話をやってなかったのに、唐突にやるほどって一体……」
作者「……全然読まれてなぁーい!もしジャンプだったら────」
ナレーション:
こうして禁忌の森は国となった。
彼らの物語はこれからも続く──!
次回作にご期待下さい。
作者「……ってぐらい!」
カナ「…………えっ」
シュン「勝手に打ち切るなああぁぁぁぁ!」
クー「酷いのだぁぁぁぁ!まだまだモフモフ足りないのだぁ!」
作者「……ってなると思ったから。ちょっと投稿パターン変えるわ」
シュン「この前お前、自分でスケジュール決めたばっかりだろ!?」
作者「でも“予定”って言ったよ? 予定は未定ってやつ」
カナ「……思考が浅すぎます。最早その手のひらはドリル回転……驚愕です」




