第16話『ズガァン!バギィン!ポスッ……俺だけ効果音おかしくない?』
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「…………はぁ?」
──何、今の。
人を、何処までも……何処までも……コケにして……
ふざけるな。
ふざけるな。
ふざけるな。
「クソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
叫んだ瞬間、内側で“何か”が芽吹いた。
ほんの、ほんの微かな……違和感。
いや──
これはまさか……
“恐怖”?
おかしい。
あり得ない。
この肉体はもう、人間でも魔法使いでもない。
恐怖などという、情緒的な概念を“受け入れない側”だ。
魔族。
恐怖を具現化した存在
それも、最上位の。
……にも関わらず。
『効いてなーーーい!!!!!』
『なにあれ!?ビーム的な演出だけ!?ただの癒しの光!?』
『温泉旅館のヒーリングライトかよ!!せめて目くらましくらいしてくれよ!!』
『女神ああああああああ!!前線に出てお前が撃てええええええええ!!!』
……何を叫んでいる?あのガキは。
魔法を撃った張本人がパニック起こしてる。
意味不明。
効いていないどころか、本人も何が起きたか理解してない。
──それなのに。
この場にいては、いけない。
立っているだけで、背筋に氷柱が走る。
風が……空気が……光が……全てが、俺を拒絶している。
まるで、世界そのものが牙を剥いてくるような……
錯覚? 違う。
これは──
本能が叫んでいる。
「怖い……?」
いや、馬鹿な。
この俺が……恐怖を?
魔族の……魔王の肉体を得た俺が……?
そんなバカな、そんなバカな、そんなバカな……!
──ズゥン
ガリウスが一歩、前へ。
その一歩に。
地が、揺れた気がした。
「ヒッ……」
喉が勝手に悲鳴を漏らす。
背中が震える。
膝が、笑う。
冷や汗が、流れる。
ヒゲが、伸びて──いや違う!!
「な、何あのヒゲ……!? 一本一本が、こっちを狙ってる!? 殺意……殺意がヒゲにまで宿ってる!?!?」
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい
なにこれなにこれなにこれなにこれなにこれなにこれなにこれなにこれなにこれ
意味わかんない意味わかんない意味わかんない意味わかんない意味わかんない意味わかんない
──ガリウスが、感じ取った。
「……様子が、おかしいな」
リティスは、動かない。
否、動けない。
表情は引き攣り、瞳孔は開ききり、汗は噴き出している。
まるで──初めて死を目の前にした、ただの少年のように。
今だ。
ガリウスは触手を力任せに弾き飛ばし、怒涛の如く距離を詰める。
「っ! 来るな……来るな、来るなあああああああああああああ!!!」
目の前で戦技が煌く。
「──第七戦技、《断空覇斬》!」
バギィィィィン!!!!
凄絶な破壊音と共に、大斧がリティスを両断する。
そのまま後方の地面ごと、数十メートルにわたり亀裂が走った。
地が鳴き、風が悲鳴を上げる。
ただひとつ──リティスの叫びは、もうなかった。
────────────
───ズガァァァァァァァァァァン!!!!
「…………えっ?」
地面が、裂けた。
化け物が、真っ二つ。
なにそれ、ガチ戦記モード??
俺の魔法はヒュルル〜ポスッ♪だったのに、ガリウスさんの斧はズバァン☆地形破壊付きってどういうこと?
俺……転生ウインドウシステムなのに……女神!?
なんで俺の方だけ初期装備が温泉ライトなの!?!?
『癒しの光、ぽわわ〜ん♪』じゃねーんだよ!
『世界を割る鉄斧、ドゴオオォン!』の方も配布してくれよ!!
あぁ…………もうダメだ…………
戦場のテンションについていけない…………
いやほんと、俺がブツブツ発狂してる間に、
戦闘終わってるって何?
何この置いてけぼり感……
「「おおおおおおおおおおおおおお!!!!」」
周囲ではドワーフたちが勝鬨をあげてる。
歓声が上がってる。
地面は裂けてる。
化け物は真っ二つ。
俺だけ、ぽつん。
……そして、心に決めた。
絶対に──あのヒゲを怒らせてはならない。
冗談とかじゃない。命が危ない。
あれは戦技とかじゃない。災害。ヒゲ型天災。
今度から何か頼まれたら即答で「はい!よろこんで!」って言おう。
ガリウスさんが望むなら、俺は岩だって食べる。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。
この作品を通じて、少しでも「面白かった」と思ってもらえたなら、それだけで報われます。
たった一人でも、笑ってくれたら、それだけで。
また、別作品
『才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで』
も公開中です。こちらもギャグと熱さを込めて執筆しています。どうか、お手に取っていただけると嬉しいです。
今後とも、応援よろしくお願いいたします。




