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6話・わたしは可愛いのかしら?



「うむ。ベラ、誰か良い人はいないのか?」

「そんなこと急に言われても……」


 ジネベラは、自分から他人に話しかけるのは苦手だ。学園でもクラスメート達とは打ち解けなくて、いつもひとりぼっち。両親や屋敷に勤める者達には、心配かけさせたくなくて、クラスで孤立しているなんて言っていなかった。


 父はジネベラの気持ちを汲み、誰か気に入る人がいるのならば、婚約の打診をしようと考えてくれたようだ。


 派手なピンク髪に新緑色の瞳となった外見に、馴染めそうにないジネベラは戸惑う。このままヒロイン病とやらが直らずにいたら、一生この見た目のままでいることになる? それは嫌だ。

 ジネベラが項垂れると、ナーリックは、気に病む必要は無いと言った。


「当分このままの姿だったとしても、何か困ることはあるかのう? 嬢ちゃんは、ますます可愛くなって、さらに皆から可愛がられると思うがね」

「そうよ。ベラ、先生の言うとおりだわ。ベラはいきなり苺ミルクのような髪色に、新緑色の瞳に変化して戸惑っているかも知れないけど、森の妖精みたいで誰よりも可愛いわ」

「そうだな。もともとベラは可愛いいが、それが格段と可愛くなった。妖精、いや天使になった」


「お嬢さま、これで今まで自分の髪色には合わないと諦めていた、お嬢さま好みの髪型にもチャレンジ出来そうですね」

「……そうね」


 やや親馬鹿なところのある、両親の大袈裟な発言には呆れたが、ジネベラの変化を快く受け入れてくれるようだ。それでもボーナの励ましの言葉で、少しだけ希望が持てるような気がした。

 王立学園に通うご令嬢方は皆、金髪や銀髪、淡い茶色と明るめの髪型の人が多い。その上、垢抜けた容姿で羨ましく思われたものだ。父親譲りの黒髪を嫌っているわけでは無いが、装う際にはパッとせず地味に感じられて仕方なかった。


 その為、ボーナが何度か髪を編み込みましょうか? と、申し出てくれたのを、朝の支度に時間がかかって申し訳ないし、自分には似合わないからと断っていた。


 そのことをボーナは、気にしていたようだ。ジネベラも自分の身に起きた外見の変化には戸惑ってはいるが、この姿には好感が持てる気がした。もしかしたら見た目が変わったことで、普段距離を置かれているクラスメート達に関心を持ってもらえるかも知れない。友達になってくれる人が現れるかもしれない。


「ボーナ。わたし、本当に可愛い?」

「ええ。とても可愛いですよ。お嬢さま」


 ジネベラの問いに、ボーナは迷いなく頷く。母が励ますように言ってきた。


「ヒロイン病だなんて素敵じゃない? まるであなたは童話に出てくるお姫さまみたいよ。これからあなたは、あなただけの王子さまに出会えるに違いないわ」


 だから頑張って。と、母に抱擁されてジネベラは頷いた。背後では「ベラに彼氏なんて100年早い!」と、渋る父の声もしたが、それを聞いたナーリックやボーナが笑い出した。



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