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43話・キミドリの反撃


「バーノくん。騙されているわ。目を覚まして。その子は危険よ。ご禁制の薬に手を出しているかも知れないのよ」

「ご禁制の薬?」

「そうよ。だって見た目が急に変わるなんて変でしょう?」

「──!」

「薬師長さまにも聞いたら、おかしいって言っていたもの。急に見た目が変わるなんて、魔法か薬でも盛らないと無理だって」


 エトワルの言葉に、ジネベラは息を飲む。アンジェリーヌとバーノは、不愉快そうに眉を潜める。エトワルはそれに気づかず続けた。


「淑女科にいる知り合いから聞いたけど、彼女はもともと黒髪に焦げ茶色の瞳をした平凡な顔付きの少女だったそうじゃない。それが急に見た目が変わって殿下を始め、異性にちやほやされ出したって聞いたわ。そんなに急に人は変われないもの。彼女は怪しいわ」

「エトワルさん。言いたいことはそれだけ?」


 意気込んで言うエトワルに対し、バーノが不快そうに言う。そこへ視界の隅を黄緑色のものが横切ったと思ったら、彼女の背に乗った。


「や、や──っ。何これ。取って!」


 自分の肩に何かいる。気持ち悪いと騒ぐエトワルにナーナは怯えたように言う。


「何か得体の知れない動物が付いている。気味が悪いわ。嫌だ。私、触れたくない」

「えっ? ナーナ。お願い。取って」


 エトワルが体を振るが、黄緑色のフクロモモンガは張り付いて放れなかった。そのままではフクロモモンガが振り払われて可哀相だと思ったジネベラが、彼女の肩からフクロモモンガを救ってあげようと思った時だった。


「何よ。これっ」


 エトワルが自ら気持ち悪いと言いながら、フクロモモンガを掴み、思い切り地面に叩き付けた。


「ギィ────ッ」

「酷い」


 地面に叩き付けられたフクロモモンガを即座にすくい上げると、エトワルは笑った。


「気味悪い者同士、お似合いよ」

「キッキッ」


 仲間の悲鳴に、モモも心配したのか鳴きながらひょっこりバーノの制服から顔を出していた。


「大丈夫だよ。モモ。心配しないで。あなたね、なんて事をするの」


 ジネベラは、苛立ちを覚えた。このような小動物に暴力を働くなんて、エトワルはどこかおかしいとしか思えなかった。睨み付けると、エトワルは今まで大人しかったジネベラが、怒りを露わにするとは思わなかったのだろう。驚いていた。


「な、何よ」


 ジネベラの両掌の上で、黄緑色のフクロモモンガが身を起こした。そしてエトワルの方へと飛ぶ。


「キミドリちゃん」


 思わず色の名前で呼ぶと、そのキミドリはエトワルの手にしがみつき噛みついた。


「痛い~!!」


 反撃したようだ。キミドリは力尽きたように地面に落ち、それをバーノがすくい上げた。


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