表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/76

30話・最後にご忠告申し上げます


「ええ。あなた方と係わりあうようになってから、色々と変化がありましたよ。もともとわたしは人見知りが過ぎて周囲から浮いていましたが、殿下達と交流するようになったことで、クラスメート達には嫌われました。仲間はずれにされましたし、悪口も叩かれました。未だに殿下に振られて良い気味だという人もいます」

「それは虐めじゃ無いか。なぜ、早く言ってくれなかった。早急に手を打ったのに。今からでも遅くは無い」


 オラースが、ジネベラの現状を初めて知ったようで驚く。ジネベラは呆れた。その要因を作ったのは彼らなのに。


「皆はたかが男爵令嬢のくせに、殿下に言い寄るだなんて、はしたないと言ったのです。わたしから殿下に言い寄った訳でもないのに、殿下に声をかけられたことさえ、彼女達にとっては許せないことなのですよ」

「そんなにも狭量なのか。女子とは」

「あなた方がそれだけ注目を集めているということですよ。妬み嫉みは貴族社会では当たり前ではないですか。それで低位貴族の娘であるわたしは、身の程を弁えてあなた方の側から離れようとしたのに、あなた方がいつも教室までやってくるから、皆から色々言われて入らぬ嫉妬を買い迷惑でした」


 ジネベラは今までの鬱憤を晴らすように言い切った。そこに後悔はなかった。


「申し訳なかった。そんなことになっていようとは考えもしなかった」

「低位貴族の娘であるわたしですらそのような状態なのです。高位貴族令嬢で殿下の許婚であるアンジェは、もっと大変だと思いますよ」

「……そうかも知れない」


 オラースはハッとした様子をみせる。分かってもらえるのにここまで時間を要したことでジネベラは、彼の先は短いような気がしてきた。


「最後にご忠告申し上げますが、アンジェへの不敬な発言は直された方が宜しいかと思います。聞いていて不愉快ですので。では失礼」


 オラースはもう引き止めなかった。校門前まで来るとバーノが駆け寄ってきた。


「今まで見ていたの?」

「何かあったら側に寄ろうと思ったけど、ベラが口だけ男を言い負かすのに聞き入ってしまった。ごめん。でも、その姿が格好よかったよ」


 実はこの後、バーノと王都にある洋菓子店に行く予定だった。アンジェリーヌに教えてもらったのだ。彼女も一緒に行く予定だったが、急用が出来たとかで、ふたりで向かうことになっていた。

それをもの凄く楽しみにしていて、気が急いていたのだけど、オラースに足止めをくらいジネベラは、軽く苛立ちを覚えていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ