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【書籍化】悪の皇女はもう誰も殺さない  作者: やきいもほくほく
一章 悪の皇女はもう誰も殺さない
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今、キャンディスが住んでいる場所はホワイト宮殿。

マクソンスはレッド宮殿でリュカがブルー宮殿。

子供たちが住んでいる場所は色別の名前と共にわけられている。


キャンディスは滅多に宮殿から出ることもなく、皆、住んでいる場所も違うため顔を合わせることがあっても喋ることもない。


そして皇帝であるヴァロンタンはバイオレット宮殿に住んでいる。

バイオレット宮殿が一番大きく、ホワイト、レッド、ブルーはバイオレット宮殿の大きさを三つにわけている状態だ。


キャンディスはよく知らないが、アルチュールはキャンディスたちが住んでいる宮殿の端っこに住んでいたらしい。

なんの後ろ盾もない彼は宮殿での居場所はなかった。


のちにヴァロンタンがアルチュールとルイーズのためにイエロー宮殿を新しく建てるように指示を出した。

もちろんキャンディスはそれを気に入らずに、アルチュールとルイーズを脅してイエロー宮殿を建てるのをやめさせようとしていたのだが。


(そもそもお父様が後継争いにて子供たちを競わせるようなことを言ったことでわたくしが勘違いして、あの惨劇に繋がってしまったのよ!お父様がわたくしを愛してくれたら……っ、それでよかったのにっ)


キャンディスは唇を噛んだ。

しかしそれは人のせいにしているだけだだと今なら不思議とわかるのだ。

キャンディスは女帝になりたいわけではない。

父に認められて愛されたかっただけなのだ。


(もう後継争いに参加するなんて絶対にごめんだわ。マクソンスお兄様に押し付けましょう……!わたくしは皇女としてあの男と結婚することなく今度は生き抜くつもり……でもそれを許してくれない人物が近くにいるわね)


今回、キャンディスが後継争いに参加するつもりはないのだが、そうさせてくれないのがキャンディスの祖父、ラジヴィー公爵である。

彼は自分の娘、つまりキャンディスの母親のリサが病弱であったが故に満足な教育ができなかったことをずっと不満に思っていたらしい。


幸いリサをヴァロンタンと結婚させることができて、キャンディスを授かったことでリサは役目を終えて、ラジヴィー公爵はリサを様々な脅威から守るために療養という形で別邸に住まわせている。


ラジヴィー公爵はキャンディスが男児ではないことにがっかりしていたが、キャンディスを完璧な淑女に育ててヴァロンタンに気に入られることで自分の立場を確固たるものにしようと画策していた。


キャンディスが十歳の時にヴァロンタンが後継争いではより強いものが生き残ると言ったことにより、キャンディスはレイピアを叩き込まれることになる。

そして自分の息がかかった婚約者を用意することにより、皇帝の座を継がせて、ラジヴィー公爵は帝国貴族たちが輝けるような国にしたいという野望を持っているのだと知った。

そしてマクソンスを支持する軍部やリュカを支持する教皇を出し抜こうとしていたがキャンディスにとってはどうでもよかった。


何故、キャンディスが大人しくラジヴィー公爵に従っていたのか。

それは『母親に会わせてやる』というラジヴィー公爵の言葉があったからだ。

愛情に飢えていたキャンディスはその言葉に食らいついた。


(お母様に会うために……そうするしかなかったの)


しかしキャンディスが完璧な淑女になったとしても、血反吐を吐くほどにレイピアの腕を磨き上げていたとしても、ラジヴィー公爵に『もっと』と強請られて、はぐらかされて結局母親には一度も会わせてもらえなかった。


そしてキャンディスが十二歳の時に会うことないまま母親は死んでしまったのだ。

やっと母親に会えた時にはもう冷たくなっていて花に囲まれながら棺桶で横たわっていた。


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― 新着の感想 ―
まあ単純に父の愛をだけでなく、母方の親族の要望(要は外戚として力振るいたい)も有り、彼女苦労してたと。 それだと、単純なFOが難しいと言うハードゲーム。 逃げの手としては、皇帝に頼んで他国に嫁ぐ手も…
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