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【11/12 コミック1巻発売中】悪の皇女はもう誰も殺さない  作者: やきいもほくほく
七章 皇女、大奮闘

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①①⓪

マクソンスはキャンディスにもわかりやすいように噛み砕いて今の状況を説明していた。

 

(マクソンスお兄様って、ただの筋肉野郎だと思っていたけれど……今は意外にも色々と考えているのね)


成長すると彼は弱いものを徹底的に嫌っていた。

そのきっかけはちょうどマクソンスが今くらいの年齢だったはずだ。

他の兄弟たちにまったく興味もなかったキャンディスはいまいち思い出すことができない。


(マクソンスお兄様は人が変わったように訓練に打ち込み始めたのよね。侍女たちが深刻な表情で噂していたわ。何があったんだったかしら……)


キャンディスが考え込んでいるとマクソンスが不機嫌そうに声を上げる。



「おい、聞いているのか?」


「も、もちろんですわ!」



キャンディスは慌てて地面に視線を戻す。



「お前はココ、つまり帝国貴族代表だ。ここでは暮らせない」


「だけどお父様が……」


「皇帝がお前に肩入れしているのは明白だ。だからラジヴィー公爵はこれだけ余裕なんだろう?」


「……そ、そうなのですか?」


「ああ、一番焦っているのはリュカんとこだな。んで、オレにも別の意味で圧力がかかっている」



キャンディスはマクソンスを見て正直、感心していた。

このままでいけば間違いなくマクソンスが皇太子として早い段階で決まっていたのではないだろうか。



「わたくしは王位などいりませんわ」


「…………本気か?」



キャンディスは力強く頷いた。マクソンスはその言葉を聞いて驚いている。

ラジヴィー公爵はどうだか知らないが、キャンディスはこの道だけは避けなければならないと言うべきだろうか。

待ち受けるのは地獄の未来だとわかっているからかもしれない。



「はぁ……ラジヴィー公爵が許すはずがないだろう?」


「お祖父様なんて知りませんわ! わたくしは素敵な王子と結婚して帝国から出……「無理だろうな」


「……なっ!?」



希望に溢れる未来を語っていたのに遮られてしまい、キャンディスは呆然としていた。



「皇帝が今、この状況でお前を外に出すわけがない」


「くっ……!」



反論できずにキャンディスは唇を噛む。

マクソンスはキャンディスが溺愛されているから、という意味だ。

キャンディスはヴァロンタンにダメだと言われ続けたため、愛されていないからという意味で受け取っていた。


(マクソンスお兄様は勘違いしているんだわ……!)


キャンディスはマクソンスの言葉に苛立っていた。



「勝手に敵視していたのが馬鹿みたいにじゃねぇか」


「敵視……?」


「オレたちは王位を争っているんだぞ?」



その言葉は今までキャンディスが敵だったように聞こえるではないか。



「もしかして、わたくしを無視していたのもそういう理由なのですか?」


「…………まぁな」


「でもまぁ……オレの敵じゃないとわかったんだったらそれでいい」



やはりそうだったとキャンディスは頷いた。



「リュカお兄様も医者になりたいと言っていましたわ。あまり王位には興味ないようでしたけど」


「それは知っている」


「そ、そうですか」



リュカとマクソンスの間にもまた知らない関係性があるのかもしれない。

それにライバル視しているということはマクソンスは皇帝になるつもりなのだろうか。



「マクソンスお兄様は皇帝になりたいのですか?」


「当たり前だ。オレにはそれしか道がない」


「…………」



キャンディスは心の中で大きな舌打ちをしていた。

マクソンスは体の前で手のひらをギュッと握る。



「だが、オレが皇帝となりいい国を作る。ギーグ神父のように子どもたちが苦しまずに済む未来を……」



ギーグ神父とは先ほどの筋肉もりもりの神父のことだろうか。

この孤児院の神父と第一皇子である彼がどんな関係なのかはわからない。

しかし第一皇子である彼が護衛も連れていないことを考えると、訳があるのだろう。

そんなことを話していると、マクソンスの元に木の棒を持った男の子たちが駆け寄ってくる。



「マクソンス兄ちゃん、訓練してよ!」


「俺も俺も! 早く強くなって、マクソンス兄ちゃんが率いる部隊に入りてぇ!」


「マクソンス兄ちゃんのように強くなるんだぁ!」


「ああ、楽しみにしている」



マクソンスは今まで見たことがない優しい表情だ。

どうやらマクソンスは彼らに身分を隠して剣術を教えているようだ。



「先に準備していてくれ」


「わかった!」


「俺もすぐに行く」


「マクソンス兄ちゃん、早く来てねー!」



手を振りながら走り出す男の子たちを笑みを浮かべながら送り出す。


(こんな風に笑えたの……? なんであんなに強さに異常なほどに執着するようになってしまったのかしら)


キャンディスがそう考えていた時だった。



「──見て! お姫様よ」


「本当だわ。本当のプリンセスがいるっ」


「……綺麗」



キャンディスの周りに同じ歳くらいの女の子たちが群がってくる。

シスターが女の子たちを追いかけてくる。

それと同時にミュリエルもキャンディスの元へ。



「ミュリエル……?」


「…………」



ミュリエルは何も言葉を発さないがキャンディスをじっと見つめている。

髪の隙間からはピンクパープルの瞳が見えた。


(アルチュールと同じ髪と瞳の色。だけどアルチュールよりもピンク寄りなのかしら)


他の女の子たちもミュリエルの行動に驚いているようだ。


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ラジヴィー公爵、いつのまに余裕に…?
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