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第71話 王家の最終奥義

「天汰! オレが後方から支援するから、お前とユージは近距離で戦ってくれ!」


「分かった! あとユージは知ってるかもだけど──」


「ギールベルクの身体に触れたらバグるってことだろ? オレらの元リーダーだから知ってるわ」



 たしかユージはハリケーンを抜けると言ってたな……それがパーティー名か。

 シェンの反応からしてそこまで有名なパーティーではなかったのだろうけど。



「ふむ……ルドベキアで問題を起こした挙句、パーティーを抜けるなど自分勝手じゃな」


「テメエこそ国滅ぼそうと躍起になってんじゃねえか。わりぃけどユージの何十倍自分勝手なジジイだぜ、テメエ」


「減らず口を叩く余裕はあるようじゃな」



 ギールベルクは片手で指を鳴らし、それに従うように壁や天井に張り付いていた寄生虫の群れが僕とユージ目掛けて襲い掛かってきた。



「払いのけるぞ!」


「くっ……この剣で防ぐしかねえ」



 僕は火炎を纏わせた剣を振りかざし寄生虫を切り刻んでいく。


 途中で寄生虫に触れた無機物はどうなるのか考えてみたが、さっきまで虫がへばりついてた壁が変色すらしていなかったので恐らくは大丈夫だろう。



「ぬっ……お主のその剣、テレイオス家の物ではないか……? 何故それを持っている……!」


「……僕が正式にテレイオスの者から譲り受けた」



 本当のことを伝えたらテレイオス家の面目丸潰れになってしまうからな。

 僕は嘘でもそれっぽく言ってやった。



「……天汰、だっけか」


「あとシェンとお前声似てて分かりづらいから話し方かえてくれねーか」


「ぐっ……なあ、()達で斬り続ければいつかはトドメをさせるだろ? ……なんでギールベルクを攻撃しないで距離を取ってるんだ? まさか……攻撃を受けないためじゃないだろうな!? 一発も食らわないなんて……はっきり言って厳しいぜ。それにこれは時間制限があるような戦いじゃないか」


「一理あるけど、僕はともかくユージは1発貰っただけでまたアマテラスと戦った時みたく落ちないか? あと、僕の場合は最初の一撃が肝心だからな……」



 剣を使ってカンストを狙うなら、攻撃することで付与される【猛撃】スキルを活用しないといけない。そうなると2撃目に繋ぐことが必須になる。

 仮に、いきなり仕掛けて失敗した際にはギールベルクにスキルのことを見抜かれる可能性がかなり高くなってしまう。


 だから、慎重に仕掛けないといけない、けれど……それじゃ僕の身体とシガヌィの身体は侵されていく一方だ。



「……ユージ。僕についてこれるか?」


「当たり前よ、リンドウにあの時は瞬殺されたけど、こっちは鍛え直してんだ」



 呼吸を整えユージの目を一度見て足に力を込め走り出した。



「うおおおおおおおおおおおおおおっ!」


「かかれ! あと一発でもくらってしまえばお主達を消し去れるのだ──」



 僕は剣を握っていない片方の手のひらをそっとギールベルクに向け、脳内で魔法を唱える。


 火炎球……と。


 小さな火の玉が男の首を目掛けて光速で飛びかかり、予想外の攻撃にギールベルクは僕の火炎球につい注視してしまったみたいだ。



「──うりゃああああ!」

「【レギナエ】ーッ!!」



 僕とユージの剣先がギロチンのようにギールベルクの首に触れる。これならギールベルクは避けようと思っても下がれないし前に進もうと思っても火炎球が邪魔をする。


 ──勝った。



「──甘かったのう、小僧」


「なッ──」



 僕らはギールベルクに刃を手で掴まれ、地面に叩き落とされた。



「ガッ!」


「チッ……かかってこいギールベルク!」


「こんな火の粉邪魔すらならんの……」



 一発200億の火炎球をもろともせずに体当たりでギールベルクは打ち消し、シェンに向かって走り出した。


 僕は咄嗟に4回剣をギールベルクの鎧に切りかかり、何とか【猛撃】スキルを発動したが、ギールベルクまでの距離は50m以上も離れている。


 立ち上がるまでの時間で間違いなく奴はシェンに到達してしまう。

 このカウントがリセットされる前に早く、あと一撃を。



「……死ねェ!」


「くっそ……」



 僕が立ち上がると同時にギールベルクはシェンの防御魔法を破壊し、シェンの胸ぐらを掴んで持ち上げる。


 腕を伝ってシェンの身体に寄生虫が何匹も侵食しているのが遠巻きにも視認出来た。


 やるなら今しかない。僕に足りていなかったのは遠距離からの攻撃手段だった。

 銃を用いて攻撃するのも無くはなかったが、持ち運ぶ武器が増えるのは切り替えに時間がかかるという理由でヘラルに却下されていた。



 代わりに、ヘラルからとある奥義の習得を僕は優先した。剣を使い遠距離に唯一お互いが知っている技をひたすらに練習し続けた。


 アマテラスとの戦いでヘラルとリチアが見せたあの技を僕はモノにしている。



「──天日・【極楽鳥花(ゴクラクチョウカ)】ァッ!」



 地面に魔法陣を描き灼熱の光が僕を包み、風をあたりに吹き荒らす。


 僕は右足左足を交互に一歩踏み込み、左足を軸にして時計回りに一回転し斬撃をギールベルクの背中に飛ばした。



「オレごとやれッ天汰!」


「これが僕達が作り上げた奥義だァーッ!」


「その程度の攻撃──ッッ!?」



 大きく羽ばたいた不死鳥が二人を包み込んで大爆発を起こす。


 爆風に紛れてキラキラと煌めく巨大な数字が目に照らされて見えた。



7()8()5()0()() ……クリティカル」

出来るだけ午前中に投稿できるように頑張る所存

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