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第19話 女神VS悪魔【side:へラル】

あらすじ

アレゼルを失った悲しみから天汰はジュマに戦闘を挑むが敗北し、ダンジョンに向かう際に女神の攻撃で腹を貫かれ死亡する。

「次にオレと戦う奴は誰だ?」



 目の前の変な奴がずっとイキり散らしていて気にはなったが、ワタシの障害にはならないので放置してみていた。


 どこに飛ばされても問題無いけど天汰と離れたら面倒だから気持ち近付いておくか。




「ん」



 へぇ〜転移にタイムラグが無いって想像よりも強いな? 敵ではないけど。



 しかも近くに誰もいないや……ってここ最深部だ。


 天井も超大きな鍾乳洞みたいな場所だな。



「──女神さーんどこにいますかー?」


「……」



 返答は無くても確実にいることは分かっているぞ。


 ……ワタシでも気配が辿れない。今回は歴代でもトップクラスかもしれないな、ちょっと警戒はしとこ。



「汝は何者か。我に察知させず懐まで這い寄ってくるとは興味深い」


「残念だけど油断してここまで来ちゃってるんでね。それとワタシはあなたが一番嫌ってる人物、当ててみ?」





 おっと、すくにキレちゃったねえ。


 でも死角から触手を伸ばした所でワタシには当てられないよ。


 ワタシは振り向きもせずに15本全てを回避した。


 女神様を視認するのは不可能ではあるが、彼女の苛つきは隠せていない。



「汝が人を騙るな痴れ者め」


「そうなったのはあなた達のせいでしょうが」


「汝が我々を語るな」


「あはは、おもしろーい」



 北北東から2本南西から5本西南から4本。そこか、女神は。



 触手を無視して女神の方へ浮遊魔法を使って加速し、飛び込む。


 同時にワタシは観測魔法を発動し女神にかかっている魔法を観てみると、何一つバフはかかっていない。


 つまり、これはワタシにとってチャンスだ。天汰や姫もいない状況で殺してしまったらこれまでの行為が茶番になってしまうが、まあしょうがないか。



「そろそろ姿を現しなよ、女神さん」


「我はアマテラス。汝を裁き世界に再び光をもたらさんとする」



 なるほど……触手だとてっきり勘違いしてたけど、あれ自体が光を操ってワタシに攻撃してたんだね。



 アマテラスは眩く光り、神々しい容姿をワタシに見せつけてる。



「アマテラス……神様って目立ちたがりなんだねー。【黒薔薇(クロバラ)】」



 余裕だね、黒薔薇で奴の体内に芽生えさせればどれだけ強かろうと耐え切れない。勝ったな。



「汝の術では我を倒すことはできない」


「あれ……あ、あなた心臓ないのね」



 しまった、黒薔薇は相手の心拍に合わせて活動するから無機物には効かないのと同じでアマテラスにも聞かないのか。学びになった。



 ってふざけられる状況じゃなくなった。アマテラスのステータス確認しよっと。



 ワタシを襲う光を回避しながら奴の体力を探る。



 あった、ステータス。体力は2000万で……防御力が210万。攻撃力は25万……こんなに女神って強かったっけ……?



 まずいな……白でも関わってるのか? もしそうならあまり今回は目立つのは辞めたほうがいいか。



「……でもこれはどうかな? 【黒百合(クロユリ)】っ!」



 黒薔薇の命名理由は綺麗に黒く染まった薔薇が生まれたから。


 黒百合の命名理由は、ワタシの背後から具現化した影の手が黒百合にそっくりでカッコイイからだ。



 ──なんて自分語りを出来るくらいにはこれは強い。



「くらえ」



 闇がアマテラスと帯同する光を丸ごと飲み込み握り潰す。



 1500万ダメージ……残り体力500万。トドメこそ刺せなかったが、次の一撃で落とす。



「フフフ……」



 珍妙な声でアマテラスが笑い出した。もーそんなんだから人間から恐れられちゃうんだよなーおバカちゃん。



「光が屈するとでも?」


「……リジェネ持ちか」



 リジェネは一定間隔で継続して体力を回復し続けることなんだけど、そんなものまで女神が覚えてるなんて、やっぱりおかしいよ!



 ステータスをチラ見すると、たしかに体力は全回復していた。



 そうなるとリジェネの回復量も相当高いな。



「【陽光】」



 今度はアマテラスが初めて詠唱を始めた。一体どんな技だろう。



 周囲に気を張り巡らせ、何が起こるか予測する。


 ここは間違いなく、天汰も誰も踏み入れていない空洞の中だ。


 光を自分の手足みたいに扱って戦えるなら、かなり応用が効きそうだなー。





 それにしても陽光というネーミング……いいな。



「我はアマテラス。太陽神である我は太陽そのものと同義だ」



 同義じゃないし。てか何するか分かった……



「自爆はずるいよー!」



 近くに天汰がいる──まずい、天汰の気の近くにさっきのイキリ男を感じるぞ。


 しかも天汰は怪我してるみたいだし、そっちに戻った方がいいのか?


 そんなことしたらコイツはワタシに着いてくるかな。



 あーとりあえずここが空洞内なら入口から抜け出せば自爆をよけられるか。



 ワタシは迫り来る光に背を向けて一目散に空洞から脱出を図った。



「……エルフが死んだ」



 困ったな。天汰の目の前でアレゼルの気が消滅した。


 くっそ女神どころじゃ……。




「ああっ!!」


「フフ堕ちた者よ」



 油断した。右足を光に貫かれて、一時的に浮遊魔法が解除されてしまい地面に落下してしまった。


 陽光が迫ってきてるっていうのに……!



「これしか……ないか。【黒百合】!」



 2度目の黒百合を詠唱し、陽光から身を守ることに切り替える。



 女神との距離だって目視はお互いに出来なくなるまでは離れられた。


 陽光とか言ってるが、こういうのは解釈次第でどうとでもなるんだよ。



 黒薔薇は心拍と連動するから無機物には効かない、そう思い込んでいたけど捉え方を変えれば発動するはずだ。




「自然はなぁ生きてるんだよ! こんな木も草も生えない場所だとしてもね!」


「【黒薔薇】ぁっ!」



 ダンジョン内のあらゆる場所に黒薔薇を作り出し、陽光よりも速く伸ばす。



 上手くいったみたいで、あっという間に空洞を覆い尽くし空洞封鎖に成功。



「くるッ」



 陽光と名付けるだけあって、その衝撃は体験したことがないレベルだ。


 圧で押し切られかけるがこの数の黒薔薇を耐えきれるわけ無いでしょうが!



「……危なー」



 意外とギリギリだった。


 黒薔薇も不完全で隙間から漏れた光がワタシを襲ったが、黒百合の殻で身を守りきれた。



「忌々しき存在……我が裁いてやらねば」


「そーいうのが人に嫌われるんだって!」



 ……あ、待って待って嘘だ嘘だ。


 天汰が、死んだ。じんわりとその現実がワタシの身体を冷たく包んでいく。



 天汰が死んだらワタシ戦う意味ないじゃん。どうしよ。



 いやまだ生きてるかも……目で見なきゃまだ、分からないし。



「……」



「フハハハッ汝の仲間だったか? それはすまない、余りにも弱く不用心だったんで2人、殺めてしまった」



 ……なんか、癪に触るなあ。な〜んか今までで一番腹が立ったかも。



「神だからって驕りすぎじゃない? 所詮偶像なのに」


「……悪魔風情が何を語る」


「ははっ、怒らせた?」



 姫〜早く来てくれ〜ワタシとこいつ相性が悪過ぎるよ〜。



「裁いてみせよう」


「裁き返してあげる!」



 だれか、ワタシの代わりに強い奴早く来てくれ〜!!

次回の視点は元に戻ります。


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