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閑話 王国にて

「フィーン公爵、このところどうだ?」

「とても快適です。例の貴族達の力を削ぐこともできましたし、()()がいなくなってからいいことばかりです」

「そうか」


 ここはヘルディール王国の王城のある一室。書類が山積みになった大きな机と、高価な、それこそ値段のつけようがない装飾品が大量に飾られているところから見るに、国王の執務室だろうか。


 そこで、2人の男が顔を突き合わせている。ティアフレアに冷たく接した男……そう、父親のアルベルト・ローズ・フィーン公爵と、この国の王であるダルフォン・ド・ヘルディール国王だ。


 どちらも気分が良いのか、顔をニンマリとさせている。


「お主が国政を退いている間なかなか大変だったのだぞ。復帰するのだ、余を助けてくれるのだろうな?」

「もちろんでございます」

「よろしい」


(あれのせいで私は15年もの間、日陰者にならざるを得なかった。だが、これでやっと、私は表舞台に戻れるんだ)


 ティアフレアが生まれたことで、アルベルトは「忌み子を生んだ貴族」として陰口を叩かれ、倦厭されてきた。だが、もう忌み子であるティアフレアはいない。心置き無く自分を日陰者に追いやった貴族たちに報復を果たし、宰相として復帰することが決まっていた。


(今まで、妻の願いであやつを家に置いていたが、もう15歳。ここまで育てれば十分だろう)


 無視や、暴言など、アルベルトのティアフレアの扱いは、娘に対してではなく、また、忌子を忌避するものでもなかった。多くの者は忌み子を嫌悪し、できる限り近づかないようにするのに対し、アルベルトはティアに対して、ただ無関心と己の不満をぶつけたからだ。


(この私を日陰者にしたんだ。せいぜい帝国で苦しめばいい)


 そう、それは、自分を日陰者に追いやった相手に対するあてつけに他ならなかった。アルベルトにとってティアフレアは人ではなく物だったのだ。


「帝国は今頃どうなっているのだろうな」

「きっと、混乱していることでしょう。散々この国を苦しめたのですから、せめてあれが役に立っていることを願うばかりですね」

「そうだな」


 2人にはある計画があった。人の道から外れた行為を躊躇なく行う2人の目には狂気がちらついている。


「あれが生まれたのは、もしかしたらこのためだったのかもしれませんね」

「ほぉ、天が我に味方したか」


 ダルフォンが醜悪とも言える笑みを浮かべる。


「なら、この機会を逃すわけにはいかぬな」


 2人は自分たちに訪れるであろう幸運を疑っていなかった。


 だが2人は知らない。

 自分たちが忌み子だと思っていたティアフレアの本当の力を。



 読んでくださりありがとうございました!

 これにてプロローグは終了です。すぐに1章に入りますのでお楽しみに!

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