本編コミカライズ記念 小話
「で、今日こそちゃんとプロポーズしたんですかね旦那」
神殿から出て来たマルクに馬車で待っていたジャミルが笑って尋ねた。
毎朝、まめに通うマルクをジャミルが護衛もかねて気が向いたときにジャミルが馬車で送っていたのだが、今日は迎えに呼ぶのがいつもより遅かったため、ジャミルが尋ねる。
いつもなら「何をふざけた事を、仕事をしてください」と返されるのだが……
「はい、しました」と、マルクが真顔で答える。
「へー……」
やっぱできなかったんですか?といつもの癖で言おうとし、予想外の答えにジャミルが固まる。
「ってしたんですか旦那!?」と、聞いた本人のジャミルが思わず問い返した。
「はい、しました」
「で、結果はどうだったんです?」
ニマニマした顔でジャミルが聞く。
どう見てもお互い気があるのに、なかなかくっつかなかったがやっと覚悟を決めたかとジャミルはにんまりして聞くと
「振られました」
と、マルクの答えは予想外の答えだった。
「……え?」
「全力で断ると」
「あー……そりゃまた……あいつらしいって言えばあいつらしいって言うか」
ジャミルは困ったようにポリポリと頭をかいた。
ジャミルの予想ではお互い気があるような気もしたのだが……結婚となると色々違ってはくるのだろう。気の合う仲間であってもやはり結婚となると女は急に現実的になると聞く。やはり世界の違いは埋めがたい壁があるのかとジャミルは納得することにした。
「まぁ、旦那みたいな金持ちなら結婚相手なんてその気になればすぐ見つかりますよ」
「はい、見つかりました」
「はぁっ!?なんでです!? まさか振られた腹いせにそこらにいた女性でも口説いたんですか!?」
「……そんな不誠実な事をするわけがないでしょう。
ハルナが結婚をしてくれるそうです」
「……は?で、でも今断られたって言ってませんでした?」
「はい」
「で、結婚?」
「はい」
「……ちょっと言ってる意味が分からないんですけど」
「ええ、正直私もまだよくわかりません」
そう言って顔を手で抑え、マルクは顔を耳まで赤くする。
その様子に、ジャミルはぽかんとした後
「旦那、意外と可愛いところがあるんですね」
と、ジャミルが言うと
「……放っておいてください」マルクは顔を隠すように、そそくさと馬車に入って行こうとして、段差でつまずいて、慌てて乗り込んでいた。
マルクらしくない慌て具合に、ジャミルは(へぇ、あの旦那がねぇ)とニマニマしながらその様子を見て笑いを抑える。
にしても、振られたのに結婚をする……意味はよくわからないがとりあえずうまくいったらしい。
(あの旦那が恋愛事にはここまで疎いとはねぇ)
ジャミルは心の中で呟いて、「ま、何にせよめでたいことで」と笑って手綱を握る。あとでどうやって二人をからかおうとにやつきながら。
◆◆宣伝です◆◆
この度このお話の本編「偽聖女と虐げられた公爵令嬢は二度目の人生は復讐に生きる」がコミカライズしていただけました!作画はまぶた単先生!皆々様のおかげです本当にありがとうございました!
秋田書店様 どこでもヤングチャンピオン で連載中です!!
そして現在Booklive様(https://booklive.jp/)にて
偽聖女と虐げられた公爵令嬢は二度目の人生は復讐に生きる(話売り) #1
2022年3月21日まで1話無料キャンペーンやっておりますー!
3月21日までコミカライズ1話が無料で読めますのでぜひぜひ まぶた単先生によるステキコミカライズをご覧いただけると嬉しいですー!
またどこでもヤングチャンピオン様 3月号様(https://www.akitashoten.co.jp/dyc)にて2話も配信中ですー!!
2話サンプル画像となります!
ぜひぜひご覧いただけると嬉しいですー!!!
また作者別作品
【悪役令嬢ですが死亡フラグ回避のために聖女になって権力を行使しようと思います】も3月4日電子コミック3巻発売予定です!そちらも併せて何卒よろしくお願いいたします!!
詳しくは下の書影から飛んでいただけると幸いです!!!











