後日談(2)
この人の笑顔は仮面。
にっこりと笑って真実を隠すための。
後ろから抱きつかれ、振り返れば背中に顔を埋められる。
「意外と甘えん坊さんですよね?」
「そうでしょうか?距離感がわかりません。迷惑でしたか?」
「好きな人に抱きつかれて嫌な人はいませんよ?」
言えばとても嬉しそうに微笑んで頬にキスをしてくれる。
だから私も彼のぴりっと決まったオールバックの髪をクシャクシャにしてみせた。
「……ハルナ」
「だってこっちの方がカッコイイし。今日はもう仕事終わりでしょう?」
「……そうですね」
言って困ったようにため息をつく彼に私はキスを落とした。
未だどこまで甘えていいものか、距離感を計りかねている彼が可愛くて。
なかなか毎日が楽しかったりする。
「鬼畜だからもっとグイグイくるものかと思ってました」
と、言えば
「だから、貴方もジャミルも私への評価がおかしいのですが。
人をどういう人物像で見ているのでしょうか」
と、不貞腐れる。
「笑顔腹黒鬼畜!」
「………お望みならばそのように演じてもよろしいのですが?」
言って顔をぐいっとされて、近づけられる。
「あ、それは困るかも」
「焚きつけたのは貴方ですよ?」
言って鬼畜な笑を浮かべた。
……やばい。鬼畜モードだ。
この人は焚きつけるのはまずい。
鬼畜仮面笑顔が発動している。
「えーっと。申し訳ありませんでした」
「今更遅いです」
言って微笑む顔は、どこからどう見ても鬼畜なのだった。











