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2話 交渉カード

 まず、私が一番最初にしないといけない事は――


 リンゼ以外にこの館に潜む暗殺ギルド員を見つける事だ。

 リンゼは元々裕福な商家の娘だった。


 だがリシェルの母の家との取引で不正をしていたのがばれ、一族郎党裁かれる。

 そのせいでリンゼはリシェルの母および実家に恨みをもっていた。


 親は殺され貧しくなったため親戚の家を転々とするが、貧しさに耐え切れず身体を売ろうとし――暗殺者ギルドに売り払われてしまう。10歳~15歳まで暗殺者ギルドで厳しい特訓をうける。

 そして15歳の時。貴族の作法をおしえこまれリシェルの母親の家にメイドとして潜伏した。

 

 まずリシェルの母に薬を飲ませていたのはリンゼより先に潜伏していた暗殺者ギルドの女性だった。

 その女性に毒の知識・料理の知識を徹底的に叩き込まれリンゼは毒や料理などに異様に詳しい。


 リシェルの母やリシェルが飲まされていたのは、食べ物とお茶を同時に摂取すると作用するという特殊な毒だ。

 そのため毒を鑑定するスキルのようなものがある世界なのに、誰にも毒と気づかれず飲ませることができた。

 ただ、食べ合わせという手の込んだもののため薬が作用するにはそれこそ年単位で食べさせ続けなければいけない物凄く手の込んだ毒なのである。


 そして――リシェルの母とともに国王暗殺の暗殺者にそのメイドも殺されてしまい、リンゼが毒を飲ませる番となったのだ。

 リンゼが暗殺者ギルドから降った命令がグエンとリシェルに毒を飲ませろだった。


 何故そんなことをするのか。

 小説の物語を読んでいるから思い当たるのは――暗殺者ギルドはリシェルの聖女の力を封じる為に飲ませている。

 現に作中ではこの薬のせいで聖女の力が使えず、理不尽な目にあっているのだ。

 これが一番可能性が高い。


 リシェル母へ薬を仕込んだのは前任の暗殺者ギルドのメイドなので詳しくはわからないが恐らく子供を妊娠してから。


 この世界の貴族は結婚してからも子供を妊娠すると安静にするため実家に帰る。

 産後の2~3年は実家ですごすのだ。


 リシェル母はそこから薬を飲まされた可能性が高い。

 

 聖女がグエンの家から出るのを危惧した連中が予言かなにかでリシェルが聖女なのを知り、それを防ぐためお茶を飲ませた。

 そして、他者のスキルを奪い取る異世界人を召喚し、その者に聖女の力を使わせて、聖女をリシェル以外にしようとした。

 だから聖女でないと判明したあともリシェルの理不尽な監禁生活は続いたのだろう。

 マリアが聖女の力を摂取するためにリシェルを監禁していた。そうすればすべて説明がつく。


 そう黒幕はただ一人しかいない。


 異世界人マリアを召喚し偽聖女にしたてあげたマリアの実家!!!


 マリアの正式名称さえわかれば犯人など一発で分かる!


 問題は……


 マリアの正式名称なんて憶えていないということだ。


 数あるweb小説のしかも素人の書いた小説で、ざまぁされるだけに生み出された雑魚キャラの正式名称なんて憶えているわけがねぇぇぇぇぇ!!!


 く!?


 もう少し読み込んでおくべきだった。

 名前さえ覚えていれば犯人一発でわかったのに。


 とにかく。

 リンゼに渡される薬は、屋敷の中にあるリンゼの部屋においてある魔道具の隠し金庫の中にあり、いつの間にか補充されている。

 少なくともリンゼの他にも屋敷の中に自由に出入りできる暗殺者ギルド員がいるはずだ。

 しかも使用人であるリンゼの行動を把握していないと気づかれず補充はできない。


 かなり内部にいると思った方がいい。


 私の第一の目標はその内部にいるギルド員をまずあぶりだすこと。


 でなければグエンに密告しても、グエンがそのギルド員に暗殺者がいるかもしれない調べろと指示を出してしまったら私の命がやばい。

 マジやばい。こっそりひっそり殺される。


 そもそも、何の取引の交渉材料もなしにグエンに真実を告げるのもかなり危険な賭けだ。

 お前のせいで妻は死んだのかー!!とその場でグエンに殺されてしまう恐れだってある。


 私毒飲ませてましたーでも誰が犯人か皆目見当もつきませんーでも助けてーなどと言えるわけがない。


 まずは交渉のカードを手に入れないと。


 私はその方法に見当をつけていた。

 無駄にweb小説を読み漁っていたわけではない。


 そうweb小説の推理ものでよくあるチート方法がある!


 絶対犯人を暴いてみせる!!じっちゃんの名にかけて!!!



 ……。おじいちゃん両方普通の一般市民だけれど。

 そこはまぁ雰囲気で。

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