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創作世界  作者: 金日
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004 黒い影

バッ(電柱の陰から黒い人影が飛び出す)


(人影が三人の前に立ちはだかる)




影「ガハハハハハ!!…ハア、待ちかねたぞ!!」


影「俺様の名は、"黒い影"!!この電柱の陰で、ただひたすら貴様らを待っていた!!」


影「今日こそは、貴様らが持つその強大な力を、奪い取ってみせるぜ!!」


影「覚悟するんだな、ガハハハハハ!!」




シン(辺りに静寂が訪れる)




影「…あれ?」




(ニーとカイが半目で影を見ている)




ニー「…うわ、出た」


カイ「出たね」


影「……」


ニー「折角いい雰囲気だったのに…。空気を読むって言葉、親御さんに教わらなかったのかな」


カイ「教養がないよね」


影「……」


ニー「それに貴方、電柱の陰に隠れて、ずっと待ち伏せてたの?」


カイ「変態ストーカーだよね」


影「……」


ブロロロ(ニーたちの横を乗用車が通り過ぎる)




影「…が、ガハハハハハ!!お、俺様は貴様らを待っていた!!」


カイ「何かダメージ受けてない?」


影「空気だのストーカーだの、それが何だと言うんだ!!」


影「俺が求めるものは、貴様らの持つ力!!そう!!」




影「"リング"だけだ!!」


ビシ(影がカイたちの手元を指差す)




影「リングを手にすることが叶えば、貴様らが扱いし異能を、今こそこの身に宿すことができる!!」


影「そしてその力を行使し、俺様は、この世界の支配者となるのだ!!」


影「ガハ!!ガハハハハ




バシャ




影「ハ…」




ポタポタ(影が全身水浸しになっている)


影「……」




キイイイ(ニーが右手を影に向け突き出している)


キイイイ(右手指に嵌められた指輪が光っている)




影「今の力…」


影「貴様の、その手に付けられた指輪…」




影「"リング"…」




ス(ニーが右手を下ろす)


ニー「…いい加減にしてください」


ニー「もうこれ以上、私たちの邪魔をしないで下さい」


影「……」


ニー「だって、私たち、」




ニー「これから、買い物に行かなきゃいけないんですから」




影「……」


(ニーが自身の指を折りはじめる)


ニー「今晩の分と、明日の分。それから、不足して来た洗剤とか、トイレットペーパーとか」


ニー「他にも帰ったら、干してある洗濯物を畳み込んだり、料理とか食器洗いとかお風呂掃除とか布団敷きとか」


ニー「とにかく、やらなきゃならないことが、沢山あるんです」


カイ「ねー」


影「……」


ニー「貴方が世界を支配したいとか、そう思うのは勝手ですけど、」


ニー「そのために、私たちの生活サイクルを乱すのはやめてください」


ニー「正直そういうのはもう、三年前の件で懲り懲りしてますし」


ニー「チースも今日は寝てしまっているので、ご足労いただき大変申し訳ありませんが、どうかお引き取り願えませ




影「うおおおおお!!」




ゴゴゴゴゴ(影が身を震わせながら吠える)




影「今、今の水!!その力、この力こそまさしく、リングの力あああああ!!」


影「今こそ、今こそその異能を俺様の手にいいいいい!!」


ゴゴゴゴゴ




ニー「あれ、駄目だ…。牽制のつもりだったのに、まるで効いてない…」


カイ「寧ろ鼓舞してない?リングを見せちゃった所為で」


影「リングの力、俺様に寄越せえええええ!!」




チース「そうはさせるか!!」


バッ(チースがニーの背から顔を出す)


カイ「うわ、起きた」


ニー「面倒臭くなる…」


チース「この指輪は、悪党共の手に渡らねぇようにっつって、ダチがオレに託した大事なモンなんだ!!」


チース「それを見ず知らずの、しかも世界征服のために利用しようと企んでるヤツなんかに、渡して堪るかってんだ!!」


ズイ(チースが身を乗り出す)


ニー「ぐえ…。じゅ、重心が前に


チース「影!!今日こそてめぇの野望を、この場で磨り潰してやるぜ!!」


ビシ(チースが黒い影を指差す)


影「ガハハハハハ!!いいだろう、ぶっ転がしてやる!!」




ス(影が懐から棒状の武器を取り出す)




影「行くぞおおおおお!!」


ダッ(影がチースに向かって走り出す)


チース「うぉおおおおお!!」


ス(チースが影と同様武器を取り出し構える)




ビュン(両者の武器が振り下ろされる)




ーーーーーーーーーー




チース「そこでヤツに決まる、このオレの"アッパーチースカット"!!ヤツはオレの美麗な技の数々に恐れを為し、尻尾を巻いて逃げていったんだぜ!」


バイキングヘルムを被った少年「さ、流石、チース…」


チース「そうだろそうだろ!!もっと褒めてもいいんだぜ、コウタ!!」


フンス(チースが鼻を鳴らす)


パーティ帽を被った少女「…けどよ、それってマジな話なのか?」


パーティ帽を被った少女「お前が武器を持って戦うだなんて暴挙、あのニーが黙って見てたとは思えねえが…」


カイ「あ、それは大丈夫だよ、サヨリ」




カイ「チースと影が持ってたのって、新聞紙ソードだったから」




少女サヨリ「…は?」


少年コウタ「し、新聞紙ソード…?」


カイ「そう。その名の通り、新聞紙製の剣だよ、棒状にクルクルって丸めただけの」


コウタ「こ、子どもが、チャンバラで使うような…?」


カイ「そうそう」


サヨリ「なるほどな…。それなら、ニーの叱責も飛ばねえのか、考えたな」


サヨリ「つうかよくよく考えりゃ、そもそもお前らん所の影が、マジでお前らを殺りに来るはずもねえよな…」


カイ「うん。それでね、チースと影がチャンバラ


チース「正義の戦いだ!!」


カイ「…正義の戦いをしていたと思ったら、いきなりチースが影の顎にアッパーを噛ましたんだよ」


サヨリ「正義の欠片もねえ…」


チース「何言ってんだ、勝った方が正義なんだよ!!ガハハハハハ!!」


コウタ「さ、流石、チース…」


カイ「コウタはチースの真似しちゃダメだからね。はい、スターフルーツの型じゃないやつあげる」


カチャカチャ(カイがコウタの皿にスターフルーツを移す)


カイ「因みに影が帰った理由は、単に夕方のチャイムが鳴ったからっていう


チース「そんなことねぇぞカイ!!ヤツはオレの美技に酔って逃げ帰ったんだぜ、なぁタケシ!!」


棘頭の少年タケシ「いえす!!チースの戦士力は世界一いいい!!」


チース「おう、世界一ぃいいいいい!!」


ビシ(チースとタケシが人差し指を天に突き上げる)


ツバ帽を被った少年「世界一なのはいいが、ファミレスで騒ぐのはやめような」


ツバ帽を被った少年「特にチース。テーブルの上に登るんじゃない」


チース「安心しろサトシ!!これはただのテーブルじゃねぇ、タケシ持参の折り畳み式テーブルだ!!」


タケシ「こんなこともあろうかと、用意しておきましたあああ!!」


チース「それにこの団体部屋だって、防音防振防水防火完備!!どんなに騒いだって、外に音が漏れ出る心配はないんだぜ!!」


タケシ「俺たちのために設けられたお部屋あああ!!」


少年サトシ「そうじゃなくて、俺が言いたいのはだな…」


サトシ「…あー、いかん、まだこっちの話が終わっていないんだ…。すまないがサヨリ、カイ、後を頼めるか?」


サヨリ「おう、任せろ」


カイ「ラジャー」


カチャカチャ(カイがコウタの皿にスターフルーツをよそっている)




サトシ「中断してすまなかった、ニー。それで、どこまで話したんだったか…」


ニー「確か、またいつもみたいに、私たちの所に黒い影が現れたっていう報告までかな」


ニット帽を被った少女「びえええ!!怪我がなくて何よりだよニーいいい!!」


ギュッ(少女がニーに抱き着く)


ニー「心配してくれてありがとう、ヒカリ」


ヨシヨシ(ニーが少女ヒカリの頭を撫でる)


サトシ「いつもみたいに、か」


ニー「うん。相変わらず、」


ニー「チースの遊び相手になってくれる、友好的な影だったよ」


サトシ「…そうか」


(サトシが手元のノートを見つめる)




サトシ「…今より一ヶ月ほど前から、この街に、黒い人型の生命体が出没し始めた」


サトシ「彼らは自らを"黒い影"と呼称し、俺たち八人、」


サトシ「チース、ニー、カイ、サヨリ、コウタ、ヒカリ、タケシ、サトシの元へと接近」


サトシ「そしてある目的を持って、今もなお接触を続けている」


サトシ「黒い影の目的とは、単純にして明快、」




サトシ「俺たちから、このリングを奪取すること、それだけだ」




(サトシたち八人の手に指輪が嵌められている)




ニー「リング…。装着した人に特別な力を与える、不思議な指輪」


ニー「リングを身に付けることで、装着者は例えば、任意で何もない場所から水を出したり、電気を発生させたりすることができる」


ニー「そんな魔法のアイテムを、私たちは三年前、中学二年の時、」


ニー「この世界とは異なる世界、"鏡の世界"で受け取った」




(ニーが自身のリングを指でなぞる)


ニー「あの時は大変だったよね…。学校の帰りに、道端で倒れている人たちを見つけて介抱したら、その人たちが突然、"我々は異世界人だ"とか言いはじめて…」


ニー「わけが分からなくて首を傾げていたら、直後街中の鏡という鏡から、"デスの手下"とかいう黒い物体が現れて、前触れもなく街の人たちを襲いはじめ…」


ピタ(ニーのリングを摩る手が止まる)


ニー「…そう言えばデスの手下も、黒い影と同じ、全身真っ黒な人型だったっけ…」




サトシ「そして俺たちは、街の危機を脱するべく、介抱によって力を取り戻した八人の異世界人、」


サトシ「"鏡の世界の番人"らの力を借りて、鏡の世界へとジャンプ。そこに住む悪の親玉"デス"を封印し、二つの世界へ平和を齎した」


ヒカリ「んでんで、平和になった記念に、デスを封印する際に使ったリングを、番人のリーダー、マスターから貰ったんだよねー!」


ヒカリ「今になって思い返してみると、あの時のあたしらって、まるで英雄みたいだったなー…」


ポケエ(ヒカリが上を向き涎を垂らす)


ニー「流石にそれはないよ…。どっちかというと、ただ周りの人に持ち上げられていただけの一般人、って枠組が正しいんじゃないかな」


サトシ「そうだな。創造主や番人らの助けがなければ、俺たちは騒動に慌てふためくだけの存在に過ぎなかっただろう」


ヒカリ「えー、そんなことないよ!二人とも自己評価低ーい!」


ヒカリ「マスターたちもあの時、"デスを封印できたのは、君たちのリング適性が高かったからだ…"とか言ってたじゃん!」


ニー「そう、だっけ…?」


ヒカリ「だよだよ!ヒカリちゃん記憶力はいいからねー!」


ドン(ヒカリが胸を張る)


サトシ「その癖、学校の試験は赤点塗れだがな」


ヒカリ「う!!それは言わないお約束…」


ショボ(ヒカリが縮こまる)


サトシ「…まあ兎にも角にも、そういった過程を経て、俺たちはこのリングを身に付けているわけだ」


サトシ「リングの力は、扱い方次第では便利な道具にも、凶悪な武具にもなり得る」


サトシ「だからこそ装着者には、相応の義務とも呼べる責務が発生する」




サトシ「即ち、リングを決して悪用しない、させないということ」




ニー「そうだね。少なくとも、"リングの力で世界を征服する"なんて発言をする人たちに、リングの力を明け渡しちゃいけない」


ニー「私たちはマスターたちから、このリングを託されたんだから」


サトシ「ああ」


(サトシが再度手元のノートを見る)


サトシ「…黒い影が現れて以降、俺たちは、俺たち八人の中の誰かが影と遭遇した場合、その後安全が確保でき次第一箇所へと召集をかけ、遭遇時の状況を報告するようにしている」


サトシ「少しでも互いの情報を共有し、リング悪用の危険性を減らすために」


サトシ「この世界を、守るためにも…」


フ(サトシが顔を上げる)




サトシ「…そういった目的の集会なんだがこれは聞いてんのかお前ら!?」




タケシ「見よ!!この安全性と静粛性を兼ね備えた遊び、正座しながらジャンピングを!!」


チース「ずりぃぞタケシ!!コツを教えやがれ!!」


ビョンビョン(タケシとチースがソファの上で飛び跳ねている)


コウタ「お、美味しい…、美味しい…」


モグモグ(コウタがスターフルーツを頬張っている)


カイ「……」


カチャカチャ(カイがコウタの皿にスターフルーツをよそっている)


サヨリ「……」


(サヨリが燃え尽きている)


サトシ「…その取り分けはいつになったら終わるんだ、カイ」


カイ「大丈夫大丈夫、あと半分位で終わるから」


カチャカチャ(コウタぼ皿の上に山盛りのスターフルーツが鎮座している)


サトシ「頼むからお前までボケに回らないでくれ。収拾が付かなくなる…」


ビョンビョンモグモグカチャカチャ




ヒカリ「ここが、創造主管轄のファミレスで良かったね!じゃなきゃ出禁食らってるところだよ!」


ニー「出禁以前の問題じゃないかな…」

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