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創作世界  作者: 金日
2/39

001 始まり

むかし、むかし、とある町に、八人の子供がいました


ある日、八人は道ばたで、自たちそっくりの子供たちがケガをしているのをみつけました

子供たちは、八人の手厚い看護で、みるみる良くなっていきました


しかし、突然、邪悪な怪物が町に攻めてきたのです


町はたちまち怪物に飲み込まれました


と、その時、八人の目の前で、子供たちが不思議な光を放ちました


子供たちは、この世界と隣りあった異世界、"鏡の世界"の住人だったのです


子供たちは、八人の元へ、闇を倒す力を持ってきてくれました


それは、『せんしのあかし』という指輪だったのです


闇を倒し、町には平和が戻りました


それからというもの、指輪があるこの町に、鏡の世界の住人たちは、しばしば立ち寄るようになりました


この町が、邪悪な怪物におそわれることは、その後、二度とありませんでした




ーーーーーーーーーー




ーーーおい


ーーーってるの!


ーーーはは




声が聞こえる。

それは、誰のものだったのか。

声の主は、どんな姿形をしていたのか。

今でも、鮮明に思い起こすことができる。




ーーーとう




彼らの笑顔、彼らの困惑顔、彼らの怒り顔、彼らの泣き顔。

彼らが浮かべていた表情は、その多くが、あまり好ましいものではなかった気がする。

彼らは呆れたような苦笑と、仕方がないという諦念の溜息を伴いながら、けれどいつも、手を差し伸べてくれた。

あの日々は、みんなにとっての、いつもの光景で、日常で、そして退屈の存在しない栄光の日々だったと、今でも思っているし、そう信じている。




ーーーだったよ




けれど、そんな彼らは、今はもう、誰の心にも残ってはいないんだ。

例えば彼が、いつもどんな馬鹿騒ぎをして、周囲を引っ掻き回していたのか。

例えば彼女が、どんなことに喜びを感じ、怒りを覚えていたのか。

家族や友人、卒業式のアルバム、みんなで撮った集合写真。

あの記憶以外のどこにも、彼らの生きた証は存在しない。




ーーーからもう


ピピピ




どうしてこうなってしまったのか。

どうすればこうならなかったのか。

あの時、あの場所で、確かにその慟哭を口にし、嘆き続ける者がいた。

止め処なく溢れる体液が、抱き寄せた亡骸を汚すのも厭わずに。




ーーーつまでも


ピピピ




そう、彼らは、生きていた。

確かに生きていたんだ。

聞こえてくる断末魔や、触れていた肌が、急速に冷えていく感触。

この海馬は、それを疑いようもなく覚えているというのに。

彼らの生き様も、死に様も、何もかも。




なのに、どうして、




ーーーつまでも




ピピピピピ




バサッ(ベッドの布団が捲れ上がる)


(誰かが上半身を起こす)




???「……」




ピピピ(薄暗い部屋にカーテンが閉められている)


ピピピ(僅かに開いたカーテンの隙間から陽の光が射し込んでいる)


ピピピ(カーテンの側に置かれた写真立てが光に照らされている)




ピピピピピ(写真立てに複数の人影が写り込んだ写真が飾られている)




ピッ




(誰かが写真立て横の電子時計に手を乗せる)


(電子時計から発せられていたアラーム音が止まる)




(部屋に静寂が訪れる)




???「……」


(誰かが時計横の写真立てを眺めている)




???「…まただ」


???「また、あの…」




トントントン




???「……」




(誰かが電子時計から手を退ける)


バサ(誰かが布団を被り直す)


トントントン


トントントントントン




???「…もう、」




???「戻れない」

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