005 異常な二人
ブランを紐で背中に縛り、カオルをお姫様抱っこをして獣道を街道へ戻っている。
街道の近くに隠した荷馬車にブランとカオルを寝かせて、周囲の木の葉などで目立たないようにした。
ゴブリンメイジのファイヤーの魔法が当たった際に服が燃えてしまって裸だったので、荷馬車にあった予備の服を着た。
周囲の安全確認をしようとするとインディから話しかけられる。
【センサーを最大限に拡大して調べましたが、1km範囲で怪しい生命反応はありません】
そんな機能もあるのか?
インディが起動したおかげで、この素体の機能を使いきれていなかった部分が使用可能になって楽かもしれない。
再び、洞窟へ向かう。
先程の椅子に座ったゴブリンの後ろにあった通路を探索すると、奥が広くなって悪臭が漂う。
これは凄い匂いだ。人間に偽装しているので吐き気を覚える。
【嗅覚の機能を一時的にカットしますか?】
是非してくれ。
広くなっている所を見ると、多くの肉があった。
ゴブリンの食料庫のようだ。
なんの肉か想像出来てしまったので、すぐの道が二股の分岐になっている場所まで戻った。
【肉の形状と量から見て20人から30人前後だと予測できます】
あまり聞きたくない情報だった。
分岐の足跡があった方へ進んでいく。
途中に2匹のゴブリンに出会ったが、私を見た途端に逃げ出すがすぐに追いついて蹴り飛ばし倒していく。
また広い場所に出ると、鎖に繋がれた女性が2人と子供らしきゴブリンが10匹と1匹の杖を持ったゴブリンがいた。
これで全部なのか?
【この洞窟内で生命反応は、目の前の対象のみになります。鎖に繋がれている女性は二人とも死んでいます】
壮絶なお話だな。誰も救助できなかったか。
この世界の魔物と人間との関係を甘く見ていたのかもしれない。
≪ロード様まで殺された。許さぬ。ファイア≫
杖を持ったゴブリンから火の玉が飛んできた。
また服を焼くわけにはいかないので、回避して蹴り殺す。
あとは、子供らしき小柄なゴブリン達だが、10匹が身を寄せて奥に逃げている。
そのまま見逃せば、同じことを繰り返すだろう。
殺すしかないかな。
ゆっくり接近して殺そうとすると、全身に痛みが走る。
何故だ?
【この場所が自治区外地域と判断されて、宇宙法が適応されます。宇宙法に存在する動物愛護法に縛られているようです。愛護動物の殺傷と愛護動物の虐待・遺棄および無登録で第一種動物取扱業を営んだ者が処罰対象になります】
え! 魔物が動物? 確かに動物と言えば動物なのか? しかも、この子の親たちは全て殺したが?
【それは獣害排除の権利で、生命に危険を及ぼすレベルの動物は、駆除や殺処分が可能です】
インディのおかげで、苦痛の原因や回避方法がわかりやすくなったな。
成長したゴブリンは、獣害認定なんだな。監視システムの頭が超硬い事が分かった。
目の前の小柄なゴブリンが大きくなっら殺していいけど今はダメってことか!
むちゃくちゃだな!
どうすれば良いんだ?
【適切な対処は、このゴブリンを洞窟外へ送り出し洞窟を破壊する方法と宇宙法に縛られないカオルとブランに対応を委託する事なのですが……ば、馬鹿な……わたしも痛みが……カオルとブランに委託した場合は対象が殺される可能性が高いので、その判断は宇宙法に違反する判断ですか……洞窟外へ逃がす方法しかないようです】
囚人管理システムが最上位権限としてこの体に存在している為に、インディも規約を守らなくてはいけない囚人になってしまった感じだな。
仲間が増えた気がする。
共通言語解読スキルのおかげで私も話せるだろうと考えて、子供らしき小柄なゴブリン達へ話しかける。
≪この洞窟は危険だ。洞窟から連れ出すから残ったみんなで力を合わせて生きていけ≫
怯えていた子供ゴブリンが、驚いた顔をしてうなずく。
洞窟の外へ向かうと、ついてきたので出口まで誘導した。
出口に着くと10匹がまとまって森へ逃げていく。1匹が振り向いて一言言った。
≪ありがとう≫
う! なんか今までやってたことが侵略と虐殺に感じてしまうが、ゴブリンも人間を襲っているわけで……
恐るべし異世界!価値観が根本から覆されるな。
カオルとブランは、まだ荷馬車で寝ていた。
【解毒は終わりましたが、あと数時間ほどは起きないと思われます】
時間があるので倒したゴブリンの右耳を集めて、その後に洞窟を破壊しよう。
2時間ほどで、105個の右耳があつまった。特徴的な耳のあったがこれがゴブリンナイトやゴブリンメイジなどの耳なのだろう。
死んでいた女性はかなり前に死んでいたようで、私達が依頼を受ける前に既に亡くなっていたようだった。
気になるのが、死んでいた女性の首に鉄製の首輪がついていた事。
ゴブリンの巣のはずが、集落まで短期間で大きくなったのは、奴隷商人を襲った際に多くの女性が手に入った為のようだ。
洞窟に奴隷売買の羊皮紙が数枚落ちていた。
他にも洞窟には襲った商人などから得たと思われる金貨が50枚程あったが、臨時収入と思うと全身に激痛が走るので、規約違反の横領扱いなのだろうか? 戻ったらギルドに提出する必要がありそうだ。
後は、洞窟を破壊すれば終了だがどうやって破壊するべきか?
【過去にはできなかったのですが、現在は高出力の内燃機関を有しています。エネルギーを外部に放出すれば破壊は容易く可能です。弊害は、熱の関係で連射が出来ない事と1000年以上活動が可能ですが、その期間が数年短縮されます】
全然問題ないな。
【では、右手を洞窟へ向けてください】
右手を広げて洞窟へ向けると、ゆっくりと掌に青い球体がスパークしながら現れてくる。
【プラズマ球体です。高圧縮のエネルギー体ですので不安定ですから優しく投げてください】
え? これ投げるの?
掌に乗っている青白いスパークしている発光体を、ゆっくり洞窟へ投げた。
ゆっくり漂い洞窟入っていく。
ドン!!!!!!!
洞窟の入り口を中心に大爆発した。
威力が半端ない!
風圧で洞窟付近の木々がなぎ倒されて、元の洞窟は瓦礫の山と化した。
私の着てる服も爆風でボロボロになってしまった。
それにしても囚人ロボットは外部性能は最低限だった癖に、内燃機関の小型核融合炉とセンサーおよび囚人監視用モジュールが優秀すぎるだろ。
それが外部性能が最高峰の素体と同化したわけだから歩く兵器だな。
【法律厳守のため、兵器と言うよりは歩く法の番人ですね】
インディが補足してくれる。
街道のそばの荷馬車まで戻ると、ちょうどカオルとブランが起きた時だった。
さっきの爆音で目が覚めたのかな?
「あ、兄貴!! あ? あれ? 怪我がない? ゴブリンは?」
「目が見える! 良かった!」
その後の話を嘘がつけないので、そのまま話す。
ゴブリンを逃した事は省略して、洞窟がなぜ崩れたかは伏せて、みんな脱出したら崩れたとだけ伝えた。
「流石兄貴だぜ! 解毒や治癒魔法まで使えたんですね!」
「いや、魔法じゃないぞ! 適切に処置しただけだ」
「これじゃあ、僕のヒールが更に役立たずになってします」
「そんな事はないぞ。ヒールは重要だぞ」
穴が空いた皮の鎧を見ながらカオルがハイテンションになっていて、役に立てなかったブランが落ち込むいつもの形に落ち着いた。
朝日が上がっていき、荷馬車で街へ向かう進路を取った。
荷馬車を引いている馬を制御しながら、今回の功績を調べる。
視界に、刑期用のメニューが表示された。
思考するだけで操作できるシステムである。
私の行動を監視しているログを見る。
ギルドからの依頼の承諾と達成の功績。
仲間の模範となる援助。
救護者の介護×2。
愛護動物の保護。
4個の功績によりあと310年と4ヶ月と12日になっていた。
1年と少し減ったのかな?
愛護動物の保護!?
監視ユニット壊れてるんじゃないか?
思考した瞬間に全身に痛みが走る。監視ユニットを馬鹿にしちゃいけないって事?
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帰路について2日目の夜になる。
街道から逸れたところで野宿を始める。
「なんだろう? 兄貴に助けられてから物凄い体の調子がいいんだけど!」
カオルがゴブリンのナイフで刺されたために、穴が空いた皮の鎧を着て、元気に短めの剣を振って寝る前の稽古で素振りをしていた。
街に着いたら鎧を買ってあげようと、昔では思いもしなかった仲間意識がある。
「僕も信じられないほど調子がいいですね」
ガッツポーズをブランがとる。
【彼らの心臓を人工的なものに変更しました。生体に限りなく近いので拒絶反応はありません。通常の心臓と同じく血中の栄養で活動するのですが、万が一血流が止まっても24時間は活動します。解毒や他の臓器の補助機能もあるので現在の彼らの能力は、2倍以上になっていると考えられます】
え!? さらっとインディが報告してきたけど、彼らを勝手に改造人間にしてしまった感じか?
命を助けるためだったから良いのか? あまり考えないようにしよう。
三人で焚き火を囲んで寝込んでいると、焚き火が消えるころにインディからメッセージが来た。
【周囲に生体反応があります。数は30以上です。既に囲まれています】
なんだろう? 寝たふりをしておこう。
この異世界だと月が多い為か、夜でも結構明るい上に私の場合は暗視機能で昼間のよう見える。
数人が闇に紛れて私とカオルとブランのそばまでくる。
音を立てないように接近した人物は、躊躇なく心臓めがけて持っている剣を突き下ろした。
いきなりかよ!
私に刺さった剣は表面のやわらかい偽装部分迄は刺さるが、その下の硬い層で止まって弾かれる。
キン!!
「なんだこいつ! プレートアーマー着ているのか?」
私を剣で刺した男が叫ぶ。
自己防衛で問答無用で反撃をして頭を殴って吹っ飛ばす。
頭が衝撃に耐え切れず体からもげてしまう。
偽装中だが、どう考えてもオーバーキルだな。
カオルとブランを見ると正確に心臓に剣が刺さっている。
助けたばかりなのに! 何してくれとんじゃ!! ワレ!!
「な、何者だ!!」
剣が胸に刺さったままカオルが叫んで、横に置いてあった自分の剣で襲撃者を斬り込み一撃で倒す。
え? 胸に剣が刺さってるぞ? なんで動けるの?
「な、何ですか!」
ブランも手の届く場所にあった杖を持って相手に対して振ると、相手の胴体に当たって……
胴がちぎれた!?
ブランも胸に剣が刺さっていた。
理解できん! 何が起きている?
「イッテェ!」
胸に刺さっている剣をカオルが自分で抜いたが、血が出ていない。
なんで!?
ブランもオロオロしながら自分に刺さっている剣を抜いた。
ブランも血も出ないしピンピンしている。
3人揃って、不思議な顔をして月明かりの下で顔を見合わせる。
「盗賊か!?」
ハッとカオルが我に返って剣を構えて周囲を警戒する。
「奇襲を回避するなんて、スゲーじゃねーか。俺らは盗賊だ。大人しく有り金全部置いて行けば、痛くないように殺してやるよ」
有り金渡しても見逃してくれないのか?
まぁ証拠が残る事をするわけないな。
昔の物語に出てきそうな、いかにも盗賊な風貌の禿げた大男が、巨大なハンマーを持って立っていた。
周囲に手下が20人ほど現れる。
「奇襲をしておいて聞くのは野暮だが、お前ら全員、剣で刺されてなかったか? 何故平気なんだ?」
私も聞きたい!
【洞窟で救助する際に、人工心臓になった話しましたよね。
剣でそこを刺されてもナノマシンで構成されているので、剣がすり抜けるだけですぐに修復されます。
破壊された生体組織も内部から修復したようです。
この世界の人間は、元の世界の人間よりも、ナノマシンとの親和性が高くてステータスの上昇率を2倍と予測してましたが、先ほどのカオルとブランを見る限りだと3倍近いステータスアップが予測されます。
現在の彼らの能力は非常時なので人工心臓から全身へ送られる血流量が2倍以上になっており、これによって2倍近い能力アップをしていますから、基本値の3倍と掛け合わせて6倍近い能力上昇と考えられます。
そのうえ、洞窟内でパーティーを組んでいましたので経験値が共有化されて、ゴブリンを倒した経験値でかなりのレベルアップをしているようです】
納得!
って納得できるか!
ステータスの上昇とか、経験値の共有ってなんだ?
異世界って本当に非科学的だろ!
【何かのカラクリがあるはずです。以降は解析と分析を開始します】
インディと脳内で話しているとカオルが笑い出した。
「あはははは! なんだ、これは夢だ! ブラン、これは夢だよ。せっかくの実践だ。夢だし大活躍するぜ! 見ててくれ兄貴!!」
笑いながら、手下20人ほどへ特攻していく。
「あ! 夢なんですね。僕も活躍します! 見ててくださいニーゼロさん! 僕も大活躍だあぁぁ!」
ブランも手下へ特攻していく。
ブランの武器って杖だろ!大丈夫なのか?
胸に剣が刺さっても全然平気だったら夢だと思うよね。
仕方がない、私はボスらしき禿げを狙う。
「逃げないで歯向かうとは、やる……って、テメー人が話してる時に! ぶっ殺してやる!!」
走って禿げが喋っている間に、蹴りいれたが避けられた。
偽装中でもかなり動きが良いはずなのだが、避けるって! この禿げ強い!
【戦闘モードに切り替えますか?】
切り替えると外見がメタリックになるのか?
私が切り替えたときは偽装が解けてしまった。
【それは最大出力にした場合です。偽装を保ちながら出力を上昇させる事は可能です】
偽装が解けない範囲でお願いします。
微調整がインディは可能なのだな。優秀だ。
【では、3倍ほどステータスを上昇させます】
突然、禿げの行動がスローに見えてくる。
ハンマーが、私の体に向かって振り下ろされたが最小限の動きで避けて懐の潜り込み、腹にパンチを打ち込む。
スヴァン!
やな感触があって、パンチで吹き飛ばす予定が体を腕が貫通してしまった。
手加減が難しい。
「ば、馬鹿な。この俺がこんな簡単に……グハァ」
禿げが、血を吐いて絶命した。
手下の方を見ると、夢だと思い込んでいるせいかカオルが笑いながら10人以上倒していた。
あ、今、また一人倒した。
ブランに関しては、5人を杖で撲殺して大活躍していた。
勘違いって恐ろしい。
考えている間に残った盗賊が逃げ出した。
追うべきか悩むところだが、ステータスがよくわからない状態での深追いはやめておこう。
「いやぁ、スッキリした! ゴブリンより弱く感じたんだが? さすが夢!」
「夢だけど初めて大活躍して、対人戦で勝てた気がする。嬉しい!」
相手の動きがいつもの1/6以下に見えたんだろうな。
もはや、何も知らない当人は夢だよね。
完全にカオルとブランは、夢だと思い込んでいる。
本当の事を伝えるべきか悩むが、嘘はつけない体なので諦めて話すしかないな。
「これ、夢じゃないぞ」
「「へ!?」」
カオルとブランが納得できない顔をしている。
仕方がないから、瀕死の二人を助けるために処置したら副作用で強くなってしまった話をしたが、詳細は伏せた。
「え? そんな事があったんですね! 兄貴に迷惑かけてすみません! むしろ大歓迎ですよ。これなら金プレートも夢じゃないぜ! ってこれって夢じゃないんだった!」
「え!? え!? 僕でも戦える? こ、殺しちゃった。ど、どうしよう!」
相変わらず、カオルがパワーアップに素直にハイテンションで喜ぶが、ブランが初めて人を殺してしまったのか動揺してオロオロしている。
いつものパターンだな。
一撃で真っ二つにされているカオルが倒した盗賊と、杖で一撃で撲殺されている盗賊を見た。
真っ二つまでは理解できるが、ブランに撲殺された盗賊の一部は肉片になっていた。
どれだけのオーバーキルなんだ?
この二人のステータスがどうなっているか気になる
【盗賊討伐で100日ほど刑期が短縮されました】
インディが監視プログラムのログを教えてくれた。
こんなイベントが簡単に発生する異世界は、昔にいた世界より命が安くて物騒だ。
功績はうれしいが偽証ができない状態で法令遵守だと、異世界でどこまでできるか不安になるな。
盗賊も逃げたので3人で盗賊のお金になりそうな武器や防具を集めて荷車に運んだ。
リーダーらしき禿が持っていた大型ハンマーなのだが、ブランが余裕で運んでくる。
ステータス見るのが怖くなってきた。
「カオル、死体はどうするんだ?」
「ここは、大気中の魔素が少ないから死体がアンデットにならないので、そのままで大丈夫ですよ兄貴」
また出ました魔素!
とにかくそれが濃いとヤバイのね。
そして街へ向かう旅の3日目を迎える。
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盗賊討伐の翌日に、再び荷馬車に揺られて街へ向かう。
今日の夕方には、街へ到着する予定だ。
荷馬車を引く馬を御者しながら、のんびりしているとカオルが話しかけてきた。
「兄貴! ステータス確認しませんか?」
「僕も気になります」
パーティー中だと集中して相手のステータスを想うと、相手が拒絶しなければステータスが見えるのだったな。
「まずは兄貴のステータスだな」
3人で集中する。
ニーゼロ レベル1
職業 法の番人・冒険者・平民
STR 7
VIT 5
DEX 4
INT 9
AGI 11
パッシブスキル
【共通言語解読】
アクティブスキル
未取得
職業に法の番人が追加されてる!
法の番人って何だ?
「あれ? ゴブリン沢山倒してましたよね? 盗賊も強そうな人倒してたし、偽装してるんですね。
法の番人って凄いじゃないですか! 法の番人は、殆どの法を知っていて決して破らないと認められるとつける職業で、大司教クラスになって初めてつける職業ですよ! 初めて見た! やっぱ兄貴すげぇぇぇ……」
「わわわ、大司教!! ニーゼロさんなんて呼べない。し、師匠と呼ばせてもらおう」
ちょっと待て、その職業は目立ってしまう。
職業も偽装し……全身に痛みが走る。
職業は偽装してはいけないのか? ステータスは大丈夫なのは何故だ?
【職業の偽装は、身分為証に当たるので違法行為です。ステータスの偽装は、本当にそのステータスのために偽装と言っていますが擬態ですので違法行為ではありません】
そんな事だったのか。
理解したが偽装と擬態で判断が変わるって、監視プログラムの判断基準がイマイチ理解で……頭が硬いと馬鹿にしようとしたら全身に痛みが走る。
この判断って、監視プログラムがわざとやってないか?
「職業は本当だったけど、ステータスは偽装してるんですね兄貴! まぁ言いたくない事もあるでしょうから聞かないですよ! 絶対にいつか見せてくださいよ!」
「僕も見たいです」
まぁ優しい! 二人とパーティー組んで良かった。
聞かれたら嘘がつけないので聞かれないのは助かる。
思いやりを感じる。
「次は、俺だな」
カオル レベル21
職業 神剣・冒険者・貴族
STR 350(戦闘時×2)
VIT 283(戦闘時×2)
DEX 245(戦闘時×2)
INT 122(戦闘時×2)
AGI 291(戦闘時×2)
パッシブスキル
【神々の心臓】【神々の祝福】【筋肉増強】【剣技】【解毒】
アクティブスキル
【スラッシュmax】【連撃max】【突撃max】
「「「ハァ?」」」
3人揃って驚く。
神剣って何だ!! ステータスも初めて会った頃と全然違うぞ!
【ゴブリン討伐の際に、ゴブリンロードやゴブリンメイジやナイトも存在していたために多大な経験値がパーティーとして入ったと思われます。盗賊討伐の経験値も何故か二人にすべて振り分けられて素体には入っていないようです】
私がロボットだから2人が使用している武器みたいな扱いになって、私が倒した物は全て2人に経験値が入るって事か?
異常なレベルアップの原因はわかったが、ステータスがおかしくないか?
【神々の心臓が戦闘時のステータスアップで、神々に祝福が心臓が多機能ナノマシンで構成された人工心臓になった事によるステータスアップですね。ステータスの種類によって通常の4倍から10倍近い上昇が見られます】
他の人間の同レベルと比較すると最大10倍以上強いって事ね……
異世界って……
「すげええええぇ! 兄貴の治療のこれが副作用ってなら魂を悪魔に売っても良いぞ! これで領地に戻れる!
兄貴! 一生ついていきますよおおぉぉ」
カオルが馬鹿で助かった。全て副作用で話をまとめてくれてる。特に何も聞かれなくて楽だ。
じゃぁブランもヤバイ事になってるって事か。
「最後は僕ですね。ドキドキします」
ブラン レベル18
職業 大神官・冒険者・平民
STR 121(戦闘時×2)
VIT 329(戦闘時×2)
DEX 127(戦闘時×2)
INT 319(戦闘時×2)
AGI 214(戦闘時×2)
パッシブスキル
【神々の心臓】【神々の祝福】【魔力操作】【神の気紛れ】【棒技】【解毒】
アクティブスキル
【ヒールmax】【スマッシュmax】【バッシュmax】
「大神官!? はあぁぁ……」
ブランがあまりの事で気絶した。
冒険者ギルドでステータスをチェックされたら一波乱ありそうだな。
ハイテンションなカオルと気絶しているブランと、目立たないようにするにはどうしたら良いか考えて頭が痛い私が、荷馬車に揺られて街へ進んでいく。
囚人番号2019号内部規約説明
宇宙法
動物愛護法 第2条
愛護動物の殺傷と愛護動物の虐待・遺棄の禁止。
対象登録されていない動物でも、食料対象とならない人を傷害することが不可能な動物を対象とする。
獣害排除の権利
生命に危険を及ぼすレベルの動物は、駆除や殺処分を当事者の判断で実施してもかまわない。