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002 異世界の功績

金貨一袋を持って、街まで来たが布を巻いただけの服と裸足なので変態さんっぽい。


今まで骨組みの囚人用人型ロボットの外見だったので全く気にしていなかったが、今のリアルな人間の姿なので恥ずかしい。


服屋を見つけて、服と靴を購入して身につけた。

普通の商人っぽい服装になった。

店主に怪訝な眼差しをされたが金貨を見せたら、態度が急変して対応が良くなり問題なく購入できた。

金の力は偉大だと感じる。


他のお店で肩からかける鞄も購入して、いかにも一般人を装う。


金貨は一袋100枚入っている。

金貨一枚が予測だと一般の人の平民年収の1/10程であるイメージを受ける。

王様が召喚成功で機嫌が良かったのか生活費で10年分を渡してくれたのだな。

騎士と王女は最悪だったが、王様は太っ腹だったようだ。


気になる事がある。

視界に、刑期用のメニューが表示された。

思考するだけで操作できるシステムである。


私の行動を監視しているログを見ると、刑期があと312年と1ヶ月と6日だったが国からの依頼の承諾と達成の功績により刑期が312年と1ヶ月と4日になっていた。


鎧を預けて、城門から外に出ただけで2日の短縮?

これは! この異世界で良い事をしていけば記憶が早急に戻せるのでは?


これは、嬉しい話である。

新しい体も、前の体よりも多機能である。


囚人ロボットは刑期が長い場合が多い。

服役中の燃料切れを防ぐ為に高性能な最新鋭小型核融合炉を搭載している。


黒鎧は燃料補給が旧式で外部から供給しなくてはいけないはずだったが、囚人ロボットのそれごと取り込んでしまった。

1000年以上補給なしで動けそうだ。


黒鎧の性能だが、私が使っている液体金属とナノマシンだけで構築された素体のロボットの為の鎧で、多くの機能があるようだ。

鎧自体も強度を上げるために合金を多少含んでいるが基本は、素体と同じくナノマシンで構築された液体金属で構成されているみたいだ。


火星から攻めてきた宇宙船団と戦った事があるほどの性能のようだが、その辺の記録は、鎧と素体の内部には、あやふやな記録しか残っていなかった。

何故、この素体と黒鎧が活動停止して宇宙を彷徨っていたかの記録がなかった。


永遠とバナナを運んで刑期を減らすよりも、異世界で貢献して刑期を減らす方が良いかもな。

データに入っている法令や規約を参照してもこんな場合に元の世界に戻る義務は無いようなので、安心した。


自分の記憶には、興味があるので記憶を取り戻し法律の奴隷から解放されたい。

だが、その後の私の解体は何処が行うのだろうか?


服役終了後の移行プログラムにスナッチシステムと言うプロテクトがかかっているプログラムがあった。

まぁ、記憶が戻ればわかるのだろう。


黒鎧のデータベースには、物凄い量の情報と元の世界の歴史が記録されていた。

それを元に、新鮮な気持ちで街を歩いて情報収集をした。


なんと、猫の耳の人間やトカゲのような人間、エルフやドワーフと言われる存在まで、街にいることがわかった。

この異世界の時代は、遠く昔の地球での中世に近い気がする。

本当に、異世界のようだ。


完全に宇宙法の外である。しかし法律は破れないので毎回相手に、この世界の法律の事を確認しながら対応していくしかない。


そもそも彼らは人間なのか!?

まぁ私はロボットなので、人の事は全く言えないがな。


情報を集めていくと、この世界には冒険者ギルドと言う何でも屋さんがあって、そこでは冒険者が困っている人を助けると聞いた。

そこで働くだけで刑期が短くなりそうだ。

刑期を減らす為に冒険者ギルドへ行く事にする。


今日のところは夜も暗くなってきたので、宿屋で一泊する事にした。

何しろ、新しい体は! なんと寝る機能が付いていた!!

素晴らしい!!


グッスリ睡眠した。


翌朝、数百年ぶりに寝た気がする。

ロボットのくせにスッキリした気がする!

モチベーションって大事だよね。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


早速、冒険者ギルドへ顔を出す。

街で一番大きな建物だと聞いたので歩き回ると、街の中で大きな建物を発見した。


中に入ると酒場のような内装であるが、奥にカウンターがあって受付の女性がいた。


朝から酒を飲んで酔いつぶれている、かえるみたいな人がいた。

両生類の人型もいるのか?

それらの人を避けながら奥のカウンターへたどり着く。


カウンターの奥にいた女性に話しかける。


「冒険者になりたいんですが!!」


「はい?? 依頼ではなくて冒険者登録?」


「そうです!」


金髪の髪がクルクルカールしている可愛らしい女性が、舐めるように私の商人のような外見を確かめる。


「プゥ、わ、わかりました。登録ですね。金貨一枚の手数料を払って、この書類に名前を書いてもらって、この羊皮紙に血を一滴垂らしてくれれば完了です」


なんか笑われた気がする。外見が商人風だったので依頼者と間違えた思うが、冒険者のイメージではなかったのだろう。

タダではなかったが、金貨ならあるので一枚渡す。

書類と書くものを渡された。


名前は偽装すると痛みが走るのだが、前回は勘違いされた囚人の頭文字のシュウと言う名前で大丈夫だった。


そのままシュウと言う名前を使うと、城を出る際にやった行為や後々に召喚者だとして巻き込まれる事案がありそうだから別の名前にしよう。


今回は囚人番号2019号を略してニーゼロ・イチキュウにしてみよう。

偽装ではないので監視プログラムも発動しないと予測した。

書類に書いても痛みが走らなかったので、大丈夫のようだ。


「ニーゼロさんですね!私は王都ギルドの受付をしていますクルトと言います。よろしくお願いします。後は羊皮紙にお願いします」


渡された羊皮紙に魔方陣が描かれている。血液を垂らすのだったな。

今のロボットは、高性能な擬態能力があるので人工血液を体内のナノマシンで構成して一滴垂らした。


魔方陣が光り出して、羊皮紙にステータスが書き出されていく。


レベル1

職業 平民

STR 7

VIT 5

DEX 4

INT 9

AGI 11


パッシブスキル

【共通言語解読】


アクティブスキル

未取得


城で見たステータスだな。

この羊皮紙も凄い技術だ! 仕組みが全くわからない。


「え!?」


えって?

「何か問題でもあるんですか?」

思わず質問してしまう。


「い、いえ何でもありません! レベル1で冒険者を目指す人を初めてみましたので!」


低レベルで冒険者を目指す人は、普通ではないようだ。

「レベルとは、どうやってあげれるんですか?」


「え!?」


えって?

「何か問題でもあるんですか?」

思わず質問してしまう。


「い、いえ何でもありません! レベルの上げ方を知らない人を初めてみましたので!魔物を倒せばレベルが上がります」


う! 情報収集が足りないからな。

とにかく、冒険者に関しての決め事を教えてもらおう。


「冒険者の決め事に関して、何か資料などはありますか?」


「受付横にある、『冒険者の手引き』『魔物図鑑』『冒険者英雄譚』あたりを読めばわかると思います。貸し出しが出来ないのでギルド内で読んで戻してください」


困った顔をして受付嬢が教えてくれる。

受付の横を見ると本立てがあり、結構な量の本が置いてあった。

これは、助かる。全部読んでから活動しよう。


「では、プレートを発行しますね」


受付の金髪クルクルさんが、羊皮紙に魔方陣が描かれた物と名前を書いた書類を重ねる。


再び羊皮紙に描かれていた魔方陣が光り出して羊皮紙と書類が消えていき、手で握れる程の黒色のプレートが現れた。

これが魔法か!? 全く仕組みがわからない!

物質の消滅と出現?


「え!?」


えって?

「何か問題でもあるんですか?」

思わず質問してしまう。


「い、いえ何でもありません!プレートの色が、黒かったので驚きました。は、初めて見る色ですね。冒険者はランクがあってブロンズシルバーゴールド白金プラチナ透明プリズムのプレートがあります。

二―ゼロさんのプレートは、銅になるはずなのですが例外の色付きのようです。まれに、ユニークなスキルを保持していると登録時に、赤や黄色や緑の不思議な色のプレートになるのですが、黒は初めてみました」


「色付きだと何か問題があるのですか?」


「ランクが上がっても色が変わらないのでランク証明用のプレートがもう一枚必要になり二枚持ちという立場になります。これをもう一枚持っていてください」


銅製の同じ大きさの無地のプレートと黒いプレートに、首に下げる紐を付けて渡してくれた。

二枚持ちか。なんかカッコいいミドルネームに感じた。


「にーちゃん、早くしろよ! 後ろがつかえってんだよ!」


背後から、冒険者風のライトプレートを着こんだ戦士風の中年オヤジが話しかけてくる。

背後を見ると、いつのまにか4人ほど受付待ちで並んでいた。


「すまない。すぐにどくよ」


迷惑はかけれないし揉め事になると、自治区の法律やルールを知らないので危険を感じですぐに移動する。


「糞、初心者が! さっさと退けよ」

また、中年オヤジが睨みながら捨て台詞を言った。

いらっとするが、我慢する。


本棚に移動して先ほどすすめられた本を読み始める。


法律系の内容も書かれていた。

ん! 先日の城の騎士が言った内容に誤りがあるな!

訂正しなければ。

「弱いやつは殺してもいいんだよ」は、彼の独自ルールで法律などではなかった。

訂正と削除を確認する。


宇宙法は、全てを知っているし決して逆らえないために誤認行動はない。

しかし、自治区において誤った法律を信じて実行した場合。

故意でなければ被害届や証拠がない場合は黙認されることになっている。

昨日に殺した騎士の被害届がだされるとまずいな。


本を読んで、冒険者ルールとメルクボルク王国の法律を全て覚える。

覚えると言っても、見たものや行動は全て記録されるので記録の整理を頭で行う感じだな。


生身の人は、見たことや行動を忘れてしまうと言うが、どうやってこの量を覚えるのだろうか?

生身だった時の記憶がないため想像もつかない。


次に魔物図鑑を読破する。

信じられない生物の情報が満載であった。


元いた世界の過去の人々が想像したようなフィクション的な生物が列挙されていた。

ありえない!


たとえば火竜レッドドラゴンとかを見れば、マグマの中から出てくるとか!

あの温度で、生きれる生物って!根本的に原子構造、いや未知の原子で構成されていそうだ。


他にも悪魔デビルってなんだよ!

人に憑依するらしいが、憑依ってどうやってやるんだよ! 科学的に説明を書いてくれ!


とにかく、私が知っている超進んだ技術をもってしても、わからないことだらけである。

召喚の話も転移技術などで理解はできたつもりだったが、私が呼び出された召喚も私が知っている転移技術とは別の力のようだ。


本棚の本を読みつくしていると、背後から声を掛けられた。


「あの、すみませんが冒険者さんでしょうか?」


振り向くと、手に杖を持った白い神官の姿をした身長160cmほどの14歳ぐらいの男の子が立っていた。

商人の様な外見だったので、冒険者なのかわからないので聞いてきたようだ。


「冒険者ですが、どうしました?」


「先月、冒険者になったのですが良ければパーティを組んでいただけないでしょうか?」

なぜか、もじもじして弱気で話しかけてくる。

パーティとは、契約のもとで一緒に冒険するグループの事だな。

まずは、一人で活動するよりも異世界の情報もほしい事だし良いかもしれない。


「かまいませんよ」


「だ、だめですよね……え?! い、いいんですか! 実は、まだヒールしか覚えてないし……レベル2ですけどよいんですか!」


「え、ええ。構いませんよ?」


「やったあああぁぁぁ」

飛び跳ねて喜んでいる。過去のデータに残っている表現だと、この子は痛い人なのか?


「じゃあ! 早速、薬草の採取クエストがあるんで一緒にいきませんか!」


薬草の採取クエストとは、初級冒険者の主な仕事である。

単価は高くないが、危険度が少ない山などで特殊な草を集める仕事だったな。


既に、私は薬草図鑑を読んでいるので余裕であろう。


「わかったよ。私は、二―ゼロと言います」

「わ、僕はブランと言います! よろしくお願いします! やった! やった!」


喜んで飛び跳ねているブランに周りからの痛い視線が刺さるので、急いで冒険者ギルドを出た。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


街から離れて、薬草の生息する山脈へ徒歩で歩いている。

街を出る時に門番がいたが、全く怪しさを感じさせない商人風の男と神官風の男の子なので特に問題なく通過できた。


街から20km離れた所にあるらしい、ビオラマと言う皮膚炎に有効な薬草を取りに行く依頼だった。

昼前に出たのだが、このペースだと夕方までに戻れるか微妙になってきた。


ブランの体力がない……

歩くペースが、どんどん遅くなってきていた。


「す、すみません。あまり食べてなくて……」

よく見れば、やせているというか栄養足りてるのか心配になるレベルだった。

私の場合は、食わなくても動けるので気にしていなかったが昼飯を食べる時間なのか?


「休憩しよう。何か食べるものは持ってきているのか?」

「それが、お金がなくて……」


事情がありそうだな。

このままだと効率が悪いので食料を調達してこよう。

まだ2時間しか歩いていないので街まで8km付近かな。


座れる岩場があったのでブランを座らせる。

「ちょっと、食料をもってくるから待っていてくれ」

「え? どういうこと?」


説明が面倒なので、答えないで街まで走り出した。

8分で街に到着した。

私の新しい体は、時速60kmで走行可能のようだ。

目立ちたくないので途中に人に見られるところは速度を落としたので、すこしだけ予想より遅くなった。


街で大型のリュックを購入し、肉串を大量に買い込んでリュックに詰め込んで、水が入った水袋を購入してリュックにくくりつけた!

急いでブランのもとへ戻った。


出発から20分以内になんとかブランが座っている岩場へ到着する。


「お帰りなさい、すっかり休めましたよ。ってその荷物なんですか?」


背中に満載した肉串と水袋を見てブランが驚く。


「ブランに食料を持ってきた」

「ええ! どっから?」

「街から」

「ええ! どうやって」

「走って」

「ええ!! ええええええ!」


何故か真実を伝えても納得しないブランをなだめて、肉串を食べてもらい水を飲んでもらった。


「久々に、まともに食べれましたよ。経緯はよくわからないですがありがとうございます」


ん! 感謝された! まさか!


視界に、刑期用のメニューが表示された。

思考するだけで操作できるシステムである。


私の行動を監視しているログを見ると、刑期があと312年と1ヶ月と4日だったが困窮している人の救済と援助の功績で24時間短縮されていた。


異世界の功績あげは、前の世界よりチョロイのか!

よく考えたら前の世界では、科学が超絶発展していたので困っている人がいない!

仕方がないのでお金を稼いで寄付することで功績をあげていたが、今いる異世界は困っている人だらけなのか!

功績パラダイスじゃないか!


新たな発見である。囚人になってから初めてかと思うぐらい機嫌がよくなった。


「よし、急いでクエストを終わらせて困っている人々をもっと救済しよう!」

「ええ! どうしたんですが急に?」


食べ終わってゆっくりしているブランを持ち上げて、背負っているリュックの上に座らせて肩車する。


「わわ! 高いです。怖いです」


「足をしっかり押さえているから、大丈夫だ。いくぞ!」


目的地へブランをのせて駆け出した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「うげげげぇぇ」

ブランが目的地の薬草が生息するばしょで、嘔吐している。

私が運んだ際の振動で酔ったようだ。


「すまない。まだ慣れてないので申し訳ない」

一方的にわたしの気遣いが足りなかったことが原因なので謝罪した。


「二―ゼロさんのせいじゃないで……ぐええぇぇ……気にしないで……ぐええぇぇ……僕が病弱なの……グヴェ……」

囚人ロボットになってから、人と共同で作業することがほとんどなかったので、悪い事をしてしまった。

せめて生身の頃の記憶があればもう少し気をつかえるのだが……


【囚人管理システムが、貢献のための情報公開に対して2019号の希望を承認しました。人間だった頃の記憶を一部開放します】

頭の中にシステムアナウンスが響き渡る。


え? ええ!!

そんな事できたの!!

あ! なんで嘔吐しているか、ブランがどう思っているか、私が今まで少しおかしい人だったのが理解できた。

まさか、こんな隠し玉があるとは! 異世界すごいな?

相変わらず自分の過去は思い出せないが、感情に関してかなりロボットの時には、感じなかった事が理解できる!


なんか嬉しい感情が復活した。

全部ブランのお陰だ!

ブランめ可愛い奴だな。

可愛いなんて思うのは何年ぶりだろう?


そういえば正式にパーティー申請していなかったな。

「ブラン、パーティー申請の方法は知っているか」


せっかく食べた物を全て出してしまったらしく、虫の息で回答してきた。

「はぁはぁ……し、知ってます。たしか……」


真剣な顔をして、私を見つめてキーワードを喋った。


「神々に申します。ブランは、ニーゼロと協定と和解を結び同一の立場で多くの現象を共有する事を認証する」


冒険者ルールでは、パーティーを組むキーワードを述べると経験値を共有できると言う事らしい。

経験値の共有ってなんだと思うが、試してみよう。


私も受諾のキーワードを述べる。


「神々に申します。ニーゼロは、ブランと協定と和解を結び同一の立場で多くの現象を共有する事を認証する」


「「パーティー結成」」

最後のキワードを同時に言うと、薄い光に二人が包まれた。


なんだと!非科学的過ぎるだろ! 仕組みは? どうなってんだ?


心の中でブランと繋がった気持ちになった。

ブランが昔から一緒に過ごしていると勘違いするほどの感覚だ。


「これがパーティーなんですね! 初めて組めました! ありがとうございます! 冒険者の人はみんな怖くて話しかけれなかったんですけど、優しそうなニーゼロさんが商人の姿で冒険者と聞いて、凄い冒険者だと思って話しかけて良かったです!!」

ブランが、泣き出した。


うあ! 勘違いしてるぞ! 私は初心者冒険者だぞ!

「ま、まあな。この辺が生息域だからすぐに薬草を集めよう」


ボロが出る前に、案件を終わらせてしまおう。

泣いているブランを置いて、周囲を見渡す。


薬草図鑑でビオラマの形と特徴は分かっている。

目に見える範囲をサーチする。

ただの草原に見えるが、2本すぐに発見した。


2本を採取してる間に周囲に3本発見!


薬草のビオラマは、硬い地面に生息するので根ごと採るのには掘る時間がかかるが、私の手はスコップ……いや、パワーシャベル並みなので、すぐさま根ごと採られたビオラマを20本集めてブランの前に並べる。


ブランは、一本見つけて掘り出しに苦労している最中だった。


「え? 早すぎですよ!! 依頼は10本だったんですが……ニーゼロさんてまさか上級冒険者なんですか!?」


「ま、まあ……うあァァァ」

全身に苦痛が襲う。監視ユニットの身分偽証規約に引っかかったようだ。


「だ、大丈夫ですか!?」

一緒だけ苦痛に歪む顔をしたので、ブランが驚いた。


「ち、違うぞ、ただの冒険者だ。大丈夫だ」

そう言うと苦痛が消えた。おするべし監視ユニットだな。


「そうですか。上級冒険者でもないのにこんなに凄いのか。冒険者って凄いなぁ」

関心したようにブランが遠い目をしていた。


ブランに残っている肉串を食べさせて、リュックに採取した薬草を入れて、街へ戻る。


肩車してあげると誘っても、頑なにブランが断るので街に着いたのは日が暮れる寸前であった。


街に戻って依頼達成として銀貨1枚をもらい、銅貨10枚に両替してブランと銅貨5枚づつ分け合った。


このような感じで7日ほど毎日、色々な薬草をブランと一緒に採取する日々が続いていた。


そして8日目の朝になった。

囚人番号2019号内部規約説明


自治区の為に冒険者ギルドに設置されている書物を参考に、冒険者ルールおよびメルクボルク王国の法律の追加。

今後は、メルクボルク王国内では、メルクボルク王国の法律を守り冒険者活動中は、冒険者ルールにもとずいて行動する義務が発生する。


上記の情報が追加されたため騎士より口頭伝達された、「弱いやつは殺してもいいんだよ」ルールのミスが発覚したので訂正削除。


自治区内であれば宇宙法よりも、自治区の法律が優先される。

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