そこに愛はあるのか
ミューと堂島が謎の敵と対峙している一方で呑気にキノコ狩りを楽しんでいた美菜と茜そして夕もとある人物と対峙していた。
「「「…………」」」
『…………何よ、この沈黙(汗)』
3人(+α)に妙な空気が流れる。それは、そのとある人物に問題があるのだが……
「…………で。誰よ、コイツ」
美菜は誰に問いかけるでもなくそう呟いた。
「…………いや、何ともまぁ……刺激、いや痴激的な格好をしているけれど間違いなく今、私達の目の前にいる人物は藤本直人君だね」
茜は少し苦笑しながらそう言う。茜の口調には目の前にいる残念な子に対してどう接すれば良いのか悩むような響きが美菜や夕に十二分に伝わってきた。
『…………何で直人の格好、パピヨンなの?(汗)』
そう、目の前に現れた藤本直人らしき人物は目にはパピヨンマスクを装着しており、服装は胸元から腹まで地肌がむき出ており、下腹辺りに紫色の蝶マークをあしらった全身黒タイツという電波な姿だった。それはまるで何かを悟り、僕は生まれ変わったんだと言わんばかり……直人の周囲は異様なオーラが漂っていた。
「ふ……じ、もと……な、お……と……?違うね、僕、いや私は生まれ変わったのだ…………愛の伝導師改め愛の救世主。そこにいるおなごどもよ。今後、私のことは愛野狩人とよびたまへ…………」
「はぁ?バカ?」
美菜は怪訝な顔でそう言った。
「…………フフ、愛の数だけ乳首がある(///)君達の乳首は黒ずんでいるのか、な…………?(///)」
『……何か前にもましてますます気持ち悪くなっているし(汗)』
「……君は、私の記憶違いでなければ直人君のはず何だが…………ハハ、ハ……どうしようか?」
さすがの茜も直人の変貌についていけずいつもの余裕な笑みとは打って変わって枯れたような笑みを浮かべてその場に佇んでいた。
「き、きっさまぁーーーーーー!!!!!!わっわわWOわわ、私は直人ではないと言っておろぅがおっぽろろろろくぁwせdrftgyふじこlpーーーーーー!!!!!!」
『怖っ!(汗)』
「茜さん、そこをどいて。とりあえずソイツを殴って正常に戻すわ。まぁ、元からしてアレだけど」ポキッポキ
美菜は既に戦闘体勢に入っていた。
「……ふっ、私を殴る……だと?片腹痛いわ。生身の人である子が私に触れられるはずがあるまい。私に触れられるものなんぞ私自身以外にこの世には存在しないのだからな…………何故なら私は愛の救世主の証、ぷりっぷりきゅあはぁとをこの偉大なるハートにs」
「黙れちんぱんじー」ヒュッ
美菜は容赦なく自らの拳を直人の顔に向かって振るう。その時の美菜が振るった拳のスピードは秒速200kmを超えており、優に世界最高速のロケットをも超える蝶速度の攻撃だった、が。
「おっと」ひょいん
「なっ……!?」
その蝶速度の拳を直人は余裕で横に動いてかわした。
「……フフ、なるほど。確かに君のぱんちーは速い。しかし、私のリアクション・オブ・ザ・ラヴ☆を持ってすればいかなる攻撃もこのようにいとも簡単に避けれるのだよ」
「何がリアクション・オブ・ザ・ラヴ☆、よ……じゃあこれでも喰らいなさい!」ビュンッ
すかさず美菜は右足を用いて直人の顎に向かって蹴りを入れる。その時の美菜が繰り出した蹴りのスピードは秒速30万kmを超えており、優に光速をも超えるチョー速度の攻撃だった、が。
「むぅうん!」バシッ
「ゑっ……!?」
そのチョー速度の蹴りを直人は余裕で防いだ。すなわち右手でタイミングよく美菜の右足首を掴み、攻撃を防いだのだ。
「ふぅ~~……無駄だ、おなごよ。私のマキシマムラヴァーの前では赤子の手を捻るものよぉ」
「ちょっ……離せっ、離しなさいよ直人!」
「フフ、見える、見えるぞぉ……私の瞳にははっきりと君のスカートの下からぱんてぃが映っておる。ピンクと白のストライプとは…………見かけによらずなかなかかぁいらしいぱんてぃを穿いておるではないか君ぃ!」
「や、やめっ……バカッ、見るなぁ!(///)」
美菜は右足を直人から逃れようとジタバタ動くが、直人はギュッと足首を掴んでいるせいでそれも無駄な動きであった。
「人は、平等ではない。生まれつき足の速い者、美しい者、親が貧しい者、病弱な体を持つ者、生まれも育ちも才能も人間は皆、違っておるのだ。しかし、人は平等を求めて今日も走るっ!だからこそ人は争い、競い合い、そこに進歩が生まれる。―(中☆略)―我がラヴワールドはそうではない。争い、競い、常に進化を続けておる。ラヴピーポルだけが前に、未来へと進んでいるのだ。我がむ☆す☆こもほぅらご覧の通り疼いておる!ラブが進化を続けているという証。闘うのだ!!競い、奪い、獲得し、支配しろ!!その果てに未来がある!!オールアイラヴフォーエヴァー!!!」
直人はどこぞの名言っぽい感じでひたすら電波な台詞を語る。その壊れた人形みたいな喋り方に美菜は不快と同時に恐怖をも感じた。
「なっ、何言ってんのよ気持ち悪いっ!気持ち悪いぃ!離せぇ、離しなさいよぉーーー!!!」
夕と茜は遠巻きから直人と美菜の言い争いを呆然と見ていた。
『…………ねぇ、茜。アレ、どうしようか?(汗)』
「…………」
夕は直人と美菜の方に指を差して茜に問うが、茜は首を横に振り『もうダメですにゃあ』のお手上げポーズをする。それを見た夕は、はぁ……と息を吐き出しまた直人と美菜の方に顔を向ける。夕が、あぁごめんね美菜ーーーとこれから慰み者になるであろう美菜に謝罪の念を込めているとどこかで聞いたことがあるような声が聞こえてきた。声が聞こえてきた方向を見ると泣きそうな顔でちょうどゴールの寺へと続く階段の上の方から直人と美菜の方へ走っていく魔法少女ルルーがいた。
「うわぁあああああああああーーーーーーーーーーん!!!やっぱり山の寺の中は暗くて狭くて怖いですぅううううううううううーーーーーーーーーー!!!一人ぼっちは嫌ぁあああああ!!!!!!」
「おふぅ!?」
ルルーは暗い中でパニックになったのか、直人にすかさずタックルを決めてくる。そのルルーがぶつかってきた衝撃で直人のパピヨンマスクがポロリと外れた。
「うわっ、僕のパピヨン!僕のパピヨンはどこっ!?どこっ!?」
直人は美菜から手を離し、四つん這いで暗闇の地面に落ちたパピヨンマスクを必死になって探す。その姿はこの先の哀れな変質者の末路を如実に表していた。
「うわぁんうわぁあん!怖かったよぉ怖かったよぉ!」
ルルーは必死の形相でパピヨンマスクを探している直人の傍で座って駄々っ子のように泣いていた。
「ルルー……あんたこんな所にいたのね。まぁ、それはともかく……」
「どこぉー!僕のはっはっはっはっ!パピヨン!僕のパピヨンはどこ!?」
美菜は未だパピヨンマスクを探している直人の方に向き……
「ちょっと調子に乗りすぎね。直人♪」
ドガバキッドスッゴキッメリッパキッボキッズボッズボッポキッ
「アッー」