マイネームイズプリン
今日は僕と美菜、そして水鳥ちゃんの3人で屋上でのランチタイム……ふむ、両手に花………というやつだね。しかし、まだ春を迎えていないこの冬の終盤は微妙に寒い………『3人でくっついて食べれば問題ないね』ーーーそんな僕の提案は美菜の拳によって却下された。ウフフ……このツンデレさんめ♪……しかし、メガネにヒビが入ってしまったな………また新しいのを新調しないと、ウフフ………
「「「ごちそうさまでした」」」
そして、ランチタイムが終わり、僕は懐から食後のデザート、スペシャル(?)プリンを取り出し………
「水鳥ちゃん……お1つどうぞ………」
「わっ、直人先輩っ!ありがとうございますっ!」
大変嬉しそうに水鳥は僕からの贈り物ーーースペシャルプリンを受け取る………あぁ、プリンもおいしそうだが君もおいしそうだ………君を今すぐお召し上がれないのが残念だ………なんてことは美菜の前では言えない。
「それでは改めまして………」
「「いただきます(♪)」」
「……ちょっと」
「……?なんだい、美菜?……あぁ!すまない………美菜にもあげないとね………君には特別に僕の特製『かぼちゃプリン』を進呈します………」
「………」
美菜は怪訝な顔で僕のお手製の『かぼちゃプリン』を受け取る………フフッ、女の子は甘いものには目がないって言うからね………好感度+2ってとこかな………ウフフッ
「ん〜〜〜直人先輩のプリンはデリシャスですぅ〜〜〜♪おいひぃでふぅ〜〜〜♪」
「あぁ、水鳥ちゃん、ダメだよ………そんなお召し上がり方ではスペシャルプリンの真の味を引き出せない………正しいお召し上がり方はこうだ………」
「?」
僕は不思議そうに見つめる水鳥ちゃんに向けて口を開き、スプーンで適量のプリンをすくい自分の舌の上に置く………これで準備完了だ………
「いいかい?水鳥ちゃん?プリンは生き物なんだ………生き物だからこそ、壊れやすく脆い………歯で噛むなどもってのほか……ましてや、ほとんど味が伝わらぬ『飲み込む』行為などプリンに対する冒涜………そう、本来極刑に値する………水鳥ちゃんそれを踏まえて僕のプリンのお召し上がり方を参考にして自分流の最大限プリンを敬愛するお召し上がり方を獲得してもらいたい………いいかい?よく見ておくんだよ?」
「は、はい!!!よろしくお願いします!!!プリン閣下!!!」
………プリン閣下?
「こう……舌でプリンを弄ぶ様に………レロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロ」
「お、おぉぉぉーーーーー!!!!!す、凄いですっ直人先輩っ!!!!!まるで、プリンが舌の上で踊って……いや!!犯されているよう……!!!その姿にキモ過ぎて思わず引いちゃうくらい凄いです!!!」
「うふっ……それほどでも……(///)レロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロ」
「やめなさい!!!おぞましいわっ!!!」
バキィッ!!!!!
「おげレロレロァーーーーー!?」
ブッシャアーーーーー!!!!!
「わわっ!!!先輩、ばっちぃですっ!!!!!」
美菜が僕の鳩尾にストレートを決めたせいでその衝動で僕はプリンを霧状に吐き出してしまった………
「ウフ……うふふ………今日の美菜は手荒いね………でも僕はそんな手荒い美菜が大好きだよ………はぁん、プリン最高………で、す(///)」
僕は感極まって思わずコンクリの地面の上で身体をクネクネさせる………あっ、屋上の地面ってこんなに冷たい……だ、ね(///)
「直人先輩、そろそろ本気で糞キモいんでやめてもらえます?ぶっ殺しますよ♪」
「あっ、ハイ………ごめんなさい」
「水鳥……あんたそんなキャラだったっけ?(汗)」
翌日ーーー
「では………今日はプリン講座2日目です………では、今日は我が校名物、糞不味い食堂で糞不味いプリンを食してみようか、水鳥ちゃん」
「はいです♪まずまずー♪」
「……あの、直人さん……目の前にいる食堂のおばちゃんがピクピク震えていらっしゃるんですけど(汗)」
今日は水鳥ちゃんと魔法少女ルルーを引き連れて食堂にやって来た。そして、僕と水鳥ちゃんとルルーは迷わずお目当てのプリンを3個注文した。
「お目当てじゃないですっ!無理矢理ですっ!!!しかも何故、私だけ大盛りなんですかっ!?(泣)」
「そりゃあ、君……ねぇ?」
「ねー♪です♪」
「何ですか!?その意思疎通っ!?私、そんな大食いキャラに見えますっ!?見えるんですねっ!?」
「うるさい♪黙って食え、乳オバケ♪」
「乳オバっ…!?」
「ルルー、ここは黙って食べたほうがいい。彼女どうやらSに覚醒してしまったようだから………」
「コラ♪何ごちゃごちゃ言ってるんですか♪せ〜んぱい♪てめぇも食え♪」
「………はい」
「うぅ……今日はお米が食べたかったのに………なんで……プリン………ぐすっ」
ルルーは涙を流しながらプリンをスプーンですくい、口に運ぶ………
「………微妙ですね」
「あぁ、微妙だな、ていうか率直に言おう。まずいなコレは」
「フフ、その『微妙な』味……がいいんじゃないか、直人君」
「だ、誰だっ!?」
声が方向に振り向くと………
「あ、茜さん?」
「や、奇遇だね。と言っても私はこの食堂のリピーターだからね。君達と出会っても不思議じゃないか」
茜さんは僕の真後ろの席で優雅に素うどんを食していた。しかし、この人に素うどんは最高に似合わないな………どちらかと言うとフランス料理とかの方が似合ってそうだ。
「あー、あれは周りにお付きの人とか大勢いて落ち着かないからね。私にはこっちのが性に合ってるよ、直人君」
「やん♪僕の心を読んじゃいやん♪」
クネクネ
「直人先輩、すこぶるキモイです♪」
「あの……」
「なんだい?ルルー君」
「さっきの話ですが……なんで『微妙な』味がいいんですか……?やっぱり、お料理はおいしい方がいいじゃないですか……?」
何かさっきから食堂のオバちゃんが遠くからこちらを凝視しているような気がする………
「『微妙な』味ーーーそう、『未完成な』味が……ソソラレルんじゃあないかな?」
「は、はぁ?あの……」
ルルーは戸惑った様子で僕と茜さんを交互に見る………
「そう、直人君、よく分かっているじゃないか。未完成……なんと甘美な響きなんだろう………(///)未完成な料理を口に運び………そして、自らの舌で楽しむ………うん、なんてまずいんだろうーーーーー未知のジャングルに迷い込んだような気分になって最高だね………フフ(///)」
「そうですそうです、茜さんこそ素晴らしいですね。もう、快感ですよね………あぁ、もう最高(///)」
直人は食堂のテーブルの上で悶えている………
「分からない……この人達の言っている意味が何一つわからないです………」
「ルルー先輩♪分からないのが正常ですよ♪この人達が異常なんです♪」
「……水鳥さん、結構キツイですね………(汗)」
さらに翌日ーーー
「な、何だ!?お前らは!?な、何で僕を取り囲む!?っていうか、昼飯食わせろ!!!」
昼休み、今日は水鳥ちゃんとミューたんとまちるのロリっ子ロリロリトリオを引き連れて五十嵐幸太郎君の席を4人で包囲してみた………
「昼食………幸太郎君、君のお昼のお弁当は没収です………では、これはミューたんに進呈」
「もぐもぐ………みゅーん、何かこの弁当、足の裏みたいな匂いがしてまずいですね、げろげろ〜〜〜」
「うぉーーーい!?勝手に進呈してんじゃねぇ!?ていうか、人の昼飯食っておいて吐くとか酷すぎない!?ていうか、僕の昼飯返せぇ!?(泣)」
「………コレ、返します。臭っ、みゅーん………」
「いるか!?コレ、お前の食いかけじゃねぇか!?そして臭いのはお前が吐いたからだっ!!!(泣)」
「まぁまぁ、幸太郎君、落ち着いて………君のお弁当の代わりに食堂のプリンをあげようじゃないか………」
「……おいしい、と、思う」
「感謝しろよ豚、です♪」
「ガツガツとプリンを獣のようにむしゃぶり喰うといいー、みゅーん」
「何で僕のお弁当が一瞬にして食堂のプリンに置き換わるんだよっ!?何か納得いかねぇ!?(泣)」
そして、幸太郎君は諦めたのかしぶしぶプリンを食べ……
「……って、おい藤本直人、スプーンを僕に寄越せ。これじゃあ、食えん」
「どうぞ……」
そして、心優しい僕は幸太郎君に割り箸を手渡す………
「ってコラァ!!!スプーンだっつっただろうが!?何で割り箸を渡す!?食いにくいわっ!?(汗)」
「あぁ……す、すまない。はい……改めてどうぞ………(///)」
「………」
「あ……幸太郎君?怒って………る?ごめんなさい………わざとじゃないの………直人、わざとじゃないの………グスン」
「ど、ドキッ……(///)あ、べ、別に怒ってねぇよ………その、ありがとな、な、直人……(///)」
「あ………幸太郎……く、ん(///)」
「そこの先輩方、糞キモイです♪糞死んでください♪」
またまた翌日ーーー
ある程度プリンの良さを布教した僕と水鳥ちゃんは屋上にいた………
「あぁ………やっぱりプリンは最高だね…………あの柔らかな食感が溜まらない………」
「はい♪直人先輩は最低です♪」
「ふふ、これは手厳しい………ところで水鳥ちゃん、僕のスペシャルプリン………食べるかい?」
僕は水鳥ちゃんにスペシャルプリンを手渡す……すると彼女はにっこりと笑顔でプリンを受け取り………
「えーーーい♪」
べチャ!!!
僕の顔面にスペシャルプリンを投げつけ、見事に僕の視界はプリン色になった………
そして、去り際に一言………
「死ねばいいのに♪」
そのまま彼女は屋上を去っていった………ウフフ………女心は複雑だなぁ………