優しい手 1
ーーー妹が羨ましかった。
ピアノも上手くて、勉強も出来て。
おまけに友達もいっぱいいて人気者。
そんな妹を両親はとても可愛がっていた。
私もいっぱい頑張った。
元々頭も悪いし、ピアノなんて出来ない。
だから人一倍頑張った。
でも、無理だった。
「どうして、桜はこんなに出来ないのかしら」
お母さんの言葉を聞いて、なんだか自分のやってることが馬鹿らしかった。
学力の低い高校に入学して、途中で辞めて、近くのコンビニでバイトをして。
なにもかも中途半端な生き方。
それでも、無理をして頑張っていたあの頃よりましだった。
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「おつかれさまでしたー」
「おつかれ~」
コンビニの裏口から出て帰り道を歩く。
ここら辺は街灯が少ないから真っ暗。
けど、星がよく見えるから結構好き。
明日は休みだ。どうしようかな。
ためていた本を読もうか。
久しぶりにどこかに出掛けようか。
そんなことを考えながら、下を見ないで歩いていたら
「っ、」
転がっていた缶に躓き、前に倒れる。
まずいっ、と前に手を突き出したその時、突然黒い穴が現れ
「ぇ」
悲鳴をあげる暇もないまま、吸い込まれるように落ちた。
初めての投稿作品です!
文下手だし、誤字脱字あると思いますが、温かい目でお読みください