人形娘オフ会は楽しい!
人形愛好女子会のメンバー達とのオフ会が開かれていた。これも真由美部長の発案であったが、沙羅からすればオフ会といっても仕事のうちだった。今日の沙羅の役割は好きで人形娘になったメンバーを楽しませるものであった。
彼女らメンバーと違い沙羅はネヴァードリームランドによって操られた人形であり、都合の悪い言動や行動は一切禁止されていた。そのため”夢の国の住民”を演じさせられていた。つまり「労働者の沙羅」ではなく「人形娘ジョアンナ」としてメンバーの前にいなければならなかった。
この時、ジョアンナのほかにも十人前後の人形娘がいたがその中に、赤いチマチョゴリのようなどこかの民族衣装を着た「マロンちゃん318号」のいたのだ。彼女の「内臓」は男であることを沙羅は思い出したのだ! いわば「318号」は人形娘の「男の娘」だったのだ!
もっとも「318号」の外観は女の子らしいし声も「マロンちゃん」なので、男であることはまず見抜けなかった。もしかすると「318号」の内臓にとっては嬉しくてたまらないシチュエーションなのかもしれなかった。
「318号」はジョアンこと沙羅に話しかけてきた。中身は男でも今は外観も声も女の子だ。「ジョアンさん、お久しぶりです。どうですか調子の方は? あたしも今度は舞台に立ちたいものです」といったが、「内臓」の正体を知らなければ可愛い女の子と誰もが信じるといえた。
その他にも沙羅が「内臓」の正体をしっている人形娘も少なくなく、中には自他共に認めるような容姿に自信を持っていないような者もいた。しかし人形娘になっていたら、そんなことは誰も気付かないことであった。「生身」の人間の時の姿など「人形娘」になっているときは、何も関係なかった。
この時、真由美部長が登場した。彼女は白いレオタードのような衣装を身に纏っていた。彼女はオフ会の挨拶を始めたが、どうやら彼女自身がこのオフ会を楽しんでいる様子だった。目の前には”大きなお人形さん”だらけだったからだ。
「本日は人形娘オフ会へのご参加ありがとうございます。弊社ネヴァードリームランドでは、皆様にも気楽に出来る人形娘着ぐるみスーツの開発をしております。もしかすると洋服を着るように着ぐるみを着れる時代が来るかもしれません。その時には皆様に優先してご案内いたします」
沙羅は、たしかに人形娘になって辛かったこともあったし、人としての楽しみを奪われた悲しさもあったけど、人形娘でいる方が人間の女性でいるよりも幸せであると思うようになっていた。そのため、雇用側からだされている人形娘の契約延長を話を聞いてみたいと思っていた。
その後も人形娘オフ会は夜遅くまで行われたが、人形達は幸せであったに違いなかった。沙羅も制御つきとはいえ楽しんでいた。もしかすると、これは人形に改造された労働者をつなぎ止めるためのイベントだったのかもしれない。




