表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/24

人形娘の着ぐるみが好きというのですか!

 人形愛好女子会のメンバー達は、人形になるために人間洗濯機に次々と入っていった。彼女らの体型は様々であったが、ある程度体型に合わせた着ぐるみに入るということだった。「女性型着ぐるみ管理部」の真由美部長から打ち合わせのときに聞いた話しでは、沙羅が今着ている人形娘の内臓になるためのスーツよりも簡易版なので、下腹部だけは人間のままであるし、当たり前だが着ぐるみのコントロールシステムが装着されていないという。つまり長くは着れないしマインドコントロールされないので自分の意思できままに人形娘体験が出来るということだ。


 沙羅からすれば、自分は人形娘の内臓として強制的に働かされているのに、彼女らは違った着ぐるみ体験することを目的としているのだから、ある意味羨ましかった。もしも、バイトではなく体験を目的として人形娘になっていたら、最初のように人形にされたことが嫌でたまらない思いをしなかっただろうからと感じていた。


 ”黒魔法少女ジョアンナ”姿の沙羅は被験者を人間洗濯機から出す手伝いをして、彼女らを「人形化措置室」に案内した。思えばあの時沙羅は何がどうなってこうなるかという事を一切教えてもらえなかった。あの時人間の姿でこの道を通ったのは遠い昔のことのようだった、いや人間だったというのも現実でなかったのかもしれない、なぜなら人形娘に生まれ変わったからだ。などと考えていた。


 措置台に載せた被験者は次々と人形娘にされていった。沙羅はコントロールシステムの指示のままに、彼女らを人形娘にする工程を手伝っていたが、あの時された事と同じ事を沙羅は施していた。もっとも人形娘用アンダースーツは簡易版なので下腹部に激痛と変な快感をあたえる措置はなかった。全身に一体化するための樹脂を塗りつけ、その上に人形娘の皮下組織になるアンダースーツ素材を貼り付けて人形の命ともいえる外骨格をはめていった。


 人形娘の外骨格を体表に付けられ頭部を人形娘の顔面などをはりつけたら、被験者は人形娘に生まれ変わったことになる。あとは着ぐるみにあった衣装を身に着ければ完成だ。彼女らはジョアンナのような魔法使いや美少女、ヒロインなどに生まれ変わったが、ひとり見慣れた着ぐるみがいるのを沙羅は見つけた。「あれはマロンちゃん312号じゃないの? 」


 そう、沙羅が先日まで着ていた着ぐるみであった。「マロンちゃん」は301号から325号まであり、それぞれ衣装が微妙に違っていたので識別が可能だった。ちなみに312号は白い半袖ブラウスに青いジャンバースカート、青い大きなリボンをして青い靴を履いていた。


 この「マロンちゃん」は、十年前に放送されたアニメ作品の登場人物で、不思議の国に迷い込んだ普通の女の子が様々な不思議な場所を旅するヒロインだった。場所が変わるたびに微妙に衣装が違っていたのが特徴だった。いわば「ネヴァードリームランドを一緒に訪ねましょう」という意味があった。たしかにこの遊園地のイベントに参加するにはふさわしい着ぐるみであるといえた。


 誰が「マロンちゃん312号」になったのだろうかと思っていると、確認の為に名前を尋ねると青井美佳というではないか! あれほど着ぐるみの内臓にならなくても素顔が魅惑的だと思った女性だった! よりによって沙羅が最初に着ていた着ぐるみの「内臓」になっていたのだ。


 「やっぱりネヴァードリームランドの住民になるのだから”マロンちゃん”が一番だね。本当に空いていて良かったわ。本当に好きなキャラクターになれてよかったわ」といってスキップしていた。この反応に対し沙羅は複雑な思いを彼女に対し口にしたかったが、勤務時間中はコントロールシステムが動作に優先されるので出来なかった。


 他の被験者達も、各々がお気に入りのキャラクターの着ぐるみになれたことが幸せといった雰囲気であった。バイト仕事で人形娘になっている沙羅からすれば、どんだけ人形娘になるのが好きなのですかと聞きたかったが、その事は実行できなかった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ